果てしなきスカーレットのレビュー・感想・評価
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日本のアニメは世界に迎合しなくてもよいと教えてくれる
細田 守
「サマーウォーズ」で、オレは「こっ恥ずかしい」、「架空の(本人は経験していない)ノスタルジーに添加物を盛り込んだだけで中身は、大人向けとは真逆のもの」
と書いた。それ以降の作品も全くかっていない。いつも日常からの非日常(異世界)の転換が、ヤッパリおっさんの思考(嗜好)から逸れていく。
前作「竜とそばかすの姫」も日常の一幕で、細田監督はすごい映画たくさん見てるんだなあ、とハッとするカットも多かったのだが、竜の正体探し(ネットであなたは誰?はナイな)が一応のサスペンスにはなるんだけど、竜の正体はお父さんのほうが絶対面白いんだけどね。と。どうも、自分を成長させるには、他人を救わないといけない、それが自分の映画の作家性であることの意識が強すぎるのか。
というか、鑑賞者を少し下げて観てるんじゃあないか、まで思えてしまう。語らず映像で見せる演出はすごい上手いのに、セリフはチープって、結局そういうことなんだと思う。
それがオレのようなおっさんはターゲットにないよ、というのであれば、その通りなんだろうけど。
「果てしなきスカーレット」
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前作もそうだったかもしれないが、本作、まごうことなき「世界市場」を意識した作品。
そのため、ベースが「ハムレット」、物語の進行が地獄 → 煉獄 → 天国と精神的な上昇を描く「神曲」であるように、超普遍的な寓話性をもって、自身の訴えたいことを強く押し出した野心作、であることは分かる。ビジュアル表現が明らかにフランスや北欧アニメ映画に寄せている。それが「死者の国」(地獄、煉獄)の背景ともなるのだが、これまで日本で過去作を見てきた「肥えた」観客には、違和感に留まる。ましてや、神曲をモチーフとした作品群に慣れていないとなおさら。
また、「神曲」の、人間の弱さ、過ち、赦しのテーマが、描かれはするものの、「時空を超えた」平和と愛のメッセージをたっぷりと盛り込みたい思いが強すぎて、例の「歌」からの「ダンス」シーンがただ浮いて見えてしまっている。「歌」に「力」があることは、誰でも知っていることなのに、この「歌」でそれはない、と観る側に思わせるのもつらいところ。
今回は少し「世界市場」への取り組み方にいくつか問題、不運があったように思う。直近の「鬼滅の刃」、「チェンソーマン」は「続編」だ。これらは、世界に「理解されるために」作られた作品ではない。これらの世界での大ヒットが証明するように、「迎合」しなくても、ファンが世界中につく時代となった。本作の製作期間4年。4年前に比べると圧倒的に「アニメ」は世界において市民権を獲得し、ハリウッド映画より「利益の出る」と言われるようになった。
スタジオの規模に依存する作画期間や段取りの課題、構想の練度もあっただろうが、「挑戦」の結晶が完成、公開するタイミングが悪かった。
アクションシーン含め、個人的にはハッとするようなカットはここにはなく、剣を持っているくせに、必要のないおちゃらけキャラが出てきたり、前作に続き「歌」で失敗してたり(これは前作が自身最大のヒット作になったことも影響しているか)、今どきあそこで「キス」が世界市場なのか?と残念な点も多い。
しかし、前作よりも「挑戦」を感じることができ、地獄の音(音響)はとてもよく、なかなか「飽きない」作品だったので、「楽しく」見ることはできた。
なんだけど、ラストの演説はやっぱり帰りたくなった。
追記
オレはあのダンスシーンは結構好きだったが、先に「罪人たち」の「歌」による素晴らしい「時空、文化の超越」をみているからなあ。
満足度や完成度は決して高くないが
映画を観ている間、細田守の苦悶の声がずっと聞こえてくるかのようだった。壮絶な産みの苦しみとでも言おうか。世界で無慈悲な殺し合いが続き、手段を選ばぬ為政者が跋扈する現代にいかなる物語を放つか。満足度という意味では明らかに低い。ストーリーのまとまりも高くない。が、おそらく細田監督はこの「世界との対峙」を通じて泥に潜ること抜きには前に進めなかったのではないか。「ハムレット」の要素を取り入れつつも(「寺に行け!」という台詞には思わず笑った)、何かしら別次元にある存在が一つの場所で結びつき合うという構造は従来の細田作品と変わらない。そして「生きろ」というかつて『もののけ姫』のキャッチでも世に浸透した言葉が約30年後の今、照り返してくるようなくだりも、やや叙情的すぎるが印象を刻む。作品としてお勧めはしない。が、これまで細田作品を観続けてきた人なら、好き嫌いは別として、多少受け止める意義はあると感じる。
ちょっとした事前学習をすれば面白い
他の方もコメントされていますが
この作品がハムレットオマージュと理解しておけば、
純粋に楽しめると思います。
そこを抑えれば、登場人物の行動原理や、エンディングにおける仕掛けは、前作の「竜と…」よりもスッと腑に落ちるところが有りました。
細田監督作品に共通する「人に対する温かな視点」は、本作でも共通していますし、舞台設定も合わせてより強く訴え掛けるものになっています。
一方でそのメッセージ性の強さと理想論的な内容故に、観る人によって好みが分かれる部分でしょう。
スカーレットは我々からすれば過去の世界に戻っていったのですが、その努力が身を結んだのかどうかは描かれませんでした。
惜しむらくは、物語の構造上そこを描く余地は有ったのでは?と思える点でしょうか(現代では聖が目を覚ますなどして)。
言われているほどはひどくない
吉田鋼太郎だけは吉田鋼太郎だと誰でもわかる
2025年映画館鑑賞120作品目
11月30日(日)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
監督と脚本は『時をかける少女(2006)』『サマーウォーズ』『バケモノの子』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』の細田守
16世紀のデンマーク王国
権力争いに巻き込まれたスカーレット王女が復讐に失敗し「死者の国」にやって来た
死者の国だがもう一度死ぬと枯葉の山のようになって崩れて消えてしまう虚無となる世界観
生前の主要メンバーが殆ど死者の世界に
現国王の方針で戦争を始め多くの民が亡くなったのだろう
そこにひょっこり場違いな現代日本の看護師が遭遇するがデンマーク語と日本語でも会話は成立する都合がいい世界
見果てぬ場所の階段を登れば生き返ることができるらしい
父を処刑したクローディアスに復讐を誓うスカーレットだが父の遺言「ゆるせ」が引っかかる
「死者の国」という世界観に戸惑うかもしれない
これについては予習をしておいた方が良い
ネタバレなんて極端な話オチが分からなければ良い
まあ感情論の問題で実際のところネタバレしても楽しめるけどね
背景はリアリティだがあまり好きになれない
理由はよく分からない
群衆の描写に圧巻
原作のキングダムのような手抜き無し
特に駅前の集団ダンスが凄い
声の方は声当て専門以外が中心で声当て専門が脇を固める形か
特に違和感はない
予習していなくても吉田鋼太郎だけははっきりと吉田鋼太郎とわかるが全く問題ない
そもそも声オタが無知なだけで声優養成学校出身以外は声優として芸能界入りしたわけではないのだ
サザエさんの人だってロボコンが居候していた家族のお母さん役としてコメディエンヌぶりを遺憾無く発揮していた
芦田愛菜が良い
エンディングテーマも彼女が歌っている
自分がもし日本国憲法なら芦田愛菜を次期天皇陛下兼次期総理大臣に任命したい
若くしてそれだけの風格がある
日本人の若者の鑑である
サヨクはよく国家元首を指導者と呼ぶが僕はそれがとても嫌いで政治家なんかに指導なんかされたくないが芦田愛菜なら特別に指導されたい
で結局スカーレットの臨死体験?
シェークスピアのハムレットっぽいキャラクター名だがなぜ?
声の配役
父を殺された王女のスカーレットに芦田愛菜
現代の日本から「死者の国」に来た看護師の聖に岡田将生
戦争より話し合いで国際問題を解決する方針の心優しい元国王でスカーレットの父のアムレットに市村正親
アムレットを見限り娘を愛せないスカーレットの母のガートルードに斉藤由貴
アムレットの弟で兄の方針に反対する軍人で兄を公開処刑する冷酷な現国王のクローディアスに役所広司
クローディアスの側近で屈強な武術使いのコーネリウスに松重豊
クローディアスの側近でアムレットの最後の言葉を知っているヴォルティマンドに吉田鋼太郎
クローディアスの側近で監視隊のポローニアスに山路和弘
クローディアスの側近で監視隊のレアティーズに柄本時生
クローディアスの家来のローゼンクランツに青木崇高
クローディアスの家来のギルデンスターンに染谷将太
死者の国の少女に白山乃愛
死者の国の訳知りの老婆に白石加代子
墓掘り人宮野真守
墓掘り人に津田健次郎
キャラバンのリーダーに羽佐間道夫
「見果てぬ場所」を知る宿の主人に古川登志夫
必ず、あなたに辿り着く。
悪くはないけど惜しさを感じる
あらすじをだけを見たなら、面白そうな映画だと思うだろう。ストーリーとして、無駄だと感じる場面は少ない。技巧への賛否はともかく、映像美も感じることができた。
ただ、実際に見ると、以下の2点が観客の心にブレーキをかけてしまっているのではないのか。
1つ目は、映像とシナリオが暗くて重いこと。復讐が主軸で、且つ死者の世界という荒涼とした場面での展開が続くので、冗談や、綺麗な場面といった息抜きになるようなシーンが少ない。観客が主人公の辛さを共有すればするほど、悩み苦しさといった負の感情を置き去りにできず、どんよりとした心の重さが残ってしまう。メインのポスターも、どうしても「暗い話し」という先入観を生んでしまうビジュアルだと思う。
2つ目は、あらすじとしてはおかしくないものの、場面転換が唐突で没入感が失われていること。細田監督作品のお約束である、説明のない異質・特殊な存在や環境というのは、物語がフィクションである以上、現実世界との整合性を「説明」する必要はないものの、場面転換に伴う大胆な状況の切り替えに観客の頭がついて行けず、没入感が失われてしまったのではないだろうか。この違和感は、物語を読み込めば消えていくものであると思うが、ストーリーを熟知して作り込む制作陣と、全てが初見の観客とのギャップを生んでしまっていると思う。
2点目に絡んでだが、前作は、モーションキャプチャー、現実の田舎としての高知と学生生活、迫力のある歌手(中村佳穂さん)、メタバースなど、現実をうまくアニメに取り込んで評価されていた。ただ、今回は、ベースとなる時代設定が中世と、仮想の死語の世界なので「リアル化」に伴う共感も得ずらかったのではないか。ましてや、物語の主軸が、普通の現代人の聖と、特別な存在である中世の「王女」であるスカーレットとの交流なので、より主人公であるスカーレットへの感情移入がし辛い環境になってしまっていると思われるのが惜しいと思う。
なんか色々もったいない
うーん、、
ファンタジー復讐劇、、、?
観て良かった。でもまあ、売れないだろうなぁ。
観るつもりは全然無かったのですが、低評価が多くて、逆に興味が湧きました。でも万が一、『金返せ!』ってなったら嫌なので、映画の日に鑑賞。16時の回、154席中22〜24席くらい埋まってましたかね。皆さん、明るくなるまで立たなかったですよ。1人だけ爆睡してたかな。
私は面白かったです。なぜならば、予め口コミを読みまくり、図書館で『ハムレット』『神曲』を借りて予習したからです!未鑑賞だった『竜そば』も観ておきました。するとあら不思議、批判されるポイントが、ほとんど気になりません。粗筋が分かってると、美しい画面とアクションに集中できるんですね。
脚本は確かに『どうなのよ?』って思う点も多々ありますが、感動して涙する箇所もあります。飛躍する場面、説明が欲しい場面もあるでしょう。そういう時は勝手に想像しましょう。例えば看護師君。『乗馬と弓道習ってたんだな』『愛する女を救うために人命ファースト止めたんだな』とか。彼の髪型が普通だったら、名作になってましたよ。実に惜しい。
役所広司さんの演技は素晴らしかったです。妻の名前を連呼する所で、これもまた愛ゆえに犯した罪なのね…と感じ入りました。
結論、観て良かったです。でも売れなさそう。外国人には受けそうです。個人的的には最後の演説?要らないので、星マイナス1です。デンマークの民、頭が高い。誰が直答許した?『ゆるせ』かなぁ。
赦せ!
低評価が出回ってると、少し二の足を踏んでしまうが、実績が有るのでファーストディの機会もあって足を運んでみたら、3人……。
しかも大きいスクリーンだったのに、勿体ない……。
ハムレットベースと云う事で、啓蒙性が有る分少しダルむ感じもあったが、そんなのひっくり返ず程の出来栄えに感じた。
広陵とした感覚を上手く表現されてて、どこまでも続く空間めいたモノが迫ってきてた。
実写か?と思わせる程に綺麗な風景が、上手くCGアニメに活かされてて、ただただ圧倒された。
音響もめちゃくちゃ響いて来てて、臨場感も秀悦!、これは是非劇場で体感するべき作品!
酷評されるべき部分も、確かに否めないが……ソレを凌駕する部分もアチコチに散りばめられてる。
再度言うけど、是非劇場で体験(体感?)して欲しい。
いっそアクションアニメ映画にしたほうが
物語の空白や矛盾を楽しむことの大切さを忘れたくない
どなたかもレビューされていましたが、私も同じようにどうしてもレビューしたくてID作りました。あまりにも酷すぎる評価だなと…。
Xやニュース記事の批判的なコメント多分作品観てないと思います。それを観て観るのをやめてしまう人が一人でも減って欲しい。そんな気持ちでレビューしています。
結論、めっちゃ面白かった。出ていく人たちの会話も肯定的なものが多かったです。
自分の観た回も(11月30日で翌日がファーストデイ)7割席が埋まってる感じでした。
小学生のお子様には怖い描写もあるかもしれません。
内容には触れませんが、非常に満足のいく作品でした。(ちょこっと違和感の感じる作画や背景などもありましたが、そこは死者の国だからの表現なのでは?と考えています)
個人的な表現をして良いならば、今回の作品の評価の根幹には「過度な考察文化のデメリット」で、クリエイターにとって生きにくい世の中であり、本当に死活問題だと思いました。
物語の空白部分にそれぞれの解釈があって、違う解釈を驚きつつ楽しむ…それが作品を見る面白さや楽しさ、醍醐味なのに…。
自分の予測した通りに進まない、描写がないことを批判してたら、いつかどんな作品にも心が動かされなくなっちゃう気がします。
フィクションなんだから、都合よく話が進んでもいいと思います。
感想は好きに持ったらいいと思いますし、そうするべきです。だから他の方の批評を批判はしません。
けれども、私は私の面白かった!おすすめしたい!って気持ちをぜひ伝えさせて欲しいと思いました。
細田監督の新境地、十分楽しめました
思想強め。だけど感動。
全382件中、1~20件目を表示
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