劇場公開日 2025年6月20日

「時代設定の意味は?」ルノワール 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5時代設定の意味は?

2025年6月26日
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鑑賞方法:映画館

感受性が強く、好奇心旺盛な11歳の少女が、両親をはじめとする大人たちと様々に関わるひと夏の体験を、早川千絵監督がオリジナル脚本で作品化。
ありきたりな分かりやすい成長譚にはしたくない、という意図は理解できる。しかし、一つ一つのシーンやエピソードを羅列するだけで、エモーショナルな連続性といったものが考慮されていないので、だんだんと「一体何を見せられているのだろう」と気持ちが醒めてきてしまった。
超能力ブームや出会い系伝言ダイアルといったものが物語の展開に絡んではいるが、そもそもなぜ1980年代に時代設定したのか、その意味や狙いがつかめない。マルチ商法、怪しげなメンタルトレーニングや民間療法など、確かにその頃あった嫌な話が盛り込まれているが、それを今、作中に取り入れて再現する意味は?大人の哀しくも愚かしい面を表現したかったのだとしても、今となってはリアリティあるものとして迫ってこない。単純に、自分自身の少女時代に設定したというだけなのか…
主役の鈴木唯は、本心が窺い知れない感じがいい。石田ひかりは頑張っていた。リリー・フランキーのこけ具合もいい。他にも旬の役者が出演しているが、物足りなかった。カメラの色合いは素晴らしい。
蛇足だが、ルノワールというタイトルや、ポスターにもなっているヨットシーンには、本作に出資している外国資本への媚びのようなものを感じてしまった。
早川監督が本当に撮りたいように撮れたものなのか、次なる作品を待ちたい。

山の手ロック
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