「色んな意図が自分には伝わらなかった。」ルノワール カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
色んな意図が自分には伝わらなかった。
80年代が舞台なんですね。
監督の早川千絵は76年生まれだけど、何かしら思い入れがあるのだろうか。
その時代に青春の多くの時間を費やした身としてはそれっぽいキーワードは幾つか出たもののそれほど80年代を強く感じる事ができなかったので、恐らく意図してこれ見よがしなアピールはしなかったんだと思う。
主人公のフキを見てすぐに思い出したのが佐世保女子高校生殺人事件の犯人の女の子。
成績は良いが自画像は真っ黒、グロいモノへの執着、そして何よりも感情が無く、他人への共感性が欠如しているといった点などで非常に酷似している。
数年後には猟奇的な犯罪を犯すような気がしてならない気持ちの悪さをあえて演出(個人の見解です)した意図が自分には伝わらなかった。
ストーリーは山も谷もなく淡々と送られる日常を小学5年生の少女フキの目を通して描かれるのだが、ポイントごとに河合優実、中島歩、坂東龍汰などの有名どころを配置しており、それぞれの短編ドラマを見ている様なつくりは嫌いではない。
本作はフランス、シンガポールなど数カ国との国際共同作品という事で、かなり意識しリアルな日本の中流家庭の普段を静かに切り取り繊細に表現しようとした早川千絵監督のやり手感が少しだけ鼻につき、演出方法やカメラワークも自主制作映画でよく見られる手法のオンパレードだったのが少しだけ残念な気がした。
コメントする