ヴィスワナサンは明るく濃くてぷよっとしていて好ましくおまけにウィルフェレルだから喜んで見た。ただしヴィスワナサンはウィルフェレルの娘には見えなかった。亡妻がシュリデヴィなみに目の大きなタミル人だとしてもウィルフェレルの血はぜんぜん入ってないでしょヴィスワナサンの顔にはいくらなんでも。と思わせるのがすでにコメディだったのでこの父娘コンビのへんなノリにもするりと入っていけた。ウェザースプーンは昔はにくたらしい印象だったが今はうるささが画に明るさをもたらしている感じがした。
ストーリーは二重予約からのスラップスティックな騒ぎを経て雨降って地固まる家族大団円へもっていく定番路線だったが、やりすぎな感じがあって、フェレルとウェザースプーンですでに絵がうるさいのにもっとうるさくしている展開には多少辟易した。辟易したといっても嫌だったわけではない。庶民の楽しい一夜の気分をさまたげないコメディだった。
フェレルは寡夫だったこともあり猛烈な親バカでヴィスワナサン演じる娘を溺愛していた。その娘が結婚し遠くへ行ってしまうことが受け容れられない孤独と、仕事をばりばりやってきたけれどかえりみたら独りだったというウェザースプーン演じるキャリアウーマンの孤独が合致するところが映画の到達点であり、最終的に主人公ふたりが結ばれることはわかっているので、これは要するにロマンチックコメディなわけだが、フェレルとウェザースプーンではロマンチックが抜き取られコメディにしかなっていなかった。
なにをしようとしたのかわからないが湖でワニをつかまえ抱きかかえたままウェザースプーンの寝室に忍び込みワニをけしかけて襲わせようとして格闘するところはコメディ枠をも超えていた。フライングハイのような過剰をやろうとして家族の話にもどしているようなどっちつかず感もあった。しかしメグライアンとドゥカブニーだったらメグライアンが60代でもロマコメに復帰したと言われたのにフェレルとウェザースプーンではそういう絵ができそうもなかった。もちろんそれでよかった。
パルメットという場所は世界のあちこちにあるがジョージアにパルメット島というのはなく結婚式をとりおこなうコテージもない。それは映画用の架空の場所であり施設であり、主要部はジョージアのオコニー湖畔で撮られたそうだ。
日本だと結婚式をわざと洋式につくったハリボテの施設や教会でやるわけだがそういうのがあっちだと自然にある。というわけで映画はロケーションがよく、観衆よりも出演者たちのほうが楽しんでいる感じがあったが、それはプラスに効用していた。が、だとしても大味だったことは否めない。
じぶんは南カリフォルニア大学のユーチューブにあるウィルフェレルの2017年のスピーチ動画をたびたび見に行く。USCサイト内でも最大視聴回数をもった動画だ。たぶんフェレルの映画より何度も見ていて見るたび気分がよくなる。
アマゾンオリジナル映画。
imdb5.5、rottentomatoes46%と37%