「【”自分の気持ちに素直に生きる。”自由奔放だが繊細な女性とゲイのモジモジ君との13年に亘る友情を描いた作品。若き名女優キム・ゴウンの喜怒哀楽演技に引き込まれ、二人の厚い友情が心に染みる作品でもある。】」ラブ・イン・ザ・ビッグシティ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”自分の気持ちに素直に生きる。”自由奔放だが繊細な女性とゲイのモジモジ君との13年に亘る友情を描いた作品。若き名女優キム・ゴウンの喜怒哀楽演技に引き込まれ、二人の厚い友情が心に染みる作品でもある。】
■フランスに4年留学していたジェヒ(キム・ゴウン)とゲイである事を隠し、同級生と距離を置くフンス(ノ・サンビョン)。
どこか、クラスメートから浮いた二人だが、フンスがラブホテルに居た事を見たクラスメイトが噂話をしていると、ジェヒが”ライターを借りたマンマだった!”と笑顔でやって来て、フンスを教室から連れ出した事で、徐々に何でも言い合える仲になり、やがてルームシェアで、一緒に住むようになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。印象的なシーンを記します。>
・惚れっぽく自由なジェヒが、人目を気にせずに大学内で煙草を吹かしている時に、クラスメイト達が、或ることない事を噂話しているシーン。そして、彼女がいつも座る机には、胸が小さい事を揶揄した落書きがあるのだが、彼女はササっとテスト用紙に記入し、一度は教室を出ようとするが、戻って来てやおら服をたくし上げ”Aカップだけど、文句ある!”と啖呵を切るシーン。その自分とは正反対の豪放磊落な姿を驚きの表情で見ているフンス。
ー そして、フンスがジェヒから言われた言葉”貴方らしさが、何で弱みなの?”この台詞が決めてだろうな。こんなことを言われたら、その人の性差に関係なく信頼してしまうよね。ー
・だが、ジェヒは惚れっぽいが故に、ダメダメな男に良く恋をするのである。フンスは、ジェヒの”アタシだったら、何でもしても良いの!”と涙ながらに訴える姿に、自分と同じものを感じるのである。
ー ”自分の気持ちに素直に生きる。”が故に、傷つく彼女の姿に、自分を重ね合わせるのである。-
■二人の関係は、共存共栄に近いと思う。自覚せずにお互いを自然に助け合う姿。それは性差を越えた固い友情がベースにあるからである。
故に、フンスは直ぐに恋に落ち、恋に破れたジェヒを少し呆れながらも、優しく励まし、ジェヒはフンスの性癖を知りつつ、フンスの母と彼の女友だちの様に接するのである。
あと、可笑しかったのは、フンスがジェヒの事を”便秘女”とか”口が臭い”とか平気で言っても彼女は笑っている所かな。ホント、相性が良いというか、親友だよね。
あとは、ジェヒが、フンスが好きな冷凍ブルーベリーを買って来るところとか、この映画は細部でも凝っているのである。
・ジェヒが望まぬ妊娠をした際や、最初は優しいが徐々に支配欲を表してくる弁護士野郎(最早、野郎呼ばわりだが良いのである。女性に手を上げる様な愚かしき男の呼称は”野郎”でも優しい位である。)のDVに対し、フンスが決然とジェヒを守ろうとする姿は沁みるし、ジェヒもそんな弁護士野郎から貰った婚約指輪を喫茶店で投げ返すシーンは爽快である。あんな、古臭い思想って韓国でもあるんだなと思いつつ・・。
・フンスの性癖を薄々感じていた母親が、木苺の酒(ってあるんかい!)を呑み過ぎて、浴槽で倒れていたシーンはビックリしたけれども、酔っ払った母の手に握られていた映画のチケットがルカ・グァダニーノ監督のティモシー・シャラメを一気にスターダムに押し上げた「君の名前で僕を呼んで」なんて所も上手いと思ったな。マア、お母さんが酔いつぶれちゃうのも分かるけどね。
・10年が過ぎて、フンスは兵役を終えてジェヒの励ましもあり、小説家を目指し、ジェヒは証券会社に入り、成人として生きる中でも、生き方を安易に買えない姿も良かったな。
特にジェヒが、愚かしきチーフ長が酒の席でセクハラまがいの事を言う姿や、指示をキチンとしていないのに部下の女性を注意する姿などを見て、チーフ長に”びしっ”と言うべきことを言う姿も良いんだよなあ。
こういう時のキム・ゴウンの目力は凄くって、フンスに満面の笑顔で抱き着くときの表情とは全く違うのも凄いんだよね。韓国女優さんって魅力的な人が多いけれども、若手で喜怒哀楽の演技をさせたら、彼女が一番じゃないかなと思ったよ。
そして、そんなジェヒの姿を見ていた男性が彼女に恋をして友人に興奮して”可愛くて…カッコいいんだ!”と電話をしている時に、ジェヒが後ろに立っているシーンも良いシーンだったな。でも、そりゃあ、惚れるよなあ。ジェヒ、圧倒的に魅力的だもんな。
<ジェヒの結婚式のシーンで(というか、冒頭のシーンにはミスリードされたなあ。)赤いスニーカーを履いたウエディングドレスのジェヒの前で、フンスが軽やかなステップで歌い踊るシーンも凄く素敵で、そこにジェヒが加わるシーンは多幸感が溢れており、二人の笑顔を観ていたら、涙が出そうになったよ。
今作は、自由奔放だが繊細な女性とゲイのモジモジ君との13年に亘る友情を描いた作品であり、若き名女優キム・ゴウンの喜怒哀楽演技に引き込まれ、二人の厚い友情が心に染みる作品でもあるのである。>
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。