果てしなきスカーレットのレビュー・感想・評価
全851件中、361~380件目を表示
いやはや何とも、無駄なシーンが多い。
あまり予備知識なしに見に行った。
最後まで見ると成程と納得できたが、無駄なシーンが多く、それでいて、繋ぎが唐突過ぎるし何が言いたい、伝えたいが最後になってもよくわからなかった。只、最後まで見たから言えるのは宣伝文句の「スカーレットが死者の国を旅する」ストーリーはこれに尽きる。
でも、別の面でビックリが2点。一つはエンディングのテロップを見て気付いたが
アフレコに芦田愛菜と岡田将生が出ているのは知っていたが、主要な役のアフレコを見て
・・・・別に実写で大作映画を撮れるだろうという豪華俳優陣のメンバー、もちろん有名声優もたくさん出ていたが・・・・主要な役を有名俳優で占めるアニメは久々だった。もう一つは奮発してIMAX🄬レーザーで見たが、275席有るスクリーンが貸し切りに近い状態だった。これで大丈夫かいなと思った(だから平日一日一回なんだろう?)
声優に有名俳優を起用するのは…
逆転の『ハムレット』、ヒロインとしてのスカーレット、アニメの美しさ
事前に酷評も含めてレビューを読んで身構えていたが、そこまで言うほどではないというのが率直な感想。
映画としては言いたいことは割とシンプルで、舞台設定などの世界観はちょっと変だが、映画のスペクタクルとして見せたいシーンなどは映像が美しく、セリフよりも絵や動き、表情でドラマチックに見せる演出は見ごたえあった。キャラはスカーレットと聖以外は薄っぺらいかもしれないが、テーマ的にはこれで良いのではないかと感じた。(ただモブシーンなどは少し雑に見えるのは事実だがこれも本筋ではない)
世界観は、単純にシェイクスピアのハムレットの復讐を逆さにしている。オリジナルでは殺された王がハムレット(スカーレット)に復讐を訴えるが、スカーレットの王アムレットは、最後に亡霊として復讐をやめることを訴える。ハムレットは復讐を果たして死ぬが、スカーレットは復讐を果たしたうえで生き返る。
オリジナルのハムレットは、最初から復讐心もあるのに、直接クローディアスではなく、復讐のために狂気をよそおってまわりのポローニアスやオフィーリアを死においやるが、なかなか直接復讐することをしない。このあたり、TSエリオットがいうように、劇としてはハムレットの内面的な悩みが、復讐相手という直接的な対象を超えたものになっており、ひどく内向的にこもりきっているように見えるのだ。
スカーレットでは、復讐にたどりつけないのは死後の世界でクローディアスと隔たれた荒野のせいであるが、直接クローディアスに怒りをぶつけられない代わりに、「いい子ちゃんの」聖をなじったり(この点はオフィーリアを罵るハムレットのようだ)、盗賊やコーネリアス、ヴォルティマンド(この二人はハムレットでは隣国ノルウェーが攻めてくるかもしれないという脅威に派遣される使節である)と争ったりしている。ただスカーレットの狂気(復讐心)は、ハムレットと同様に、自分を狂気へと縛るものでしかないこと、死(復讐)だけが救いであること、などが聖のキャラクターの存在によって、変わっていくさまが特長的だ。
スカーレットは主人公らしく、最初から最後までアニメーションとしては魅力的だ。芦田愛菜も叫んだり泣いたり歌ったりしてスカーレットの落差の大きい感情や熱意や絶望を演じている。聖は必要以上にリアルではなく、シンボル的な良心であり、ふさわしい美男子だが、血にまみれたヒロインへの癒しとしてはこのような非現実的なキャラが必要のように思った。
最後にアニメーションとしては風景が美しく、なるべく監督は死後の世界を、ハムレットの翻案ではなく、現実の一部として見えるようにしたかったのではないだろうか。砂漠だけでなく雷や溶岩、海の美しさなどは、美しいだけでなく非情な冷たい風景でもある。またフラや踊り、隊商の老人たちなどはこれだけでも世界紀行の一部のようだ。(関係ないが、未来で踊る聖とスカーレットの背景となる渋谷駅は、「将来こんな駅になるのかな」と素直に思った)
そして予定調和のように雷を落として現れる武器のあちこちに刺さった大きな竜、人々が昔の武器で争う姿などは人間の「戦争の歴史」を見せたかったようだ。これらも映画としてみればスペクタクルだが、逃れられない過去と未来の現実を暗示しているようにも思える。スカーレットの表情はさわやかだが、人間の問題はまだまだ解決にはほど遠い。
暗い世界観の中に光る確かな魅力、観て気づいた本当の価値
この作品に興味を持って観賞しようと思った点は、二つあります。
一つは、上映回数が「鬼滅の刃」並みに多いにもかかわらず、
内容や評判がほとんど聞こえてこなかったこと。
もう一つは、その上映回数の多さに比べて、当サイトでの評価が
あまりよくなかったことです。
上映回数は通常の約2倍ほどあり、とても大型の作品であることがうかがえました。
それなのに、事前にほとんど情報が入ってこず、不思議に感じていました。
一方作品の評価点数は、多くの人が観れば平均評価が下がりやすい傾向もありますので
(例外はありますが)、
今回は評価に引っ張られず、自分の目で確かめたいと思って観賞することにしました。
実際に映画を観てまず思ったのは、評判に左右されず素直な気持ちで向き合えば、
とても面白い作品だということです。
作品の世界観は明るいものではありませんが、設定や空気感に一貫性があり、
“この作品の世界はこういうものだ”と自然に納得できる説得力がありました。
そのため、観ている最中に違和感が生じず、物語へ集中しやすかったです。
また、キャラクターの感情描写が丁寧で、登場人物たちの抱える想いや
葛藤が観ているだけでわかっていく感覚がありました。
派手さで押す作品ではありませんが、そのぶん、観賞後にじんわりと余韻が残り、
物語のテーマについて考えたくなる深さがあります。
この“静かな面白さ”が、この作品の大きな魅力だと思います。
ただ、物語の基調が暗めであるため、人によっては気分が重く感じる
可能性もあります。
そこが評価の分かれ目になっているのかもしれません。
終盤に差しかかった頃、主人公の声に聞き覚えがあることに気づきました。
しばらく思い出せなかったのですが、エンドロールで答え合わせをして、
芦田愛菜さんだとわかりました。
有名人が声優を務める場合は上手い・下手がはっきり出ることがありますが、
今回は最後まで気づかないほど自然で、とても上手だったと思います。
ほかにも有名俳優が多数出演していることがエンドロールでわかりましたが、
いずれも違和感なく役に溶け込んでおり、さすがだと感じました。
総じて、事前の評判だけではわからない“深さ”や“余韻”を持った良作であり、
自分の目で観る価値のある作品だったと思います。
言うほど悪くないが良くもない
通常とIMAXを鑑賞。
事前の予告編を何度か劇場で見て、嫌な予感はしていた。
予告編冒頭で過去作のシーンを流す時点で、本編で出すべきものが無いのか、何を魅せればいいのか宣伝側が判断できていないのかと感じた。おかげでハードルを下げることができたが。
本作は興行作品としてはそれなりに楽しめる。少なくとも現在言われるほど酷評されるものではない。予算と人的リソースをつぎ込んでいるのだから当然と言えば当然か。しかし、現在公開されている劇場アニメ作品群に比べると、その仕上がりは正直厳しいと言わざるを得ない。
細田作品については、バケモノの子以降の全体的なバランスの悪さが改善されていない。鑑賞中に作品世界から客席に引き戻される事が度々あり、シンプルに最初から最後まで作品を楽しめないのが残念。
ただしアクションシーンは文句なく素晴らしい。ここだけは評価できる。いっそ、アクション見るためだけに行ってもいいくらいだ。
死後の世界を精緻な背景と2Dキャラを合わせた形で描くのはそれなりに面白いと思った(良いかどうかは別として)。
IMAXの音響は流石である。存分に楽しめる。まぁ、そのためにこちらが払うコストは安くないので、お好きな方にはオススメする程度である。
個人的に一番気になっているのが「聖の存在」である。
なぜ彼なのか?彼でなければならないのか?
彼を出すために唯一の未来人で東洋人で男性で看護師での設定がつきまとい、渋谷のダンスシーンがついて回る。
過去と未来、生と死が溶け合う世界などではなく、シンプルに死後の世界でも良かったのではないか?
彼女の許しへの過程がテーマであるなら、彼女の父親の少年時代の姿でも良かったのではないか?
なぜ「聖」なのか?これがずっと付きまとい、彼がなぜ弓を弾けるのか、馬に乗れるのか、疑問が次から次に湧いてきて、作品世界から引き戻される。
また、彼女がなぜ彼に惹きつけられるのか、急に恋心を宿すのか、あのダンスシーンでそんなに心変わりするものなのか、ラストで彼女があんなに駄々っ子のようになるのか、疑問は尽きない。
演じた岡田さんは完璧なのに、彼の存在自体が作品のノイズになっているように感じる。
ひょっとするとラストシーンありきで逆算で全体を作り上げたのだろうか。
通常なら脚本段階でラストシーンの軌道修正が検討されてもいいはずなのに、監督&脚本であるが故にその修正も効かなかったのかもしれない。
SNSなどを見る限り「芦田愛菜の演技」に疑問を呈している人をほとんど見かけない。
確かに彼女は上手い、そして器用だ。これまで他の声優作品も見ているが、これは一貫している。
ただし、今作においては事情が異なる。
彼女以外のキャストがベテラン・演技巧者の俳優・声優で占められている。端役に至るまでもう驚くほどのキャスティングである。するとどうなるか?
彼女の演技が浮いて見えるのだ。
彼女はスカーレットではなく、スカーレットを演じてる芦田愛菜なのである。
彼女が器用であるが故なのか、子役からの癖なのか、役者としての経験値不足なのか、どうしても芦田愛菜が透けて見える。特に長台詞や感情の高ぶるシーンでは顕著で、ラストのもう一人の声は単なる芦田愛菜になっている。
もし彼女ではなく本職の声優が担当したら、あるいは彼女の役者としての経験値がもっとあったなら、と想像してしまうほどに惜しい点に感じる。
本作に関して、プロモーション的にどうなのか?というのがある。
世界展開を視野にソニーを入れたのは良いが、そのために作品世界が複雑になってしまったのではないか、と感じる。
ハワイや中米、中東など様々な世界が出てくるが、必然性が感じられない。溶け合う世界を演出するためだけなら、いっそ死後(過去と現在)でヨーロッパに絞った方が良かったのではないかとも思う。
昨今のディズニー作品がポリコレを変に意識しすぎてキャラがおかしくなってるのに近いものを感じる。
世界に受け入れられるのは見た目の多様性ではなく、もっと根本的なものを真摯に取り扱うかなのではないかと思う。人種や性別を変に意識して世界観がおかしくなる方が本末転倒な気もする。
冒頭の予告編だけど、主にアニメ系作品の上映時に流れていた印象が強いが、これも逆効果だったのではないかと思っている。
近年の劇場アニメ作品はとてつもなくレベルが高く、そんな作品を見に来た客にあの予告編を見せて、見に行きたくなる客がどの位いるのか疑問である。いっそ実写系作品の前に流した方が良かったのではないかとも思う。
プロモーション側も「ポスト宮崎」としての細田作品に期待しすぎなのではないかと思う。
というか宮崎駿が特別なのかと。監督としてのスキルはそれほどでも、不足分を補って余りあるアニメーターとしての力量が凄まじい。だから作品として成立しているし、世界的な評価も高い。
そもそも細田作品も新海作品も「ジブリ的な作品」として認識している一般客が多く、そのジブリブランドすらも近年怪しくなりつつある。日テレで定期的に放送してるから知名度が保てているだけで、もはや今のアニメ観客の多くはそこを求めていないではないかと思われる。
そんな状況で「ポスト宮崎=細田作品」というプロモーションはなかなか刺さらないのではないか。輪をかけて近年の細田作品はアニメファンに受けがいいわけではない。
もう少し、作品内容自体で宣伝した方が良かったのかも。
以上、部分部分は良いが、全体としてあるいは要所要所が気になってしまい、これまでの細田作品の中でも上位には食い込めない、そんな印象でした。
細田ファンしか評価しないよね(汗)
本当につまらない内容でした。
ぼくは細田さんの映画が好きで全て劇場で観てきましたが、3作前からあれあれどうしちゃったのかな?
ととても裏切られた感じです。
スカーレットも主人公が困れば謎のドラゴンが悪をやっつけてくれる、こんな都合の良い話に共感はできません。
悪側もいろんな理由があるだろうに表面的なとこしか描かれてなく、黄泉の国も偏った人たちしか出てきません。
雑なストーリーづくりで、こんな綺麗事で戦争もなくなりませんし、説教臭い割に教えが現実的ではないですね。
美しい背景ですが、最近の映画ではそんなに驚くほどではないですね。
あの渋谷のダンスパーティー的なところもまったく意味不明(^_^;)要らないです。
ほんと残念な出来でした(T_T)
不器用すぎです
まずわたくしの評価基準は作り手メッセージが濃いかどうかが大きいので、視点が合わない方が多い前提でコメントします。
作品そのものは温もりのあるメッセージを感じられる点、おまけ評価込み星5つけさせてもらいました。今どきらしくない映画の良さを楽しめます。
●気になる点
皆様ご指摘の通り細田作品あるある、脚本中の設定不自然箇所、現代人が聖しかいない気がする点(モブまで注意深く観察したらいるのだろうか…)。死後世界で食料は何処で誰が作っているのか?死人に必要なのか?などなど気になります。また、シーンが単調に長く進む箇所があり、ストーリーが中だるみし途中で飽きてしまい(後半は盛り返すが意識が途中離脱する人も多そう、)観る人を振るいにかけてくる点笑。突然のミュージカルシーンへの違和感は世界線それぞれのギャップ感で現代社会平和部分の尊さを強調する意図とわたくしは受け止めましたが、観る人の多くはそう受け取らなそうだし、観てる側が少々恥ずかしくなる点。このあたりからのスカーレット心境変化も唐突過ぎてやや強引、何かもう一工夫ほしい点。あと、頑張ってはいるけど技術の追いつかない芦田愛菜の声演技。シーンごとの演じ分けが物足りずストーリーに集中できない点。
●よき点
冒頭でお伝えしている通り、昨今の映画としては珍しく、古臭い作り手のメッセージが良い意味で濃く伝わってくる。我々の生きる現実世界で起きている命への尊厳軽視など不穏な情勢に対する力強い祈りがあり共感できる点。また、映像の迫力や美しさは映画館前方での鑑賞をお勧めしたい。芦田愛菜の歌はよい。脚本のディテールにはツッコミ入りがちですが、トータルでは最後までちゃんと見続けることはできるので、そこまで酷いストーリー展開ではない。
というわけで、明らかに気になる点の方が多く星の数と矛盾しており、細田が思いを届けたい国内の相手には多分届きにくいのだろうな、閑古鳥のまま悪評とともに短期間上映で終わりそうだな、とも思いますが…
心の中でツッコミを入れながら大きな龍の表すものについて留意しつつ寛大な心持ちで鑑賞してほしい不器用な人の作った映画です。
果てしなくスカッとならぬ果てしなくイラっとした作品
個人の見解だが、観客を置いてけぼりにして細田守さんだけが満足している映画になってしまっていると思った。
私は個人的にバケモノの子やおおかみこどもの雨と雪は好きなのだが、この作品は良いところを探すのが大変なくらい、残念な駄作であった。
セリフが陳腐すぎる。
主人公が復讐をやめる時も、え?そんなことで長年の復讐心って無くなるか!?と思ったり。
感動も何も無く、ただただ脚本に終始イライラしてしまった。
果てしなきスカーレットならぬ果てしなくイラっとした作品であった。
いつか名作と称される日がくる
細田守監督作品の最高傑作と思います。私が観たアニメ作品(多くはないが)の中でもNo.1と言えます。厳しいレビューを投稿した皆さんには信じられないかも知れませんが、私はスカーレットが夢の中で未来の渋谷で聖とダンスするシーンを見て涙が溢れ出てしまいました。ひたすら暗い「死者の国」で復讐の為に彷徨っていくなか、それとは真逆の煌めく程明るい世界でキラキラの笑顔で踊っているスカーレットの姿に感動したからです。そしてスカーレットはどんな形であれ、必ずこの暗闇の世界から抜け出し「生きていって欲しい」と、祈ったのでした、。
現代の社会は「復讐の連鎖」を象徴するような戦争が各地で勃発しそれは何処も終わりが見えない。トランプの介入によりたとえ停戦が実現したとしても「憎しみ」「恨み」は消えないのでおそらく同じことが繰り返される。そこには互いを「許す」という概念は微塵もない。中世の昔も現代も為政者は「他国に勝つ事」で尊ばれるとの考えが消えない。口では隣国と共生するなどとも言うが、口を滑らせた我が国の為政者は戦うことを厭わないと同義語の発言をしてしまう。
映画の中の聖の言葉や行動、それにより復讐をやめ「許す」という概念を持ったスカーレット。綺麗事とあざ笑うのか、素直に共感し平和を希求するのか、、。
細田守監督は「争いの絶えない今の世界だからこそ、復讐をテーマにした」と言っている。
どれほど観客に伝わったのかは分からないが、少なくとも私は深く理解した。
映画comで異常なほど評価が低い時でも観たい映画はちゃんと観る。良作か駄作かは自分の価値観で決めればよい。って事を学んだ。
映像の美しさを堪能
原作未読でIMAXでの鑑賞。
実績のある制作会社やスタッフが作ってるだけあって映像、音楽、キャストいずれもとても力の入った作品でした。
特に異世界の表現は、とても臨場感があります。観ているだけで荒野に一人放り出された気分になれます。
人物の表現もそうですが、背景と群衆の表現は、特に力が入っていて実写では出せないリアルさがあります。
(よく見るとひとつひとつきめ細かく描かれている。。。)
ただ、物語の進行においてなぜこのような状況になったのか一瞬理解できない場面が度々あるため、
物語の世界に没入する事はできませんでした。あれだけの群衆がいたのにどこに行ってしまった?など。。。
あと、主人公の声の芦田愛菜さんがとてもよい演技をされていましたが、
芦田愛菜さんのキャラクターが際立ってしまい、個人的にはいまいち主人公に感情移入できませんでした。
(常に芦田愛菜さんの顔がちらついてしまう)
物語としては、普遍的な復讐劇であり、クローディアスの存在をもっと際立たせる事ができれば、
感動が深まったのではと感じました。
鑑賞されるのであれば映像美、音楽を堪能できるIMAXがよいかもしれません。
世界の境目で愛菜がさけぶ
【所感】
細川守監督の新作が酷評続出ということで、それを確認しようと思い、平日の上映で観ました。上映直前まで観客は私ひとりで、結局4名というスカスカの客入りでした。酷評の影響でしょうか。まあ、他の観客の動きに気が散ることはなかったのですが・・・。これで、興行的に大丈夫なのでしょうかと。
映画が始まり、冒頭のつかみは悪くなかったものの、10分も経たないうちに集中力が切れて、早く終わらないかなと感じてしまいました。空腹や眠気も手伝ったかもしれませんが、何より映画の設定が自分の想定と大きくずれていたせいかもしれません。
物語は、ルパン三世のマモー似の存在が支配する、あの世とこの世のボーダーラインの世界が主な舞台となっています。あの世とこの世の間の世界という設定は面白いと思いましたが、その世界の描写は岩だらけの地表や砂漠中心で、設定が映像に活かしきれていないように感じました。ボーダーラインの世界の空の表現も、どこかで観たような映像でした。
世界観の設定も無理があると思いました。昔のデンマークのお姫様と現代日本の看護師がボーダーラインの世界で出会うというのは説得力に欠けるのでは。むしろ、素直に日本の戦国時代のお姫様に変えてもよかったのではないかと思いました。でも、それではクレヨンしんちゃんの映画になりますね。
スペクタクルシーンでは、群衆シーンや巨大ドラゴンとドラゴンサンダービームの迫力はありました。ボーダーラインの世界の人間が、虚無となってあの世に逝く際の消滅シーンは、アベンジャーズでの消滅シーンの踏襲に見えました。ワームホールは唐突。
登場人物のセリフですが、なぜか、滑ることか多くて、頭に入ってきませんでした。特に、マモー似のセリフは、哲学的なことを言っていますが、滑りが顕著に見られます。途中で脈絡もなく何度か登場するダンスシーンも滑っていて、フラダンスまで出てきて、物語の展開がそこで止まってしまいました。ボーダーラインの世界に、中東の人間が多いのも疑問でした。あっ、砂漠だからか。作画は終盤で急にレベルダウンして、薄っぺらになります。予算切れだったのでしょうか。
そして、最大の問題は、芦田愛菜さん。いや、愛菜さん自身が問題なのではなく、たぶん、監督の演技プランのせいでしょうか。映画では、芦田愛菜さんが演じるスカーレットが、ひたすら泣きわめき叫ぶということになっています。愛菜さんには悪いのですが、その叫びがいろんなシーンで繰り返されるため、正直耳障りでした。極端に言えば、疲労感につながるほどでした。監督が意図的に極端な感情表現を連続させて、観客に強烈な印象を与えようとしたのか、だとしたらまったく逆効果となっています。
岡田さんは過去のテレビドラマ「トラベルナース」のイメージでキャスティングされたのかもしれませんが、岡田さんでなくても別によかったのではないかという印象。役所さんの悪役は、これも演出でしょうか、ただただ大声でどなるだけで、役所さんの演技力が作品に活かされていない感じです。他の声の出演者も無駄に豪華かなという印象でした。映画の前に、テレビで見た出演者達へのインタビューでの、出演者同士のやりとりに漂う微妙な雰囲気も、現場の混乱を映しているのかと納得しました。
総合的に見ると、監督が、何かメッセージを伝えようとしているものの、観客に伝わるかたちで整理されていないと思いました。才能ある愛菜さんや他のキャストによる声の演技も、その極端な感情表現の演出で私の思考をストップさせてしまいました。物語自体はシンプル(敵討ち・復讐劇)で、ボーダーラインの世界という設定にも面白みはありますが、昔のデンマークのお姫様と現代の日本の看護師の組み合わせの違和感、過剰な感情演出、滑るセリフ・ダンスなどによって、物語がわかりにくくなったように思います。
これまでの細田監督作品は、嫌いではなかったので残念です。
愛菜さん、ごめんなさい!最後の歌はすごくうまかったです!
国宝ならぬ酷評を確かめたい方にはおすすめします。
11/28 酔爺
芦田愛菜だよ♪(映画『F1/エフワン』を再上映して!)
日本のCGアニメの転換点だと思う。
細田守作品はだいたい観ています。
ファンだからではなく、「新作を観る価値がある監督」だと思っているからです。
新作のたびに賛否が巻き起こる監督で、今回も公開直後から酷評の嵐。
それでも事前評価はなるべく遮断して劇場へ向かいました。
■結論
私は、この作品がかなり好きです。
まず序盤の時点でCG映像としての「レベルの高さ」に脱帽しました。
そして作中に何度も現れる、古典美術や舞台演出の引用。
アニメ的な豪快な動と、舞台のような静かな構図。
このコントラストが魅力的でした。
ほぼ全編CGでここまで成立させたのは本当にすごい。
日本の作画アニメの良さと、CG表現の良さが絶妙に調和しています。
■物語について
この作品は、古典劇『ハムレット』がベースにあります。
復讐・赦し・生と死。
重いテーマを扱いながらも、ただの復讐劇にはならない。
物語の終盤では、細田監督らしい“現代的な答え”に着地します。
物語の構造には魅力があります。
ただその一方で、キャラクターや設定の掘り下げは、もう少し丁寧でも良かったな…
■今作のすごいところ
圧倒的な映像表現です。
海外のCGアニメの模倣でもない。
細田監督と技術者たちの挑戦が、ちゃんと形になっている。
日本のCGアニメがひとつ前へ進んだ作品だと思いました。
■最後に
完璧ではないし、万人に刺さる映画ではないかもしれません。
でも間違いなく挑戦している作品で、
何年か後には「転換点」として語られる映画になると思います。
数日経っても、いまだに映像や演出を思い返してしまう。
そんな映画、そうそうありません。
観れてよかった。
突然のワームホール??
人生初の貸切映画館でした。しかもシネコン1の大箱で。
評価が低いので逆に気になって観てきました。
慕われてる父王が簡単に殺されたり、スカーレットも簡単に毒殺されたり、敵王も簡単に死んでたりと、話があっさり進行してまず拍子抜けしました。
死後の世界では時代も地域もごちゃ混ぜのはずだけどデンマーク王国の人ばかりだし、1人だけ現代人の日本人というのも違和感が。
芦田愛菜ちゃんは歌も上手いということが分かったのが収穫でした。
王女様の傷をどう癒せばいいのだろう
激辛レビューが多くて正直見に行くのが怖かったです。だけど、細田アニメは、子どもに見てもらいたいコンテンツなんで、行かなきゃいけないよな、とも思いました
細田アニメに出てくるヴィランは強くても未熟で心に傷を負っており、これは問題を抱えた子どものメタファーなのだなと、解釈してしまう。主人公は戦っているようで、実はヴィランを救っているという構成が、たとえ君が悪い子でも私は見捨てないというメッセージを私のような弱い親の代わりに子どもたちに語ってくれているような気がして、やっぱ応援しなきゃなと思った次第。
五百年前の英国演劇の翻案だと飲みこんでいれば、おおげさな表現や図式的な人物像などなど指摘されている「欠点」は気にならない。むしろ欠点を改めたら、妙な現代感がスケール感は損なうのではないかと思いました。
古典を下敷きにしたファンタジー史劇として傑作だと思いますし、シュールな構成も刺さる人には刺さると思います。
強くても無敵ではなく、強靱な意志があっても未熟、傷を負って汚れることを厭わないヒロインは今風に魅力的でした。
問題は十分なカタルシスを味わえないという点でしょうか。
つまりスカーレットが救われた感がない。
復讐に取りつかれた狂戦士である彼女は、過去作だとヴィランとして現れるような存在ではないかと思います。説明不足ではありますが竜は彼女の暗黒面だと過去作から推測できます。15世紀の王女は母と叔父に裏切られ、21世紀の彼女(たぶん存在する)もおそらく深刻な家庭の危機に陥っているのではないでしょうか。
元気な男の子も歌姫も現れず、弱々しいパートナーと聞き取れない父の臨終の言葉を頼りに彼女は自分を回復しなくてはいけないのですが、物語上、救済の手立てを表現するエピソードに強さがなく、ハッピーエンドに無理矢理感が醸し出てしまった。
救われないのもまた道ではなかったか。
スカーレットは冥府の戦士として生きていくべきじゃなかったのか?ハムレットだって結局誰も救われず血まみれ惨劇として終幕します。最後に赤髪の少女だけが救われてエピローグを語ってもよかったと思います。これもシェイクスピアによくあるオチ。
ともあれここで救いを提示できれば世の中変わるぐらいの功績だったと思いますので、出来なかったことに怒るのは期待が大きかったのだろうなと受取っています。バッシングがマツリになっている、とは思いたくないですね。
【悲劇】メッセージ性の奴隷となったスカーレットたち
★ポイント
・スカーレットが可愛い(唯一の良い点)
・スカーレットの感情の揺れ動きが無理やり過ぎる
・聖に人権が与えられていない(特大マイナスポイント)
私が一番許せなかったのは、
自分でも意外なことに聖というキャラの扱いについてでした。
彼は一人の人間のハズなのに、作品内で彼の人生について語られる場面は非常に少なく、「本当にこの世界に生を受けていた?」と聞きたいほどにキャラの背景がペラッペラ。唯一、『看護師だから善人も悪人もみんな助ける!』というアイデンティティがあるのみです。
にもかかわらず終盤、そのわずかなアイデンティティさえも脚本都合のためだけに細田守にむしり取られてしまいました……。
細田監督は、聖の人間性をなんだと思っているのか?
メインキャラのたった一つの個性すら尊重できないのかと、割と本気で怒りを覚えました。
また、スカーレットの感情の動き方が無理やり過ぎるのもイマイチ。
それまで数年単位で激しい復讐心に燃えていたハズのスカーレットが、唐突に父親の遺言の意味を熟考して聖と意見交換を始めたり、乙女に目覚めたり、恋愛感情を抱き始めたり……。
いや、そうはならんやろ。
というくらいコロコロと感情を変えさせられていってしまいます。
聖もスカーレットも、あまりにもそのキャラの在り方が脚本に依存し過ぎに感じました。
彼らの存在意義はもはや「復讐は自分の番でやめよう」というメッセージを観客に伝えるためだけに用意された奴隷……言葉は悪いですが、そう思えてしまうほど。
スカーレットはとても可愛いのに。
それだけに、キャラ軽視とも言えるこの作品の出来栄えを非常に残念に思います。
聖は生きている
細田守監督の作品は金曜ロードショーで放送された『サマーウォーズ』しか触れたことがなかった。そんな細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』。
予告を見て「面白そう」という単純明快な理由で観たが、観賞前は全くの予備知識無しで臨んだ為「一体どのようなストーリー展開になるのか」と期待もしていた。
観終えた感想を一言で言えば、素晴らしい。
復讐とは?許すとは?生きるとは?愛するとは?
至ってシンプルなようで難しい哲学的な問いを考えさせられた。
また、16世紀から来た復讐に人生を捧げるスカーレットと現代の日本から来た困っている人を見ると放っておけない心優しい看護師の聖。
時代も住む国も生き方も対照的な2人が同じ世界で同時進行し、親密になっていく描写も良かった。
これほど心に残る作品は最近の中で一番であり、観賞から3日後の今も余韻に浸っている。
そしてこの作品を観た後、一つ思うことがあった。
聖は生きている。
ラストのほうで虚無になり、死んでしまったのでは?と思う方もいると思うが、聖は生きている。
なぜ生きているのか。
聖が生きている理由は4つある。
①虚無=死ではない
公式が使っている作品上での虚無の意味は「その存在が消えてしまう」。
スカーレットとの別れ際、聖の存在そのものは消えてしまったものの、死んでしまった訳ではないので未来で誕生する可能性も否めない。
②別れ際、聖への要求
別れ際、スカーレットは聖へ「未来が平和になれば聖は殺されたりしないよね?そのために私なんでもできることするから!そしたらもっと長生きして!家族を作って、子供を作って、いいおじいちゃんになって!」と願うように要求した。
もしも聖がこれから死んでいくのなら、スカーレットはこのような言葉を投げかけるだろうか?
どう考えても不自然である。
この時スカーレットは「元の時代に戻って平和な世界を築けば未来で聖は生きている」と思った上での発言だろう。
③16世紀末に戻ったスカーレットが平和な世界を築き上げた
映像にもあったように16世紀末に戻ったスカーレットは平和な世界を築き上げた。そして世界が平和になったことにより数百年後に誕生した聖は殺されずにすんだのである。
④ 2034年の渋谷
スカーレット・・・16世紀(1501年〜1600年)のデンマークから来た。
聖・・・現代(2025年)の日本から来た。
スカーレットが気を失った時に見た、聖と一緒に踊っている場所・時代は2034年の未来の渋谷という設定で公式は「聖の存在する未来の世界」としている。
聖は2025年に死んでいるのなら2034年の渋谷で軽快に踊っていないのだ。
スカーレットと思しき女性は現代風の髪型と服装なのでスカーレットの子孫なのだろう。
元の時代に戻ったスカーレットは自分の本当の生きる意味を見出し、復讐に囚われていた人生から「子どもを死なせない」、「争いが無い平和な世界」を作り、聖のような心優しい女性としての人生を歩み始めた。
それが2034年渋谷で聖と踊っているスカーレットの子孫の表情が物語っている。
したがって上記の理由をまとめると、16世紀末に戻ったスカーレットは王女として平和な世界を築き上げた→世界が平和になったことにより数百年後に誕生した聖は2025年に殺されず、2034年渋谷でスカーレットの子孫と軽快に踊っている。
聖は生きているのである。
ちなみに、スカーレットが目を覚ました時「(聖がダンスを)リードしてくれた」と呟いていたので、踊っていた2人は恋人なのだろう。
※12/5追記
12月5日に行われた舞台挨拶『果てしなき全国キャンペーンin静岡』の質疑応答コーナーにて細田守監督ご本人に、私の考察の元「聖は生きているのでしょうか?」と質問させていただいたところ「この物語にはタイムリープが生じていて、別の時間を生きる人がひょっとしたら未来を変えるかもしれない、変えないかもしれない、その後はどうなったのかと想像するのは楽しいので皆さんの胸の中で考えてもらいたいです」という回答をいただきました。
全851件中、361~380件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。





