青春 帰のレビュー・感想・評価
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中国奥地の奇妙なバランス
都市の縫製工場で厳しい環境にめげず働き続ける若者を描いたドキュメンタリー、ワン・ビンの青春シリーズ第3部です。今回は、春節に故郷に帰る若者たちの姿を描きます。これまでの縫製工場での日常が苦しい場面の連続だっただけに、結婚式をはじめとした穏やかな場面に心が和む。それにしても、中国の田舎は本当にとんでもなく田舎です。でも、みんなスマホを持っているんですよね。一方で、居間に今も毛沢東の大ポスターがあるコントラストも新鮮でした。
気が遠くなるような労作であり破格の傑作
ドキュメンタリー映画の最高峰、ワン・ビンの「春(215分)」、「苦(226分)」に続く「青春」3部作の第3部「帰」。
いよいよ完結した。
中国🇨🇳の巨大経済地域、長江デルタにある街・織里(しょくり)の縫製工場で働く若き出稼ぎ労働者たちの姿を記録したドキュメンタリー。
春節の休暇が近づき閑散とする織里の縫製工場。
それぞれの故郷で春節を祝うため帰省する労働者たち。
Coming Home ‼︎
家族がいる。
親戚がいる。
友達がいる。
休暇中に結婚式を挙げるカップルもいる。
しかし仕事がない。
食べていけない。
やがて休暇が終わり、若者たちは縫製工場に戻ってきた。
新しい一年が始まろうとしていた。
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2014年から9年に及ぶプロジェクト。数百時間の素材を何度も削り直し、9時間40分にまで凝縮したとのこと。
そう、3作で10時間弱、撮り続けること、観続けること(我々)、それによって蓄積されたものの大きさに愕然とする。激しく感動する。
思えばカメラが回っているとは思えない彼らの自然な表情が驚異的だ。どれだけ回したらカメラの存在が当たり前になるのだろう。自然な表情が撮れるのだろう。
気が遠くなるような労作であり破格の傑作だ。
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