「過去作未鑑賞でも大満足!」パディントン 消えた黄金郷の秘密 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
過去作未鑑賞でも大満足!
鑑賞予定に入れながらも、結局まだ1作も観ていない「パディントン」シリーズの第3作。先に過去作を観ておく時間がとれず、いきなり本作からの鑑賞となってしまいましたが、問題なく楽しめました。
ストーリーは、イギリスでブラウン一家と暮らすクマ・パディントンのもとに、「老グマホーム」で暮らすルーシーおばさんの元気がないとの手紙が届き、心配したパディントンは、ブラウン一家とともに故郷ペルーへ旅行に出かけるが、ルーシーおばさんはなぜか失踪しており、残された地図を手がかりにインカ遺跡の眠るジャングルへの冒険に繰り出すというもの。
予告から、パディントンがペルー旅行に行くのはわかっていましたが、彼がペルー出身だったとは全く知りませんでした。おまけに、おばさん探しの冒険が迎えるまさかの展開にさらにびっくりです。もふもふクマのドタバタ旅行ぐらいにしか思っていなかったので、まさかこんな展開が待っているとは思いもしませんでした。そんなペルー旅行の様子が、テンポよくコミカルに描かれ、最後までずっと楽しく観ていられます。
序盤こそ、パディントンが人間社会で普通に受け入れられている状況にちょっと違和感を覚えます。きっとこのあたりの経緯は過去作で描かれているのでしょうが、自分にはよくわかりませんでした。また、冒頭の証明写真のくだりからいろいろとやらかしており、無邪気だけど、無責任で、無自覚なパディントンにちょっとイラつく思いもありました。でも、彼の純朴さと愛らしさが、その全てに勝ります。
そんな証明写真撮影のショートエピソードが、パディントンの人物像を描くだけでなく、その後の布石となっている点も見逃せません。ガラスに押しつけた顔写真も、投入コインの返却シークエンスも、その後の入国審査シーンや終盤のカギのシーンにしっかり生かされています。小ネタを仕込んでは回収するシーンが多く、いたるところで楽しませてくれます。
登場人物に目をやれば、リスク対応を心得た父親、家族の絆を再認識した母親、発明の才を生かしてチルを卒業する息子、冒険記を生かして進学しながらワードゲームで母と繋がる娘、やることリストをコンプリートとする祖母、黄金探しから解放されたカボット、父との絆を取り戻したジーナ、そして自身の原点と家族の愛を知ったパディントンと、全員の伏線をきっちり回収しています。
加えて、ラストは冒頭シーンに帰結する鮮やかな締めくくりを見せるとともに、ブラウン一家に向けてパディントンの発する言葉が心にしみわたります。メインストーリーに絡めて人物の変容をしっかりと描き、それをまんべんなくユーモアでコーティングした、全編通して無駄のない脚本がすばらしいです。なんなら未鑑賞の過去作を今後も観なくてもいいと思えるほどの満足感です。
とはいえ、ミッドクレジット、ポストクレジットともに登場したヒュー・グラントは、どういう存在なのでしょうか。おそらく過去作で登場したのでしょうが、ここだけ意味がわからなかったです。ひょっとして次回作への布石となっているのでしょうか。ちょっと気になります。
キャストは、ベン・ウィショー(パディントンの声)、ヒュー・ボネビル、エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、マデリーン・ハリス、サミュエル・ジョスリン、カルラ・トウス、オリビア・コールマン、アントニオ・バンデラスら。今回は時間の都合で吹替版で鑑賞したのですが、吹替キャストの松坂桃李さん、古田新太さん、三戸なつめさん、吉田羊さんら、みなさんがんばっていたと思います。ただ、松坂桃李さんの低温な感じの演技も悪くはないのですが、ちょっとパディントンには合っていないような印象を受けました。
共感ありがとうございます。パディントンシリーズは「1」のニコール・キッドマン、本作のオリヴィア・コールマン、アントニオ・バンデラスとゲストスターが総出演でして、中でも「2」のヒュー・グラントは彼のキャリア上でも最大の怪演です。彼を観るだけでも価値はあります。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。