「アリス好きの方、どうですか?」不思議の国でアリスと Dive in Wonderland アンタイさんの映画レビュー(感想・評価)
アリス好きの方、どうですか?
まず主人公の置かれている境遇に納得が出来ないまま、ワンダーランドのシーンに突入してしまいました。
りせちゃんが就活に悩む女子大生という設定は頭に入れていたのですが、あの家庭環境で深刻に悩む必要ありますかね??
おばあさんから受け取れる遺産がないとはいえ、いくらでも就職のアテはありそうですけど。
なんか世の中の一生懸命に就職活動している学生たちとは根本的に感覚が違うというか、これを見た就活に悩む学生は「でもお前、実家太いじゃん」としか思わないのでは……。
まあ、これは本筋ではないので放っておくとしてですね。
肝心のワンダーランド描写ですよね。
原作の持ち味である「ノンセンス」な世界観はあまり表現出来ておらず、どこまでも地に足のついた世界で確かに遊園地のアトラクションというテイストに終始しているように思いました。
いわゆる風邪引いた時に見る夢のような突拍子のないヘンテコさや、理不尽なシュールさは見られませんでしたね。
アリスといえばやはり言葉遊びを取り入れた詩やマザーグースが長年、人の心を惹き付けていると思うんですが……。
それをあのラップで表現しようとしたんですかね??
あのシーンだけは本当に頭が痛くなりました。
あとはアリスのキャラクター像でしょうか。
りせちゃんが奥手な子なので、物語を動かすためにアリスがグイグイいくタイプになるのはわかります。
でも、やっぱりアリスは不思議の国に少し怯えたり困惑したりしながらも、大人ぶった愛らしさであの世界を巡っていくのが魅力なんじゃないでしょうか?
話の都合上、仕方ないのは重々承知ではありますが私にはアリスのコスプレをしてる別人にしか見えませんでした。
原作とは別物なんだから、そりゃ別人に見えるよ、という意見もわかります。
ですが、この作品は日本初の「不思議の国のアリス」の劇場アニメ化を謳っているわけです。
そこを推してくるのなら、オリジナル要素が強めとはいえアリスのキャラクター像の改変までやってしまうのはどうなのかな、と……。
エピローグも私にはちょっと受け入れられなかったです。
これは原作どうこうでなく、ストーリーテリングとしてどうなのかという話なのですが。
不思議の国で成長したと思われたりせちゃんですが、結局は依存先を見つけただけだった、という……。
これをりせちゃんの成長としてしまってよいのでしょうか?
今後あのVR空間がサービス終了した時に、りせちゃんはちゃんと立ち直って社会に向かっていく事が出来るんでしょうか。
そういった不安を残して終わるのは、りせちゃんの成長を描く作劇として、私は好みではなかったです。
つらつらと不満ばかり書いてしまったのですが、原作「不思議の国のアリス」を好きな方々が本作をどのように見ているのか、ぜひ教えて頂きたいです。
原作好きで本作もしっかりと楽しめた方を不快にさせてしまったらごめんなさい。
原作好きですが、だいたい同意します。
原作を知っていると「不思議の国のアリス」を活かせてないのが観ていて辛い。
原作を気にしなくてもドラマが弱いし、設定はSFにもファンタジーにもならない、会話も平坦、テンポも悪い、カオスな状況も作れてない、映像表現も面白みがない、と不満が多くなるのがわかります。
強いて言えば、途中に挟まる挿絵みたいなのは可愛くてよかったかもしれません笑
小学生の時なら楽しめたような気もします。
ただ「不思議の国のアリス」を題材にするにはあまりに想像力が乏しかったように思いました。
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