おばあちゃんと僕の約束のレビュー・感想・評価
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Redefening Mortality
The big emotional pull of death often drives us to the movies, but wouldn't it be refreshing to see a film that breaks the trend of mourning our own mortality? How to Make Millions Before Grandma Dies is exactly that film. It is spiritual without being overtly religious, offering a thoughtful and practical examination of how our fleeting time on earth strengthens the bonds of family love. This Eastern perspective provides a profound way to reframe how we view life's final chapter—a "graduation ceremony" filled with meaning and grace.
泣けてしまったが…
日常の中の普遍性
タイ映画は、あまり観た記憶がなく、とても新鮮でした。主人公は、大学を中退して毎日ゲーム三昧のエム(プッティポン・アッサラッタナクン,ビルキン)。日本もタイも似たり寄ったりだなと思いきや、いきなり大胆な行動に出てビックリしました(汗;)。不純な動機で始まった祖母メンジュ(ウサー・セームカム)の介護ですが、そんなに突飛な事件が起こるわけでも、奇抜な人が登場するわけでもなく、淡々と祖母と孫の日々が描かれますが、なぜか引き込まれます。エムの母(サリンサット・トーマス)、その兄や弟、メンジュの兄といった具合に、少しずつ大家族の面々が登場するうちに、家族間にあるしがらみや格差や考え方の相違などが露わになります。わずか16ページの原案を監督と脚本家で2年以上かけて練り上げたという脚本は、さりげない日常をしっかり掘り下げて、辛辣にもコミカルにも見えるような深みのある描写にハッとさせられます。本作が長編映画デビューになるパット・ブーンニティパット監督が影響を受けたという中に、小津安二郎監督や是枝裕和監督の名前があったのも納得でした。100回以上のオーディションで見出されたメンジュ役のウサー・セームカムの自然な演技もよかったし、何よりもエム役のビルキンに魅了されました。何しろ不純な動機で始めた介護ですが、祖母との生活や親族との関係の中で少しずつ彼が変化していく様子がとても自然体であり、かつとても共感できたのが今作の最大の魅力だろうと感じました。タイトルの意味がわかったとき、エム青年と同じくらいの驚きと感動がありました。タイでは、伝統的にホラー、コメディ、ハリウッド映画が興行収入の上位を占める中で、本作のような家族の映画が2024年の2位になるのは、本当に珍しいことらしいです。オープニングに重なるラストシーン、じ~んと染みました(涙)。
誰が誰を一番愛したの?
少し気が塞ぐことがあって、こんな日は甘いほっこりする映画が観たいなんて思ったら…
とてもとても、そんな甘い甘い映画ではありませんでした。
冒頭で一家が墓参りをするシーンで墓標が漢字なのに微かな違和感を覚えました。
そう、これは代々タイに住む中華系一族の物語。
家族のルーツは重要な伏線です。
おばあちゃんを含めた家族夫々が思いの外、辛口の言葉で赤裸々なホンネを洩らし、金銭欲や疑いを隠さない。
微笑みの国タイから想像していたよりもずっとエスプリの効いた、フランス映画を彷彿とさせる雰囲気で二転三転しながら物語は進んでゆきます。
長い人生を送った人は、その道のりで得た様々な想いを抱えて最期の日々を過ごす。
ままならない事もあれば、撒いた種が大樹となることもある。
誰もが善人一筋でもなければ極悪人という訳でもない。
浮世を泳ぎぬくために精一杯な人々の姿に、鑑賞前の予想とは違った不思議な心の安らぎを貰って劇場を後にしました。
さわやかに明るく泣ける
言いそびれた「ごめんなさい」と言えなかった 「ありがとう」を紡ぐ佳作
全編を通して、「これぞ、まさにタイ!」って感じの景色や生活が、画面から零れ落ちそうなほど溢れ出ています。
そして肝心の中身ですが、前半は、なんだか“かったるく”感じた半面、いろんな点と点が少しずつ紡がれていく後半は、そのたびごとのエピソードひとつひとつに、個人的にいちいち思い起こさせられることが多すぎて、自然と涙が出て止まりませんでした。
ただ、ひとつ「残念」だと感じたのが日本語タイトル。
たしかに無難で正しいんだけど、もうちょっと広く一般の人たちをも惹きつけるタイトルじゃないと、せっかくの良質な作品なのに、このタイトルだと、特に気に留めることもなく見逃してしまう人も数多くいるんじゃないか?
それが、とてももったいないと思いました。
あと、いまひとつよく分からなかったのが、ムイとメンジュ(おばあちゃん)の関係性。
エムとムイは従妹なんだから、メンジュ(おばあちゃん)とムイはそれなりに関係性があると思うんだけど、なんか、お互いをよく知らない、ほぼ初対面みたいな挨拶を交わしてたとこが??でした。(ちゃんと相関図で紐解けば理屈にあってるのかもしれないけど)
それにしても、Billkinって、正直、けして超イケメンってわけじゃないのに どこか生活感のある存在やたたずまいが、 他にも数多いるタイの俳優さんたちとは一線を画す、滲み出るような魅力がある。
知れば知るほど、どんどん惹かれていく存在であり、 そういった意味でも、このフィルムは、 彼じゃなきゃ成立してないんじゃないかというくらいに、味わい深さが凝縮されていていると感じました。
とにもかくにも、言いそびれた「ごめんなさい」や、言えなかった 「ありがとう」の言葉を伝えたいがための作品であり。
家族であるという間柄であればなおのこと。「誰かを心底愛したことがある」もしくは「愛されたことがある」ことに身に覚えがある人なら、まるで心の扉をノックされているかのように響きまくる作品じゃないかと思います。
オーガニックな映画感覚美にほだされる
ネットで評判がいいので見て見たけど…。
どうなんだろうという印象。誰もが経験するであろう、身近な問題すぎて、面白い面白くないの二択で判断はできない。
タイの中国華僑の生活をのぞきみできたことは興味深かった。100万という金額が再三でてきたが、調べてみると日本円で460万円ほどで妙に納得してしまった。日本でも昔は百万長者なんていっていたね。
日本より、東洋伝統の男尊女卑の考え方が色濃く残っている華僑の社会で介護、遺産相続、葬式、お墓の問題と身につまされることが多かった。息子は、年老いて余命いくばくもない母親を老人施設に入れてしまう。娘と暮らすことを望んだ母親の願いを、娘は叶えて施設から引き取る。でも遺産は息子のもとに。男は、口ばかりで実のないのは、日本もタイも中国も同じ。最後の最後は、女の実のある賢さに頼ってしまうという情けのない現実。
でも最後にちょっとしたどんでん返しが用意されていて、ほっこりと救われた気分。
孫ははじめは、祖母の遺産が目当てだったが、祖母が孫のために早朝粥を売ってこつこつ貯めた銀行預金を祖母の願い(立派な100万のお墓に入る)をかなえるために使ってしまう。ラストの満足気で涙を流す孫の顔が印象的だった。
タイは土葬文化。日本のように火葬であれば、後からお墓のことはどうにでもなるけど、土葬である以上、即決即断現金用意できなければ、一生後悔することになるのだろう。(後から掘り返すわけにはいかないよね)
人生紆余曲折でいいことばかりではない。でも悪いことばかりでもない。中庸という言葉が中国人は昔から好きなようだけど、けっきょくそうゆうことが、一番幸せにつながるということだろうと自分を納得させるのである。
だから面白さは中庸で、評価は☆3とするのである。
Mよ。まだわからないと思うが、バカはお前だぞ。
手放しで主人公を褒めたり認めたりするつもりはないが、非難したり憤慨したりして、唾棄すべき人物と切り捨てることもできない。なぜならば、その言葉は、全てブーメランのように戻ってきて自分自身に突き刺さるからだ。
大学生の一時期、自分は祖父母宅に居候していた。本作を観ているうちに、気がつくとその頃のことを思い出して、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
結局、子どもも孫も、いつまでたっても親や祖父母に甘えてしまうのではないか。
もしかして、そうではない方がいらっしゃったら、申し訳ない。けれど、少なくとも、自分は、子どもだけでなく、孫ができた今でもそうだなと思う。
親の立場だったら、自分も劇中のメンジュのように、借金で苦しんでいるスイに全財産を渡すだろうし、祖父としての立場で言えば、Mへの貯金と同じように、自分も孫たちに定期的に残してもいる。でも、自分が子どもだったり、孫だったりの立場では、いくつになっても、どうしても甘えた気持ちが拭えない。
そんな両面が、とても自然に描き出されていた作品だった。
ラストのMが花を無造作にぶちまけるシーンで、泣けてしまった。ホントに化けて出てきてくれたらいいのにね。
おばあちゃんとした、約束
タイ語の原題はどんな意味か分かりませんが、
How to Make Millions Before Grandma Dies
が英語のタイトルとのことだが、邦題が良い。
寝たきりの祖父の世話をして看取り、豪邸を遺された従妹のムイに倣って、お粥を売って生活している祖母がステージ4のがんで長くないのを知って自分も楽して家を貰おうとエムが始めた「祖母孝行」。
始めたのはよこしまな考えからだが、徐々に欲得抜きでおばあちゃんを案じて世話を焼くようになる。
おばあちゃんもうさんくささに気づいて最初はぞんざいだが、一緒にお粥売りをしたり、朝早くから病院に連れて行ってくれたり、の孫に心を許すようになる、というか、そばで生活するうちに心が通じてきて、幼い頃のかわいいエムの姿が蘇ったんじゃないでしょうか。
「100万バーツあったら何に使うの?」「おばあちゃんに家を買う」こんなことを言ってくれる小さい孫、可愛くてずっと心の中にほっこり残っていたと思う。
アジアは伝統的に男尊女卑で、親の面倒を見るのは女の子なのに、財産は何もしない男の子に遺すはありがちなよう。おばあちゃんも実の兄との間でそういう悔しい思いをさせられたのに、自身の唯一の財産の自宅は借金まみれでどうしようもない次男にやってしまって、欲得づくでろくでもない息子たちと違って唯一心から心配して尽くしてくれる娘には何も遺さない、だけど「お前と暮らしたい」って、娘気の毒と思ってしまったが。
心を許していた孫が、自分の家をネットで売りに出したと分かっても、おばあちゃんは孫を嫌いになれない。次男も、ダメな子ほどかわいい。親孝行な娘には、なにかと犠牲にしてしまって罪悪感がある。その上、財産は次男にあげてしまった。だから娘に世話になりたいとは、なかなか言い出せなかった、おばあちゃんの気持ちもわかる。
「いつまで?」「そうね、死ぬまで」
忘れていたが、エムが小さい頃に確かにおばあちゃんとした約束だった。
おばあちゃんが「約束」が生きていることをエムに言わなかったのは、対価なくても純粋に愛情から面倒を見てくれる孫と娘がうれしかったからなんでしょう。
そして、エムも、約束通りおばあちゃんに家を買った。
私のおばあちゃんも、「お前が一番かわいい」と言ってくれたっけ。
おばあちゃんの仕事場の脇を走る電車、元・小田急の車両だよね。
そして、少々長い。途中で気づいたら寝ていた、が何度かありました。
ほのぼの良かった、タイの映画。
おばあちゃん話はぜったい泣けると思う。そう思って観たが、これは胸のあたたかくなる映画。遺産目当てから、だんだんおばあちゃんのために、という気持ちになって、でも最後は自分のためにためてくれていたお金をお墓にする。
私も母がそうなったら、無償の愛情で世話をすると思う。
出来の悪い次男の生活のため、権利書を次男にあげ、母としての責任をとるが、次男のおじさんはわかっているのだろうか。。。
エンドロールにかかるタイ語の歌が良かった。
新人女優(78歳)の自然体の演技
俳優の資質というのは必ずしも演技の勉強をしたとか
何年も修業を積んだとか、そういうことで開花するとは
限らない、そう思わせるおばあちゃんの演技。
この映画が長編映画初出演というウサー・セームカムが
非常に良い味を出している。自然体の演技がとても良かった。
彼女の人生経験が演技に役立ってはいるだろうが、人生経験を
たくさん積んだ人が皆良い役者になれるわけではない。
その辺にいるおばあちゃんを連れてきて演技をさせたって
台詞を棒読みするのが精いっぱいで、役を演じることからは
ほど遠くて見るに堪えない場合がほとんどだろう。
画面に映る彼女は祖母メンジュがそこにいるという佇まいで、
人気俳優のビルキンことプッティポン・アッサラッタナクンや
他の役者さんたちに負けない存在感を放っていた。
オーディションで彼女を選んだ人の目に狂いはなかった。
バンコクに住むある家族。一人暮らしをしている祖母のメンジュが
ステージ4のガンに侵されていることが判明して物語が動き出す。
冒頭の墓参りの場面から淀みなく話が進む。息子・娘、孫たち
との関係性がどこにでもいそうな家族の姿として描かれる。
脚本の妙で、登場人物それぞれが話す言葉が人物像を反映した
生きた会話になっていて引き込まれる。
映画の中の家族は中華系で、子孫の繫栄を願って立派な墓を建てる
とか、観音様にお祈りするとか、タイ人の中でも独自の風習がある
のが興味深かった。
おばあちゃんが毎朝早起きしてタイ式お粥を売って生計を立てて
いるとか、庶民の生活ぶりも描かれる。日銭を稼ぐ慎ましい生活。
一方で息子や孫世代になるといかに楽をして金銭的に豊かに
なるか、そんなことを考える者もいて対照的だ。
映画の題にある”約束”とは何なのかは終盤になってようやく分かる。
孫のエムに対しておばあちゃんが何を遺してくれたのか?これが
一つの山場となる。
公式サイトによると、本国タイでは鑑賞後に号泣する観客の様子を
SNSに上げるブームが勃発したとのこと。
自分の感想は”心温まる良い映画”ではあるが”号泣”まではない、
といった感じ。
泣く人がいてもおかしくないが、SNSのブームは主演俳優のファンが
感想を”盛って”いるのでは?と邪推。日本でもアイドル主演映画の
口コミ評価が異様に高い傾向があるのでそれに近い気がする。
それはともかく、過剰な演出を避けて家族の自然な姿を描いた本作は
観て良かったと思う。静かなピアノの音楽も映画に合っていた。
俳優でありミュージシャンでもあるビルキンが歌うエンディング曲も
余韻に浸らせてくれて良かった。一点だけ違和感があったのは
歌詞の เธอ が 君 と訳されていたこと。映画の内容から
おばあちゃんへの思いを綴った歌だと思うが、祖母を君とは
あまり言わないだろう。
おばあちゃんと僕の約束
自分の人生は…
中国系泰人家族
泣きました
人の欲や損得感情を分かりやすく描いていて、見事に感情を揺さぶられました。
お金は人を良くも悪くも動かし、喜びも絶望も教えてくれる。そして、本当に大切なものが何かも見せてくれるものだと思います。
遺産が欲しいと思っている人には、欲や争いばかりの景色。お金なんて要らないと思ってる人には優しさや思いやりで溢れた景色が見えている。同じ出来事・現実を生きているのに、捉え方や心の在り方で見えてる景色は全く違うということを改めて感じました。
お金を取っ払った時に出てくる人の本質、後悔や謝罪、そして感謝。色んな気持ちを味わうからこそ人は成長すると思いました。
悲しくて泣き、切なくて泣き、感動して泣く。とても良い映画でした!
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