「脚本はこう書けというお手本のような作品」ラブ・イン・ザ・ビッグシティ Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本はこう書けというお手本のような作品
ジェヒの登場が鮮やかだよね。
赤いスクーターでバスを正面から止めて乗ってくるっていう。
それでフンスがゲイだってバレそうになると「ライター忘れてったよ」でジェヒが危機を救って、「あなたらしさがどうして弱みになるの」で先入観をもたない公平な人物であることも分かるの。
後で、ジェヒとフンスが喧嘩したときに、フンスがこのライターみて仲直りを決めるんだよね。使い方がうまい。
お互いの恋人のところへ行って、ジェヒは手酷い振られ方をして、フンスは恋人と共に同性愛差別する人に痛めつけられてしまう。ジェヒが「早く来て!」と呼ぶのにフンスは行けない。そこでジェヒは全然関係ない男と一晩すごすことになってって、作り込みがうまい。
喧嘩になって、このまますれ違い展開かなと思うと、すぐに戻って「大丈夫か?」「すごい傷、大丈夫?」も良かった。新鮮な展開。
この後の中絶のシーンでジェヒが泣き叫ぶんだけど、ここだけ、違和感あったの。
相当追い詰められてるから、泣き叫ぶかもなとも思うんだけど、ジェヒが本音を吐くなら、もう少しなんか描写がある気がしたの。
ここは、どうなんだろう。男女で見方が違ったりするかな。
その後、フンスはお母さんにカミングアウトし、そこからの展開もうまくて、お母さんが深夜に観に行った映画が《Call Me By Your Name》だってことで、息子を理解しようと努めてるのを分からせるのいいね。
警察署での「浮気しました」「ゲイです」が同時なのも良かった。
観客は分かってるけど、ジェヒはまだ知らないもんね。
フンスは恋人とやり直そうかなと思っていくんだけど「彼氏ができた」と先に言われてしまう王道展開で、ここもうまいと思った。GUCCIの靴を返すことで別れを観客に分からせるのもすごい。
この二人が出会うときに、フンスがGUCCIの靴の上に嘔吐しちゃうんだけど「捨てようと思ってたので」と金持ち風にしときながら、「送ります」がバスで、金持ちじゃないじゃん。がんばってGUCCIで来たんじゃんと分からせるのもすごかった。
その後のジェヒは職場で何気ないゲイ差別発言に怒ったり、男女差別と戦ったり。そこを気に入った男性社員の告白シーンも良い。
オープニングでジェヒをフンスが迎えていくから、この結婚はうまくいかないのかなと思ったら、そんなことなかったね。
ジェヒは結婚式の入場でシンボルでもある赤いスニーカー履いてるんだけど、ここなんかエピソードカットしたかな。オープニングもからめて、なんかあって、赤いスニーカーになってる気がすんのね。
とにかく、脚本がすごく良かった。
基本的なことを徹底的にやりきってる感じで、スポーツでも基礎プレーが徹底されて派手な展開になるとメチャクチャ面白いけど、そんな感じの作品だったよ。
テーマというか、大枠としては「男女の友情は成立するか」に対して、「どちらかが同性愛者なら成立する」っていう話なんだよね。ただ周りは簡単に認めないから、そこの難しさを描いたっていう感じもあるの。
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