「タイトルとは真逆な…」ラブ・イン・ザ・ビッグシティ イチさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルとは真逆な…
恋愛もの、青春ものにそこまで興味もないのですが、唯一見た韓国ドラマ「トッケビ」の主演映画ということで気になっていました。
公開2週後くらいに気づき、まだ近くで見られるかと思っていたらあっという間に打ち切りになってしまいました。
今回は短期間だけ公開の大阪の劇場まで行って、ふつうの2Dに2,000円払って観てきました。
トッケビのカメラ、映像の良さ、丁寧に描かれるストーリー、物語や人物への愛の深さに、すっかり韓国エンタメに魅了されてしまい、違う作品でも大外れはないだろうと泣きじゃくる覚悟で行ったのですが、共感も感動もない、高揚もない作品でした…
ライトタッチな青春学園ものという感じでしょうか。
良くも悪くも展開が早すぎ、どのシーンもあっさりとしか描かれず、ひとつひとつの恋愛もさわりしかわからないので、理解も共感も追いついてきません。
登場人物がその相手のどこに惚れてるのか、とかの深彫りがないため、肝心の陰影の部分がありません。
なぜかダークな雰囲気がほしい(若気の至り?)のか、序盤のタバコ、酒、クラブの連続で、すっかり飽き飽きしてしまいます。
本人たちはフランス文学科らしく、フランス文学はよくわかりませんが、こういう暗さ、陰鬱さではない気がします。
飲みまくって、とつぜん依存症のような面も垣間見せるものの、人物の描き方、過去、心情、信念などがほぼ描かれないため、なぜこの二人だったのか、どこにそこまで必要としあう部分があったのか分からず、観客は置いてけぼりです。
描かれるシーンも、学校、クラブ、家のループで、タイトルとは裏腹にごく狭い世界のくりかえしで、空間も話題も小さすぎてずっとチグハグなままでした。
日本の大学生とかのノリにも近いのかもしれないですが、貧乏ぶったり、悲惨ぶっているわりに、毎日酒を飲んで、病院にも大学にも留学にも行けてるとか、ぜんぜん笑えません。
重めのテーマだと、数年前に公開の認知症の親との距離感を描いた邦画「百夜」などは、ゆっくりと丁寧に気持ちの変化や人とのかかわりを上手に描いていましたが、テンポをもっと落として描いたほうがよかった気がします。
まさかレビュー2本目でこんなことを書くことになるとは思わずけっこうがっかりしました。
(生物的な)男性だけかもしれませんが、副産物として帰り道は男性全員がゲイに見えてきます。
