ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマンのレビュー・感想・評価
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シリーズ3作目になります
殺人も強盗もスパイも、どこかにちょっとした計画の狂いが生じる
スパイ物も、強盗計画も、殺人も
完璧な計画を立てても、どこかでちょっとした
狂いが生じて、ピンチになったり
計画を変更せざるを得なくなる
映画のセオリーですね
犯人はグレン・クローズじゃないかと思いつつ
神父殺人は、多分『あの人じゃないかな』
と感じつつ、手口がわからない
今回もアガサ・クリスティの雰囲気アリアリで
今作の種明かしが1番ポアロっぽかった
けど「解決出来ない」と暈しつつ
告解という形で罪を告白という
教会絡みの舞台ならではの演出、面白い
教会って、お金集まるんだね
けど、あんなでかいダイヤを飲み込んでまで
隠すとは………
親子揃って強欲な神父だな(笑)
ダイヤがデカ過ぎて、窒息死だったのかな
まぁ、それは自業自得だ
信仰心は強いけど、あらゆる罪悪感で
教会に尽くして来たのだろうけど
あんなクズ野郎に忠実だった事と
告解で、ダイヤの事をそのクズ野郎に
告白してしまった流れは、苦しい
人の心は、複雑だな………
あと、ダイヤを盗んで捨てようと考えた件が
ちょっと強引だったかなー
あんなお宝を手にしたら、邪な事を
考えるだろうと予想できた気がする
余計な事をしてしまって
死人が増えたジレンマは強いな
ダイヤは、あの息子なら血眼になって探して
見つけてしまいそう(笑)
苦手なシリーズに感じた⛪️
初っ端から自慰、アバズレ等の語彙を多用して、過剰に感じたので制作者とは気が合わないと感じました。探偵ものが観たいのに、面白くなくて全く没入できませんでした。
このシリーズずっと続いてほしい!
このシリーズは好きで、今回の配信日を心待ちにしていた。やっと鑑賞できたが、今回も期待を裏切らなかった!
このシリーズはトリックも演出もマンネリ化せず、
どの作品も違う見せ方で楽しませてくれる。
そして、ミステリー作品としての面白さがどんどん増していると思う。
今回は田舎の教会が舞台。前作より暗くてホラー調であったが、死者の復活劇や犠牲者が1人では終わらないなど
驚く展開から目が離せない作りになっていた。
ジャド司祭(ジョシュ・オコナー)は皆から犯人だと疑われているから実は真犯人ではないと視聴者が犯人候補から彼を外すのを分かって、敢えてジャド司祭がやはり犯人だったと戻すオチ(『アクロイド殺し』も触れられていて、ブランの相棒役でもある)でいくのかなとか、ナイブズアウト1のクリストファー・プラマー演じる大富豪のように、実はウィックス司祭(ジョシュ・ブローリン)は刺される前に
自殺していたとか自分なりに浅はかな推理を色々考えたが、もちろん全部違っており(笑)、予想外の仕掛けとおぉとスッキリさせる謎解きを見せてくれた✨
本当にあのブノワ・ブランが謎が解けなかったのか分からないが、真犯人に罪の告白をさせて種明かしをする見せ方、死者の復活劇の見せ方は今作ならではでピッタリだった!
今作の役者たち、全員が素晴らしい演技をされていた👏
(こんなにも素晴らしいグレン・クローズは何で未だオスカー取れないのか謎)
ただジャド司祭が隠した酒ボトルは誰が盗んだのか、
どうして彼が持ってると知っていたのかは気になった🤔
闇と愚欲にまみれた教会の中にも、人は救済と赦しを信ずる
今年はNetflix映画が豊作。
ギレルモ・デル・トロの『フランケンシュタイン』、キャスリン・ビグローの『ハウス・オブ・ダイナマイト』、賞レースを賑わせそうな『トレイン・ドリームズ』『ジェイ・ケリー』、サプライズな面白さだった『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』etc。
でも、真打ちはやはりこれ!
名探偵ブノワ・ブラン、三度!
今年の超期待の一本。待ってました!
これまで難事件を名推理で解決してきたブラン。
ある館で起きた名門一族の遺産相続殺人事件、絶海の孤島で起きたミステリーゲームを模した殺人事件…。
アガサ・クリスティーにオマージュを捧げた王道ミステリー風に、新味を加えたライアン・ジョンソンの演出とオリジナル脚本も見事。
さて、今回の事件と依頼は…
田舎町の教会で起きた殺人事件。
厄介な宗教に加え、状況から完全犯罪に等しい。
若い神父が容疑者とされている。
事の経緯はこうだ…。
ボクシングで相手を殺してしまい、深い懺悔と救いを求めて神父になったジャド。
実直な性格からトラブルを起こす事もしばしばで、いざこざから無礼な助祭を殴ってしまう。
彼を理解する司教の計らいで大事にならず、ある田舎町の教会へ赴任。それはある意味、試練でもあった。
その教会の神父が異端児。信者に“モンシニョール”(イタリア語で高位聖職者の意)と呼ばせているウィックス神父。
横暴な性格で、訪れた者を罵倒するような説教に不快感を示す者も。その一方、一部の信者からはカリスマ的に支持され、信者が減っているのに継続しているのはそれ故。
ジャドも早速洗礼。ウィックスから告解を受けるが、聖職者らしかぬ卑猥なもの。
当初は関係を保っていたが、次第に対立が深くなっていく。
決定的になったのは、ウィックス信者を集めた秘密の会合。ウィックスに知られ、激怒。ウィックスも対して信者を集めた秘密の会合を。(←ここ、伏線)
遂には殴り合いも…。
そして事件は起きた。
聖金曜日の説教を終え、ジャドと交代で奧の小部屋に入った時、大きな物音を発してウィックスが倒れた。
ジャドが駆け寄ると…
血を流し、絶命。背中には悪魔の柄の短剣が…。
どうやって殺された…?
小部屋は信者席からは完全に死角。こちらからは不可能。
唯一、講壇から。その時講壇に立っていたのはジャド。一番近くにいたのもジャド。死角の小部屋に入り、僅かだが何か出来るのもジャドだけ。
倒れた時ウィックスはまだ生きていて、小部屋に入って皆が来る前にジャドが…というのが警察の考え。
無実を訴えるジャド。しかしその一方、対立から本心では死を望んでいたのかもと…。
動機もあり、状況から有力容疑者。警察から疑われ、信者は離れていき…。
孤立するジャドの前に、実に約30分の前置きを経てやっとこさ現れたのが、我らがブラン!
今回ブランは依頼を受けたのではなく、たまたま事件を聞き興味を持って来た。
絶対に実行不可能な殺人事件。私の得意分野。
そんなブランにも不得意分野が。
信じるのは確かな真実だけで、信仰心は無い。
その方面で助言を。ジャドに協力を申し込む。
珍しくホームズ&ワトソンみたいなバディ結成かと思ったら、ワトソンは“容疑者”でもあった…!
まず、本事件の関係者を。
殺されたのはウィックス神父。
マーサ。幼い頃からこの教会に務め、運営からシスター代わりから雑務までこなす。
ナット。信者の町医者。
ヴェラ。信者の弁護士。
サイ。ヴェラの養子でYouTuber。
リー。信者の作家。
シモーヌ。信者のチェリスト。
サムソン。教会の管理人。
そして有力容疑者が、ジャド。
調べ始めると、出るわ出るわの教会の闇や歪んだ人間関係…。
アル中であったウィックス。説教の合間、小部屋に隠しておいた酒瓶から飲酒を。
あの時も部屋の隅に酒瓶が。ジャドは咄嗟にそれを隠した。
ウィックスの為ではなく、ウィックスを敬愛する信者の為に。
ところが、信者たちの間では周知の事だった。
信者たちも各々問題を抱えていた。町医者、弁護士、作家、YouTuber、チェリストとしてあまりいい噂が無い。
ウィックスは彼らの問題を知っている。信者もウィックスの問題を知っている。それが原因で…?
さらにもう一つ浮かび上がったのが、ウィックスの生い立ちと教会に纏わるある秘宝。
そう話すのは、長年教会に仕えるマーサ。
教会の創設者はウィックスの祖父プレンティスで、皆から敬愛されていた。マーサも慕っていた。
プレンティスが所有していた“イヴのリンゴ”と呼ばれるダイヤ。
プレンティスはそれをウィックスの母グレイスに譲るつもりでいたが、グレイスは“あばずれ娼婦”と呼ばれ、皆から忌み嫌われていた。実子のウィックスさえも。
譲ると堕落すると直感したプレンティスは結局譲らぬまま亡くなった。
グレイスも発狂するほど教会を憎み、亡くなった。
それを目の当たりにしてきたマーサ。
プレンティスが亡くなった時、ダイヤは紛失。しかし、今も教会の何処かにあるかもしれない…。
ウィックスが実はダイヤの在り方を知っていて、それを狙う者に殺された…?
実際、マーサ以外にダイヤの存在を知ってる者もいた。
サイ。実は彼は、ウィックスの実子。嫌っていた母親と同じような女性と行きずりで。
サイは育ての母のヴェラと縁を切り、ウィックスに近付く。神父であるウィックスの社会的地位、YouTuberである自分の影響力、プレンティスの秘宝さえ見つければ、天下無敵。
ウィックスは今の職や信者たちにほとほと嫌気が差しており、実子と新たな生き方を選ぶ。
その決別として、聖金曜日の説教で愚かな信者たちの罪を暴こうとしていた。(これがウィックスと信者の会合の真意)
阻止する為に殺された…?
あっちでこっちで、浮上し散らばる怪しい人物や動機。
ピースは充分。ブランも何か掴み掛けているようだが…、
決定的ではない。密室殺人のトリックさえ解けていない。
ブランでさえ今回の事件や殺人を“不可能”と言わしめるほど。
警察は変わらずジャドをマーク。
“ホームズ&ワトソン”として事件究明に当たっていたブランとジャドだが、ブランとの価値観の違い、己の信仰心から遂に決別。
そんなジャドに、衝撃の出来事が…。
教会敷地内にある霊廟。プレンティスなどウィックス家の者の遺体が納められている。
ジャドはそこで見た。霊廟から出てきたのは、ウィックス…!
タイトル通りの“ウェイクアップ・デッドマン”…?!
その様子は監視カメラにも収められていた。本当に死者が蘇ったのか…?
しかしその場にあったのは、ウィックスの格好をしたサムソン。死んでいた。
ジャドが霊廟を掃除していたサムソンをウィックスが生き返ったと恐怖のあまり錯乱し、殺したのか…?
警察はそうと決め、ジャドを指名手配。
サムソンは何故ウィックスそっくりの格好を…? これがブランの推理を動かせる。
ブランはある人物に連絡を取る。その人物も危ない…!
その人物の自宅に駆け付け、地下室で発見する。
硫酸のような薬湯で、半身白骨化したウィックスの遺体と、湯船の中で完全白骨化した遺体。それはナットだった…。
一体何がどう繋がっている…?
ブランは遂に真実を掴んだようだ。
関係各位を集め、説教スタイルで講壇に立ち、推理を披露するが、突然口をつむぐ。さらには敗北を宣言する…。
真実は掴めなかったのか…? ブランでさえ解決出来なかったのか…?
否。事件には教会の闇も関わる。下手すりゃ教会の名声は地に堕ちる。そして、当該人物に配慮して。
今回のブランはそうなのだ。これまでなら無礼も承知でしゃしゃり出るのに、今回は所々でブレーキを掛ける。
宗教絡み。犯罪は許し難いが、ジャドに感化され、最後は赦しや救済の手を差し伸べる…。
より人間力を増したブラン。長髪にイメチェンし、ロマンスグレーさも増したダニエル・クレイグが素敵。
ブラン、ジャド、そして当該者だけで真相を語る。
対した当該者は、マーサであった…。
首謀者はマーサ。
しかし、マーサ一人では不可能。協力者が。
その一人が、ナット。医者の彼いなくては密室殺人は不可能だった。
小部屋の酒瓶にナットが調達した超強力な睡眠薬を。傍目には死んだように見える。
ジャドが小部屋に駆け付けた時、ウィックスは生きていた。死んだと勘違いした。
なら、流血や悪魔の短剣は…?
これはマーサが。流血は血糊、短剣はマーサがウィックスに祭服を着せた時、服の下に仕込んでいた。
あの時、検視に見せ掛けてナットがジャドと入れ替わりで小部屋に入り、ウィックスがあたかも死んだかのようにカモフラージュした。
霊廟から現れたウィックスは…?
これは無論サムソン。マーサを愛していたサムソンはもう一人の協力者。
そもそも、マーサは何故こんな犯行を…?
マーサにとって全ては、教会を存続させる為。
ウィックスがサイと共に去れば、教会存続の危機。それを阻止。横暴なウィックスを亡き者に。
その上で、ウィックスを死から蘇ったと仕立てあげる。そうなればもはや“神”。神が蘇った教会は安泰…。
ところが…。
ダイヤの在り方を知っていたマーサ。ダイヤはプレンティスが飲み込み、その遺体の中。
これを餌にしてナットに協力を持ち掛けたのだが…、医者として窮地に立たされているナットは、ダイヤを狙って欲望を露に。
ジャドがサムソンを殺したと思われたが、実は殺したのはナット。
マーサにとってこれは誤算。サムソンの死に深い後悔を…。
ナットが自分を殺そうとしている事を知り、逆に例の睡眠薬をナットに飲ませ、薬湯で殺害を…。
ダイヤへの欲望。教会存続の為に…。
複雑な教会殺人事件の真相は、本当に複雑に絡んだ各々の思惑が引き起こしたものだった…。
その為、今回は前2作に比べ結構入り込んでいる。
田舎町の教会が舞台なので、雰囲気的にもダークで地味。
名門一族の遺産相続事件や絶海の孤島など前2作のようなパッと見でも分かる派手さを期待すると退屈さを感じるかもしれないが(実際、ブランの登場や本筋に入るまでちと長い)、その分じっくり系ミステリーの醍醐味は格別。
本筋に入れば謎や展開に一気に引き込まれ、真相究明のクライマックスへカタルシスも充分。
豪華キャストも本シリーズの魅力。勿論本作も。
実直さと信仰心と苦悩を体現したジョシュ・オコナー。殺され役だがサノス級インパクトのジョシュ・ブローリン。グレン・クローズはキーパーソンとしてさすがの名演と存在感。他にも実力派から注目株までアンサンブルする中、ジェレミー・レナーにとっては本作が不慮の事故からの完全復帰作。その姿にホッと安心。また弓矢で活躍もしてね。
今回も期待通りの面白さ! 3作、甲乙付け難い。
惜しむらくは、配信でいつ何処でもすぐに見れるのは有り難いが、この極上探偵ミステリーをやはり劇場大スクリーンで見たかった…。
尚現時点で、Netflixと本シリーズの間で交わされた契約は終了。『1』のヒットの後、Netflixが高額オファー独占契約したのは続編2本だった。
えっ…。という事は…? シリーズはこれでもう…?
いやいや、そんなまさか! この名シリーズと名探偵をこのままみすみす終わらせる輩は今の映画界に居やしないだろう。
今ワーナー買収で波紋を広げているNetflixだが、再契約して続行するかもしれない。別会社と新たに契約してスクリーンに戻ってくるかもしれない。
しばしのお別れ。
ブノワ・ブラン、いつの日か必ずまた、お会いしましょう。
やはり…
シリーズ一貫して豪華出演陣、登場人物が多く、どれも曲者揃いなのだけど、犯人はグレン・クローズと言うのが大物感で分かってしまった。出演者が多い分、時間も長く感じ、何となくストーリーにも新鮮さを感じなかった。
人の業や高潔さを描いた秀作
死因は飲み込んだから…?
ダニエル・クレイグの髪型は斬新
21世紀型ミステリー‼️
映画的に言ったらブノワ・ブラウンはホームズやポワロと並ぶ名探偵と言えるかもしれません‼️「名探偵と刃の館の秘密」「グラス・オニオン」そして今作「ウェイク・アップ・デッドマン」と、シリーズ三作のミステリーとしての完成度はかなり高い‼️ケネス・ブラナーによるクリスティ原作の作品群がぬる〜い作品ばかりなので、ライアン・ジョンソン監督によるブラウン三部作こそ21世紀を代表するミステリー映画の至宝でしょう‼️今作で舞台となるのは教会‼️独裁的な神父が殺害され、ブランは若手神父と手を組み、様々な事情を抱える信者たちや女性助手、教会に住み込みの職人を相手に推理を張り巡らせる‼️そこに先代神父が遺した遺産をめぐる陰謀まで絡む‼️発端となる事件と登場人物たちのキャラ紹介を、45分をかけてじっくりと観せてくれるので、複雑な人間関係もまったく苦にならない‼️若手神父の誤った自白をパイプオルガンで遮ったり、教会が舞台だけに犯人の自白を告解という演出で魅せてくれたりと、今回もジョンソン監督の演出は冴えに冴えてます‼️もちろんジョシュ・ブローリンやグレン・クローズ、ジェレミー・レナーら豪華キャストも見どころですね‼️
現代の信仰について語ることは、誰でも歓迎
ジーザス!ホーリー・シット!!教会権力の腐敗や暴走を"こう"(拳を構えたファイティングポーズ)でなく、"こう"(手を広げ開いたポーズ)で変えてみせる、あなたの信仰が試される(?)"復讐するは我にあり"
シリーズを通して基本構成は同じ。豪華オールスターキャストのアンサンブルで挑む、ライアン・ジョンソン節全開で洗練された往年ミステリーへのラブレターのような本シリーズは一貫している。
そして今回描かれるのは、現代の"信仰"について(何も文字通りの宗教に限ったことではない)。。ジョシュ・オコナーの主人公然とした献身のおかげで、安定に飄々とノリノリなブノワ・ブラン劇場は更に磨きがかかっていた。観察力に富んだブランの3度目の事件。クリスチャンでない自分にとって、特別になりにくいキリスト教という題材は、どうしてもここ日本では刺さりにくいが、それでも過去2作に負けず劣らずの満足行く結果が待っていてよかった。
インーネットなら大炎上だ。『SW8/最後のジェダイ』での大バッシングの経験が活かされた『ナイブズ・アウト』から本当にシリーズを通して一貫しているSNSへの言及。カルトな宗教ビジネスや分断を煽る危険性。各キャラクターの担う役割にも納得感があって、色々な側面から現代社会を映し出すように象徴的だった。犯人それ自体に驚きがあるというよりは、そこに至る過程がやっぱり上手かった。
入り組んだ構成に、軽快な謎解き!暴走ジョシュ・ブローリンのもとに集うケイリー・スピーニー、アンドリュー・スコット、ジェレミー・レナー、ケリー・ワシントン、トーマス・ヘイデン・チャーチ、そして大ベテランのグレン・クローズ(演じるキャラの教会の回し方がワンオペ過ぎる!!)。1作目におけるラキース・スタンフィールドのポジションには、ミラ・クニス署長。
「基本に立ち返るべきかも、人の気分を高揚させるもの」「人を信じさせて金を巻き上げるなんて究極の悪」
Vengeance is mine.
最新なのに古典
人は真実よりも都合の良い物語を信じる
クセ強キャラだけで終わらない
通常の殺人事件の謎解きミステリーにおいては、
登場人物は事件のギミックを駆動させるための、
〈通り一遍の、クセ強キャラ〉の紹介に留まることが、
許容されるケースが多い。
その役割は、
あくまで名探偵が解き明かす謎の背景を彩るための記号的な存在に過ぎない。
しかし本シリーズ、
そして今作は、この常識を完全に凌駕する。
更には、
南部なまり、フランス名、
乱闘ほぼなし、カーチェイスなし、
猟奇、連続なし、
火器類なしの名探偵、
〈長袖ください〉以上の、
ほとんど発明に近い、とは言い過ぎか。
具体的に説明していこう。
単なる豪華キャストのアンサンブル映画を超え、
その技術力の高さに裏打ちされた説得力が際立っている。
豪華なキャスト陣が集結した結果、
単に難易度の高いシナリオに挑戦できたのか。
それとも、彼らの卓越した芝居と演出の技術が高いからこそ、
監督、脚本ライアン・ジョンソンがシナリオを際限なく深く、
リハーサルを重ねて、
多彩な感情のスペクトラムを、
バチバチにぶつけ合うキャストに、
当て書きしていったのか。
その両輪の相乗効果こそが、
本作の強固な基盤となっている。
本作が舞台とする、
閉鎖的な田舎町(教会)を舞台にしたシチュエーションは、
登場人物たちそれぞれの業と本質を極限まであぶり出す。
感情的で暴力性を秘めた聖職者、
攻撃的で自己中心的な小説家、
怒りに満ちた陰鬱な医者、
狂信的なまでに教会に傾倒する音楽家
〈ロケット〉の落書きが示す、
過去の忌まわしい出来事と、
登場人物たちの現在の歪んだ関係性が、重層的なサスペンスを生み出す。
彼らは、世間的な常識を保つべき〈人格者のはず〉という前提を巧みに利用しつつ、
その内側には〈ならず者以上、殺人者未満〉の危うさを秘めている。
この、善悪の境界線上の微妙なバランスと、
そこから滲み出る人間的な滑稽さ、
あるいは悲哀を描き出す匙加減の魅せ方の技術こそが、
本作最大の魅力と言えるだろう。
このならず者以上のリアリティは、
個々の役者の力量だけに依るものではない。
教会の光と闇、田舎町の人間関係の閉塞感を、
象徴的に表現するプロダクションデザインとライティングとカメラワーク。
芝居、演出、シナリオ、美術、撮影、すべてが有機的に絡み合い、
極めて高い技術力で結実している。
本作は、単に「犯人は誰か」を問うミステリーだけではなく、
豪華キャストが織りなす「人間という存在の滑稽さと業、そして赦し」を、
極上のエンターテイメントとして提示した、
現代ミステリー映画の中でも、
ハイレベルの作品と言ってもいいだろう。
今後、ライアン・ジョンソンが、
「ポーカーフェイス」シリーズと、
こちらのどっちを優先するのか、
楽しみではある。
【蛇足】
トム・ウェイツも良かったが、
ジョン・グッドマン(そっくりさん?)の、
「ビッグ・リボウスキ」の衣装、サングラスも良かった。
名探偵ブノワ・ブラン
アメリカの田舎町にある小さな教会に赴任した意欲溢れる若い神父は、強圧的な先任神父とその取り巻き信者になやまされることになる。
やがて先任神父があり得ない殺され方をする。
ここで登場するのが名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、若き神父の協力を得て、動機を持つ多くの容疑者から犯人をあぶりだすが・・・。
豪華な出演者を楽しませてもらう。
見事な舞台俳優たち ブノワ、変わる!
ジョシュ・オコナー、ダニエル・クレイグ、グレン・クローズと、キャスティングが最高だった。説教台でのダニエルの朗々とした演説、ジョシュの追想、グレンの告解は、舞台演劇そのものだった。三人とも声、表情、動作が素晴らしく台詞の一つ一つが心に響いた。照明が効果的に使われていて、森の中や教会という舞台設定をうまく生かしていた。狭い田舎町の人間関係に「ツイン・ピークス」を思い出した。
「オペラ座の怪人」「スター・ウォーズ」、肖像画によるキャスト紹介といった遊び含めて、笑える箇所が心地よく散りばめられていた。「善きサマリヤ人」の話を思い出したり、宗教、カルト、家庭問題、承認欲求、ソーシャルメディア、マチズモ、ミソジニーなど現在世界中のどこでも問題になっていることがクリティカルに盛り込まれていて話が深かった。「ナイブズ・アウト」シリーズで一番面白く満足した作品。今作がこのシリーズの最後になるのだろうか?残念だがそれがいいと個人的には思う。それほど良かった。
おまけ
ジェフリー・ライトが冒頭でいいスタート、最後でいい〆を演じた。彼が出ると安心する。ジョシュ・オコナーの演技幅の広さに改めて感動。今までどれほどたくさんの役柄をものにしてきたか!これからもとても楽しみだ。
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