訪問、あるいは記憶、そして告白のレビュー・感想・評価
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ポルトガルの近代史を知る
全くノーマークの作品でしたが、たまたま時間が空いたところにジャストフィットしたので鑑賞しました。
内容的にはポルトガルの名匠、マノエル・ド・オリベイラ監督の自伝的ドキュメンタリーでした。監督が住んでいた豪邸の紹介から始まり、監督の生い立ちや家族のこと、そして映画監督としての経験などを紹介。映像美と音楽(ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番)の調べに載って淡々と抑揚なく進められて行くため、やや眠くなりかけたところで、1963年にポルトガルの独裁政権を支えるパイドという秘密警察に捕まった話が語られて覚醒しました。世界史を知らない私としては、第2次世界大戦後にポルトガルに独裁政権があったことすら知らなかったのですが、お隣りのスペイン同様、大戦前から1970年代まで、ポルトガルは独裁政権下にあったことを知ることが出来たのは、本作鑑賞の最大の収穫でした。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。
タイトルなし(ネタバレ)
ポルトガル北部の港湾都市ポルト。
そこに、オリヴェイラが妻と40年暮らした自宅がある。
姿を見せぬ夫婦が無人の邸宅を訪れる。
夫婦は死後のオリヴェイラ夫妻のようだ。
ふたりの会話。
夫の言葉は小難しく、形而上的だったり、哲学的、政治的だったり。
妻は現実的な返答を返す・・・
といったところからはじまり、室内もしくは窓から見た庭をカメラが写す。
しばらくすると、70代前半のオリヴェイラ自身が登場し、自身にまつわるフィルムを映写しながら、過去の記憶などを語っていく・・・といった自伝的半ドキュメンタリー。
「半」なのは、姿を見せぬ夫婦の会話があるため。
ふたりの会話は『去年マリエンバートで』を思い出しました。
ふたりが姿を現さず、オリヴェイラの死後公開が決められていたため登場するオリヴェイラ自身も蘇った感がある。
そんな幽霊譚のような味わいもあるが、眠くなることもあるでしょう。
やさしい空気、家の匂い
ドキュメンタリーではない。
オリヴェイラ版 建もの探訪とファミリーヒストリー
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