チャーリーズ・エンジェル(2000) : 映画評論・批評
2000年11月15日更新
2000年11月11日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
3人娘のアクション&コスプレを満喫すべし
銃を使わないアクションで、銃反対のメッセージを織り込む余裕があるなら、もう少しストーリーに凝ってくれ! と、主演女優3人の出演バランスに気を使いすぎて、ただでさえ先読み容易な展開がさらに浅くなった世界には注文をつけたくなるものの、「マトリックス」なVFX&アクションと、エンジェルズのこれみよがしなゴージャス笑顔とコスプレ三昧は、ハッピーな相乗効果。映画館にいる時間だけ楽しければいいという向きには、これは申し分ないエンタテイメントだ。世界最先端の映像センスで加工すれば、まだまだスター映画も稼げると証明した功績(罪ともいう)も大きいぞ。
しかも、多少の不満は、お気楽娯楽映画において、ひとり陰影豊かすぎる演技力で場をさらいまくるサム・ロックウェルで帳消し。アジア系の耐える女イメージを一新しつづけるルーシー・リューも、キャメロン目当てのジャパニーズ・ガールにさえアジア系の誇りを持たせてくれるほど、柳腰がイケている。と、意外な収穫が多いのだが、なかでもエンジェルズの恋人たちの軽すぎる扱いは、女がお飾りだった往年のアクション映画を風刺したかのよう。主演トリオはそのへんに無自覚のようだったが、それがまた「女のアクション映画」の成熟を証明してないか?
(杉谷伸子)