チャーリーズ・エンジェル(2000) : 特集
エンジェルの座に群がった女優たちの泥試合
(編集部)
そうこうするうち、「M:I-2」のサンディ・ニュートンが候補に上る。難航するキャスティングに焦りをつのらせる製作陣にとって、このサンディの登場は福音のように思われた。彼女はキャメロン&ドリューとの相性もばっちりで、誰もがもうこれで決定だろうと確信した。しかし、あろうことか「M:I-2」の撮影が遅れてしまい、結局これまたご破算に。するとそこへ「まだ1席空いている」という話を聞きつけたアシュレイ・ジャッドが、猛烈な売り込みをかけてきた。ところが、このキャスティングを阻止したのがキャメロン・ディアス。何でも、「(アシュレイ主演の)『ダブル・ジョパディー』が気に入らなかった」んだとか。出ました、本場の妨害工作。キャメロンはスタジオの重役連中に電話をかけまくり、まんまと妨害に成功する。いやはや女は怖い。スタッフの焦りも頂点に達した頃、「アリー・マイ・ラブ」で人気急上昇中だったルーシー・リューが彗星のごとく登場。したたかさで知られる彼女らしく、土壇場でちゃっかりエンジェルの座を手中に収めたというわけだ。
余談だが、TV版「チャーリーズ・エンジェル」の3人、ファラ・フォーセット、ケイト・ジャクソン、ジャクリーン・スミスにも出演依頼が舞い込んでいた。飛行場で映画版のエンジェルたちとすれ違うという1シーンだけで、それぞれが10万ドル(約1100万円)を受け取れるという好条件。にも関わらず、「創造上の意見の違い」によって話はお流れに。その意見というのはこうだ。ケイトは「悪役じゃなきゃイヤよ」と言い、ファラは、「私がチャーリーとロマンチックな関係になるのならいいわ」と無理な要求。ジャクリーンだけが「25年も前のことなのに、どうして今さら出なくちゃいけないの?」と条件を出さずに断わったそうだ。
お色気探偵ものをリメイクするより、こういう泥試合を映画にした方が面白いんじゃない? なんて声も聞こえてきそうだが、そういうヒトには「ショーガール」でもオススメしておきましょうか。