「タイトル通り」ルノワール ジユージンさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトル通り
『ルノワール』を観ていると、2022年公開の『こちらあみ子』がふと頭に浮かんだ。
どちらも、普通とは少し違う感覚を持った少女の視点から世界を見つめている。
言葉や感情を大げさに説明することはなく、映像や音の中に少女の内面を静かに映し出している。
この2作品に共通しているのは、少女たちの「世界の見え方の違い」を欠点や悲しみとしてではなく、もう一つの大切な視点として描いていることだ。
普通とは違うからといって劣っているわけではなく、その違いこそが彼女たちの世界を豊かにしている。
その静かな優しさや誠実さが、観た後に心にじんわりと残り、軽くなるような感覚をもたらしてくれる。
『ルノワール』には派手な展開や劇的な出来事はほとんどない。
しかし少女の視線を通して、世界の輪郭が揺らぎ、観ているこちらの心の中にある何かと静かに出会わせてくれる。
それはまるで、澱んでいた水が少しずつ澄んでいくように、自然と心が癒されていく感覚だ。
この映画は、誰かと感想を語り合うためのものではなく、ひとり静かに見つめて、自分の中にあるもやもや、よごれにそっと触れる時間をくれる。
だからこそ、個人的には一人で鑑賞されることを勧めたい。
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