果てしなきスカーレットのレビュー・感想・評価
全851件中、221~240件目を表示
ちょっとした事前学習をすれば面白い
他の方もコメントされていますが
この作品がハムレットオマージュと理解しておけば、
純粋に楽しめると思います。
そこを抑えれば、登場人物の行動原理や、エンディングにおける仕掛けは、前作の「竜と…」よりもスッと腑に落ちるところが有りました。
細田監督作品に共通する「人に対する温かな視点」は、本作でも共通していますし、舞台設定も合わせてより強く訴え掛けるものになっています。
一方でそのメッセージ性の強さと理想論的な内容故に、観る人によって好みが分かれる部分でしょう。
スカーレットは我々からすれば過去の世界に戻っていったのですが、その努力が身を結んだのかどうかは描かれませんでした。
惜しむらくは、物語の構造上そこを描く余地は有ったのでは?と思える点でしょうか(現代では聖が目を覚ますなどして)。
言われているほどはひどくない
吉田鋼太郎だけは吉田鋼太郎だと誰でもわかる
2025年映画館鑑賞120作品目
11月30日(日)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
監督と脚本は『時をかける少女(2006)』『サマーウォーズ』『バケモノの子』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』の細田守
16世紀のデンマーク王国
権力争いに巻き込まれたスカーレット王女が復讐に失敗し「死者の国」にやって来た
死者の国だがもう一度死ぬと枯葉の山のようになって崩れて消えてしまう虚無となる世界観
生前の主要メンバーが殆ど死者の世界に
現国王の方針で戦争を始め多くの民が亡くなったのだろう
そこにひょっこり場違いな現代日本の看護師が遭遇するがデンマーク語と日本語でも会話は成立する都合がいい世界
見果てぬ場所の階段を登れば生き返ることができるらしい
父を処刑したクローディアスに復讐を誓うスカーレットだが父の遺言「ゆるせ」が引っかかる
「死者の国」という世界観に戸惑うかもしれない
これについては予習をしておいた方が良い
ネタバレなんて極端な話オチが分からなければ良い
まあ感情論の問題で実際のところネタバレしても楽しめるけどね
背景はリアリティだがあまり好きになれない
理由はよく分からない
群衆の描写に圧巻
原作のキングダムのような手抜き無し
特に駅前の集団ダンスが凄い
声の方は声当て専門以外が中心で声当て専門が脇を固める形か
特に違和感はない
予習していなくても吉田鋼太郎だけははっきりと吉田鋼太郎とわかるが全く問題ない
そもそも声オタが無知なだけで声優養成学校出身以外は声優として芸能界入りしたわけではないのだ
サザエさんの人だってロボコンが居候していた家族のお母さん役としてコメディエンヌぶりを遺憾無く発揮していた
芦田愛菜が良い
エンディングテーマも彼女が歌っている
自分がもし日本国憲法なら芦田愛菜を次期天皇陛下兼次期総理大臣に任命したい
若くしてそれだけの風格がある
日本人の若者の鑑である
サヨクはよく国家元首を指導者と呼ぶが僕はそれがとても嫌いで政治家なんかに指導なんかされたくないが芦田愛菜なら特別に指導されたい
で結局スカーレットの臨死体験?
シェークスピアのハムレットっぽいキャラクター名だがなぜ?
声の配役
父を殺された王女のスカーレットに芦田愛菜
現代の日本から「死者の国」に来た看護師の聖に岡田将生
戦争より話し合いで国際問題を解決する方針の心優しい元国王でスカーレットの父のアムレットに市村正親
アムレットを見限り娘を愛せないスカーレットの母のガートルードに斉藤由貴
アムレットの弟で兄の方針に反対する軍人で兄を公開処刑する冷酷な現国王のクローディアスに役所広司
クローディアスの側近で屈強な武術使いのコーネリウスに松重豊
クローディアスの側近でアムレットの最後の言葉を知っているヴォルティマンドに吉田鋼太郎
クローディアスの側近で監視隊のポローニアスに山路和弘
クローディアスの側近で監視隊のレアティーズに柄本時生
クローディアスの家来のローゼンクランツに青木崇高
クローディアスの家来のギルデンスターンに染谷将太
死者の国の少女に白山乃愛
死者の国の訳知りの老婆に白石加代子
墓掘り人宮野真守
墓掘り人に津田健次郎
キャラバンのリーダーに羽佐間道夫
「見果てぬ場所」を知る宿の主人に古川登志夫
必ず、あなたに辿り着く。
悪くはないけど惜しさを感じる
あらすじをだけを見たなら、面白そうな映画だと思うだろう。ストーリーとして、無駄だと感じる場面は少ない。技巧への賛否はともかく、映像美も感じることができた。
ただ、実際に見ると、以下の2点が観客の心にブレーキをかけてしまっているのではないのか。
1つ目は、映像とシナリオが暗くて重いこと。復讐が主軸で、且つ死者の世界という荒涼とした場面での展開が続くので、冗談や、綺麗な場面といった息抜きになるようなシーンが少ない。観客が主人公の辛さを共有すればするほど、悩み苦しさといった負の感情を置き去りにできず、どんよりとした心の重さが残ってしまう。メインのポスターも、どうしても「暗い話し」という先入観を生んでしまうビジュアルだと思う。
2つ目は、あらすじとしてはおかしくないものの、場面転換が唐突で没入感が失われていること。細田監督作品のお約束である、説明のない異質・特殊な存在や環境というのは、物語がフィクションである以上、現実世界との整合性を「説明」する必要はないものの、場面転換に伴う大胆な状況の切り替えに観客の頭がついて行けず、没入感が失われてしまったのではないだろうか。この違和感は、物語を読み込めば消えていくものであると思うが、ストーリーを熟知して作り込む制作陣と、全てが初見の観客とのギャップを生んでしまっていると思う。
2点目に絡んでだが、前作は、モーションキャプチャー、現実の田舎としての高知と学生生活、迫力のある歌手(中村佳穂さん)、メタバースなど、現実をうまくアニメに取り込んで評価されていた。ただ、今回は、ベースとなる時代設定が中世と、仮想の死語の世界なので「リアル化」に伴う共感も得ずらかったのではないか。ましてや、物語の主軸が、普通の現代人の聖と、特別な存在である中世の「王女」であるスカーレットとの交流なので、より主人公であるスカーレットへの感情移入がし辛い環境になってしまっていると思われるのが惜しいと思う。
酷評が酷すぎる。
SNSや動画配信サイトなどでの本作品への行き過ぎた酷評には目に余る物があると感じ、初めてレビューを書きます。
本日鑑賞してきました。
内容は普通に楽しめる物で、疑問や違和感が残る部分はありますが、自分の想像で補填できる範囲で、酷評される程の事はなかったです。
逆に"想像させる余白"としと捉えれば良いと思います。
良い意味で今時の普通の作品、ストーリーもわかりやすく、安心して見れます。
所々の演出も好きでした。
例えば、最後の扉のシーン。
本当の入り口は湖面に反射した扉だった的なシーンは、正統派なファンタジー童話の演出の様で素敵でした。
主人公、スカーレットはキャラクター制作にかなり力を入れてたんだろうなと感じました。
スタートから少女を泥にまみれさせ、飢えさせ、嘔吐させ、ボロボロにし、恐怖や殺意で歪んだ表情のカットが多く制作者側の歪んだフェチズム的な物を感じましたw
表情のバリエーションが豊富で生々しい"戦乙女"が好きな方はスカーレットを見にいくだけでも価値があるのではないでしょうか。
途中の渋谷でのダンスシーンですが、ここは確かに突然感はありましたが尺は短く"スカーレットの時代"と"聖の時代"が一瞬繋がるSF的演出なので苦はないです。
酷評の嵐の原因は"作品"言うより"アンチ"が多いのかな?っと感じました。
酷評を通り過ぎて"酷評大喜利大会"いじめの状態になっているのは制作陣のメンタルが心配になります。
私のレビューも含めて、他者の評価を気にし過ぎず、フラッと見に行ったらいいと思います。
なんか色々もったいない
周りの評価で判断せずに自分で観てみてみよう
あまりにも酷評されているので今回はスルーしようかと思いましたが、まずは自分で観ないことには評価・批判もできないと思い、ダメージを少なくするため映画の日に鑑賞しました。
ちなみに今まで観た細田監督作品の私の評価は、以下のとおりです。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」→4.0
「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」→3.5
「竜とそばかすの姫」→3.0
「みらいの未来」→2.0
結論としては、思ったより良かったです。
まず、背景を中心とした映像には迫力がありました。場面によっては実写かと思うぐらいでした。
ただ、人物はデフォルメされた3Dアニメのキャラクターだったため、逆に浮いてしまったのかもしれません。
特に重要人物である聖のデザインが何か安っぽいCGアニメの感じがして残念でした。
個人的には、キャラクターデザインは貞本さん担当の頃が良かったです。
ストーリーに関しては、みなさんが仰っているように粗(ツッコミどころ)はありますが、監督の伝えたいメッセージには共感できました。
憎しみや対立が国家間や社会でも渦巻いていますが、他者、ひいては自分の愚かさ、過ちを赦すことも大切なことです。
綺麗事に過ぎないと思う方には全く響かないかもしれません。
批判が多いスカーレットと聖が現代で踊るシーンも、別の時代に生まれていたら全く違う生き方をしていたかもしれない自分を垣間見た、という演出だと思えば、私はそれほど違和感を感じませんでした。
ただ、もっと終盤のシーンで挿入したほうが良かったのかもしれません。
キャラクターデザインと脚本をもう少しブラッシュアップすれば、もっと良い作品になったと思います。
昔の細田監督っぽい作品を求めていた人にとっては期待外れだったのかもしれません。
観るべきかどうか迷っている方に対しては、
「あまり期待せずに観ればそれほど悪い映画ではない」
と言いたいです。
評価なんて千差万別、まずは自分で観てみないと分からないですよね。
天才的アニメーションと不可解な作劇が一体となった怪作「許せない!許せない!」
開始してからタイトルが出るまでの数分間、死の国の描写と彷徨するスカーレットの迫力がすさまじい。低評価の予備知識がなければ傑作を期待していたかもしれない。「めちゃくちゃ面白くなりそう。でも、これからつまらなくなるのかな?」とハードルを下げて鑑賞することができた。結果、最後までがっかりすることはなかった。
しかし低評価もやむなしと思わせる不可解な部分が多い。
「復讐心に苦しむ」→「愛を知る、復讐のむなしさを悟る」→「赦しと解放」
という精神的過程を描くストーリーになるのかな?
となんとなく予想しながら見ていたが、精神的葛藤と変容はあまり説明されない。
王女はずっと「許せない!許せない!」 状態。
彼女に変化を与えるはずの善意の日本人看護師が登場するが、彼がどう効いているのかよくわからない。
ところが、ラストで決定的に影響を与えていたことが分かって驚愕。しかも彼のことを好きになってた。そのうえ、未来に生きる彼が幸せになる世界を頑張って作ると宣言。
唐突に感じたのは自分が悪いのかもしれない。途中少し寝ていたから重要な描写を見逃していた可能性がある。
終盤、唐突に「自分を許す」ことが復讐から解放される方法だとスカーレットが悟るが、突然過ぎて理解不能。こちらはそれまでスカーレットが罪悪感に苦しんでいると思ってなかったのでかなり不意打ち。
「復讐の連鎖を断つ」ことの難しさを毎日感じている観客に対して、納得できる答えを提示できるのか?細田さんはこの問に真摯に向き合ったにちがいない。多分、考えすぎてよくわからなくなったのだろう。その真剣さを感じられたので理解はできなくても不快感はなかった。
自分は「竜とそばかすの姫」の児童虐待への対処が本当にゆるせない派なので、あれと比べると今作は嫌悪感を抱かせないだけずっと良い。
女王就任演説と喝采を送る国民の「お花畑感」も凄烈。しかし、これは過度な楽観主義に対する皮肉の可能性まである。
ストーリーの不可解な部分はあるが
復讐に取り憑かれた美少女剣士が好きな人には120点の映画 。
視覚的にはこれまでの細田作品で一番好きかもしれない。
声優の芦田愛菜さんが批判されているが自分は良いと思った。
面白いし、考えさせられる映画だった。
期待の裏返しの低評価が目立っているが、興味がある人は評価に惑わされずに見てほしい。
思ったほど悪くなかったけどなぁ
原作未読。
「爆死」とか「観るに値せず」など酷評されているようですが、私はそれほどまで悪くないと思いました。
CGなどの映像は綺麗だったし、エンドロールの芦田愛菜さんの唄も良かったと思います。長年シェイクスピアの舞台芝居をやっている吉田鋼太郎さんのセリフの言い回しも良かったと思います。
以下思ったことですが…
①渋谷のダンスシーンは何だったのかしら?
②「ハムレット」と「神曲」をベースにした作品のようだけど、なぜあえて日本人の聖(←岡田将生)が登場するのか?
日本人じゃなくてデンマーク人とか欧州の人で良いんじゃないの?
↑③復讐劇にするならば、設定を日本の戦国時代にする、たとえばある藩の殿様の兄弟争いにするとか…
➃婆さんとドラゴンは、何者?
結局のところ 復讐というかお仕置き、成敗はドラゴンが成し遂げたということ…
「赦すとは」がテーマのひとつだと思いますが、難しい問題ですね...話しは飛躍しますが、現実の世界で遺族の方が納得されて、多少なりとも心休まることができるなら、死刑制度も意義があると思います……
111分じゃ足りない
限られた上映時間の中で収まり切らずに話がよくわからない作品というのが、映画ではしばしばあるけれど、これも「なぜ?」が絶えない感じでした。
国民から慕われる、善政を敷く国王アムレットなのに、なぜ処刑されたのか?
王弟クローディアスが「王は敵国と通じている、裏切り者だ」と騒いだところで、王を守る忠誠心のある兵士達がいれば、裁判のいとまもなく即刻処刑なんてこと、できるわけがないと思います。
王妃の態度もの理由もわからないし、クローディアスが死者の国でも王として君臨していたことも分かりません。
兄王を謀殺した、対話よりも争いと殺戮を好む粗暴な人間が、人々を従えることのできる要素など、一体どこにあるのか?
死者の国で生前の王権が通用するとも思われないのに。
原作の文庫を読めば、良い話なのかもしれません。
でも、映画の内容に限定すると、謎だらけです。
それから、聖がキャラバンの人達と打ち解けて、踊る場面のキャラバンの人達とか、最後に女王になったスカーレットが国民の前で挨拶をしたときの国民とか、映画なのに静止画で線の書き込みも細かくない、まるで予算の少ないテレビアニメみたいで、映像として残念な感じがしました。
興行収入が低い滑り出しだった、低評価が多いと聞いていたけれど、「これはそうだろうな。と思いました
面白いと思う人はもっと積極的に納得感ある熱弁しようよ!
確かに後半は文句の付け所多いけど前半は凄い面白かったよ!
だから本気で面白いと感じる人はもっと熱弁して世間の評判もっと上げてくれ!
そんなに酷評されるほど酷くはないから!
ここからは自己満感想パートです。
良い点
・ヴォルティマンドの対決でスカーレットが剣を抜こうとしたが鞘にしまい殺さずに無力化しようとしたシーン。この時スカーレットは復讐の為なら、悪人なら殺してしまっても構わないとまだ考えていたが、父の「戦いではなく話し合いで平和的な解決を」という教え、その教えをこなす聖の行動と、スカーレットは色々葛藤を持ちつつ父と聖を信じてとった行動なんだと思いすごい胸打たれた。
・死後の世界には生き返れる果てがあり、クローディアスはそれを利用に宗教的に人々を支配しているという死後の世界の作り込みは良かった。争わないものは文化に浸り、争うものはクローディアスにつくか、クローディアスを打倒し果てを目指す、結局果てにたどり着けたものは「愛」を持つもの(文化に浸る人、皆で果てを目指そうとする人、すなわち人々を愛すもの)なのではないかと勝手に解釈しました。だからこそ悪い点1点目のスカーレットの心境が気になるが、聖を最後まで見放さなかったこと、聖の言葉を信じてコーネリウス・ヴォルティマンドを殺さなかったことは紛れもない「人を信じる愛」だと思う。
・龍の放つ雷と、噴火した火山。あれは争う人々に対する神の鉄鎚なのではないかと勝手に考えた。まともな感性の人は結局あれなんやねんで終わるかもやけど個人的には考察点なんかと思い妙に納得しちゃった。だからこそあの仙人は何者やねんて感じだけど。
・評判悪い映画によくあるレビューだけど絵はすごい良かった。3dモデルは萌え画風でもちゃんとピクサーみたいに喜怒哀楽や覇気を感じられてクオリティ高かった。
・個人的な性癖だけど細田守特有の透き通ったパステルカラーの作画がすごい好き。作画は現実パートのみだったけど龍とそばかすの時より顕著にかんじてすごくよかった。
・聖がほぼ衛宮士郎で笑った、弓使うシーンとかほぼカラドボルグ。
・気になる点はちょこちょこあったけど総合的に芦田愛菜は良かった。
悪い点
・終盤アムレットは、復讐に身を縛られず自由に生きてほしいと言ったことがわかったが、これって国のためというより実の娘のために言った言葉なのに、スカーレットはこれが今後の世界が平和になるための手段として考えてるのが謎だった。現実問題クローディアスが酷い圧政を尻目に復讐なんて考えず自由に生きてたらまずいし信頼だだ下がりやん。だからこそクローディアスの呆気ない死に方とスカーレットだけが生き残った流れにご都合感があった。
・結局あの仙人みたいな奴は何がしたかったん。
これで聖が実は死んでないことにしたら、対立する必要のない死後の世界で善悪問わず誰かを助けようとする聖が、死後の世界を平和にするための立役者になるためにきた、という辻褄が合ってそっちのほうが納得感あると思ったのに。スカーレットがこの世界に飛ばされる必要あった?それこそスカーレットはただ自由に生きることを最終目的としただけやのにスカーレットが生き延びる資格あった?仙人はほんまにそれでよかったんか?
・聖の見た目もうちょいどうにかならんかったん?
感情のままに描いたんで読みにくいです。
うーん、、
細田守版『君たちはどう生きるか』?(核心には触れないほんのりネタバレあり)
開始早々、後悔した。ケチらずに IMAX で観れば良かったと。
大スクリーン、高画質、大音響で観るべき圧倒的な映像美。
酷評の嵐の中にある作品であることを理由に IMAX で観ることを躊躇してしまった。
人によって好き嫌いが分かれる作品であることは頷ける内容であった。特に、理想論に対して、綺麗事や偽善と感じて嫌悪感を抱く方からは受け入れられない作品と感じた。
酷評をしようと思ったら、至る所にその材料が散りばめられているようにも思えた。
やりたいことを詰め込みすぎてとっ散らかってる感は否めないし、小説なら章単位で話が飛んでるように感じるほど展開が早い。都合良く現れ正体が明かされないままの龍(東洋人には理解しがたい存在...?)の存在。わかりやすく盛り上がる場面はないし、皆が目指す「見果てぬ場所」がどんな楽園かは結局わからない。登場人物の心情がわからず行動に???と思うことや設定が不明瞭な点も多々あった。
『サマーウォーズ』や『時をかける少女』と比べると、抽象度の高い内容でありテイストも全く異なる。あの頃の作品が好きだった、あの頃の監督はもういない、と言われるとおっしゃる通りです、と言う他ない。
鑑賞後に、よくわからないシーンがありモヤモヤが残る方にも受け入れられなさそうである。
それでも監督のメッセージは明白だったように思う。
「生きる」とはどういうことか。
復讐心に駆られて大切な心を放棄するのか。赦すことで別の道を切り拓くのか。
命を何よりも尊重するのか。そんな信念を捨てることも厭わないのか。
欲に溺れてあらゆるモノを裏切るのか。良心など持たず権力に従順でいるのか。
眼前で大切な人を失って哀しむ人になど目もくれず、実態のわからない天国と思われる場所を利己的に目指すのか。
絶望に満ちた世界でも人と手を取り合うことで小さな幸せを噛み締めて生きるのか。
などなど。
スカーレットや聖、クローディアスなど主要な人物だけでなく、混沌とした世界に出てくるあらゆる人々の行動から、生きることの意味を観客に問いかけているように感じる。
監督自らの答えも披露してくれているが、それが絶対的な正解でなく、一人一人が自分自身の答えを見つけられれば良いのだと思う。例えそれが、クローディアスのような生き方だったとしても。
行間どころか章間を読む必要があるほどの余白の多さは、もしかしたらこのためなのかもしれない。
映画全体を通して、スカーレットの心情はとても丁寧に描かれていたと感じる。
信頼と愛を信条とする父の教えを請けて優しく育った少女が、人を憎しみ、疑い、簡単に殺めるようになる。内面の変化は、美しい容姿から変わり果ててしまった姿にも表れる。聖との旅の中でそんな心も徐々に変わっていく。
スカーレットの細かな心理描写と、彼女を復讐に駆り立てた思いの正体。これらも作品の見どころの一つである。
酷評されている原因の1つとなっている唐突に始まるダンスシーンは、復讐に取り憑かれていたスカーレットの心の変化が現れ始める重要なポイントであると同時に、スカーレットが「果てしなき旅」を始めるモチベーションにもなる、物語の中でもすごく意味のあるシーンであったと思う。
スカーレットの復讐の旅の果てにある「果てしなき旅」の始まり。
過去と未来、生と死が入り混じる世界を旅したからこそ見つけたスカーレットの生きがい。
ただし、スカーレットだけでは到底成せない、本当に本当に果てしなき旅。ヒトが皆、同じ旅路を歩むことができたらどれほど素晴らしい世界が待っているだろうか。
キービジュアルが醸し出すドロドロとした世界観とは裏腹に、希望に満ち溢れた作品であったように感じる。
エンドロールで流れる主題歌を聞いた時は鳥肌が立った。
作品の中で印象に残ったシーンを最後に紹介して終わりにする。
ある敵と遭遇したとき、聖が、交戦を避けるために勇敢にも丸腰のまま話し合いを申し出る。しかし、受け入れられず戦闘が始まり、スカーレットが敵を倒していく。
ここで、敵は聖の行動を「油断をさせた上で奇襲をしかける狡猾な罠」と解釈した。
自分の命を顧みないほど勇敢な行動が、相手には180度変わって伝わる。
人がお互いを理解し合って、手を取り合うことがいかに難しいかを象徴するシーンに思えた。
人は自分が見たい世界で生きていて、ある人の真実が自分にとっての真実であるとは限らない。
時間とお金が許すなら、ネットの情報に踊らされず、『果てしなきスカーレット』を自分自身で観て何かを感じていただきたい。(その時にはシェイクスピアの「ハムレット」を予習して行くことを強くおすすめする。ダンテの「神曲」はどちらでも良いのでは・・と個人的には思う。)
私は、もう一度、今度は IMAX で観たいと思う。
(追伸)0.5 減点した理由。
・スポンサー様への配慮だったのか 2 時間枠におさめてしまわずに、3 時間映画として制作されていたら、もっとディテールにこだわった良作になったのでは、、、と感じた
・脳みそがとてつもなく疲れた。行間や心情を考えるのに頭を使うのと同時に、映像のクオリティが高すぎるがあまり情報量が多くて、脳の処理スペックを超えてオーバーヒートした感がある。個人的には、バケモノの子くらいのクオリティがちょうど良いです。(冒頭の話と矛盾するが...
・登場人物と背景のどちらもハイクオリティであったものの、両者が調和してる感じがせず、どことなく違和感を覚えたままの鑑賞だった。これも脳が疲れた要因かもしれない。
あの違和感はなんだったのだろうか...?
ファンタジー復讐劇、、、?
観て良かった。でもまあ、売れないだろうなぁ。
観るつもりは全然無かったのですが、低評価が多くて、逆に興味が湧きました。でも万が一、『金返せ!』ってなったら嫌なので、映画の日に鑑賞。16時の回、154席中22〜24席くらい埋まってましたかね。皆さん、明るくなるまで立たなかったですよ。1人だけ爆睡してたかな。
私は面白かったです。なぜならば、予め口コミを読みまくり、図書館で『ハムレット』『神曲』を借りて予習したからです!未鑑賞だった『竜そば』も観ておきました。するとあら不思議、批判されるポイントが、ほとんど気になりません。粗筋が分かってると、美しい画面とアクションに集中できるんですね。
脚本は確かに『どうなのよ?』って思う点も多々ありますが、感動して涙する箇所もあります。飛躍する場面、説明が欲しい場面もあるでしょう。そういう時は勝手に想像しましょう。例えば看護師君。『乗馬と弓道習ってたんだな』『愛する女を救うために人命ファースト止めたんだな』とか。彼の髪型が普通だったら、名作になってましたよ。実に惜しい。
役所広司さんの演技は素晴らしかったです。妻の名前を連呼する所で、これもまた愛ゆえに犯した罪なのね…と感じ入りました。
結論、観て良かったです。でも売れなさそう。外国人には受けそうです。個人的的には最後の演説?要らないので、星マイナス1です。デンマークの民、頭が高い。誰が直答許した?『ゆるせ』かなぁ。
そこまで批評するほどでは、、、ないか?
ストーリーは、復讐に囚われたスカーレットが聖と出会い、様々な冒険をすることで復讐が全てではない。自分を赦すべきだと成長する話かな?分からんけど笑
内容は、一応わかるんだけど説明不足が多い。今までの細田守作品もファンタジー要素があるのもあったり意味がわからない場面もあったけど今回はそれが強い気がする。
例えば、龍の事とか、神?的な存在のこととか、東京?のダンスのシーンとか、クローディアスの死因が薄いとか、聖だけなんで服ごと消滅したのかとか、聖が殺すなとか言っといて自分は殺すのかとか、、、、。
疑問というか、モヤモヤした感情は解消せずなんだかなぁって感じ。
スカーレット自体(父親も)バカ正直すぎるし、騙されてからは、逆に疑い深すぎるし過去があって仕方ないけれどそこまで好きになれなかった。あと、聖。弱いのに正義感が強くて普通にウザイ。嫌いまである。
徹頭徹尾に謎が多すぎて、なんとも言えなかったけれど、割と芦田愛菜ちゃんの演技は良かったし映像は綺麗だった。あとは、ラスト。復讐しろよ!とかまだ騙されんのかよ。とか2人はこれでおしまいなのか、、、とか色々言いたいけれどとりあえずは、綺麗にまとまりハッピーエンド寄りではあったので一応満足。
行く前からレビューが悪すぎたのもあったので、期待せずに見たのでまぁそこそこ面白いのかなって思う。
最低作品とは思わない。ただ、見終わってパンフ買いたいとかもう1回行こうかなとは思わなかったかな。
to be,or not to be…
公開初日からかなり批判的なコメントが多く、一周回って興味を持ちました。
倍速視聴や食傷気味な異世界転生(俺TUEEE)、食べログ★3.5以下のお店には食べに行かないみたいな大衆が騒いでいるだけで、日本人の大衆の感性なんてどうせ感受性が死んでいるんだろうと思ってましたが、私の感受性もいよいよ遂に死んだのか、本当にフォローの余地がないくらいに作品(脚本?)が作品として成り立っていないのか判別できないくらいに退屈でした。
細田監督の作品は『時をかける少女』が一番好きで、『サマーウォーズ』と『おおかみこどもと雨と雪』で関心を失い、未視聴だった『バケモノの子』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』を観てからファーストディで観てきました。
尚、個人的に『時をかける少女』★5.0、『サマーウォーズ』★3.5、『おおかみこどもと雨と雪』★3.0、『バケモノの子』★4.0、『未来のミライ』★3.5、『竜とそばかすの姫』★4.0でそれほど悪い印象はありませんでしたが劇場で鑑賞料を支払って観るか問われれば宣伝で興味を全く惹かれなかった直感が覆されるような感動はありませんでした。
私のレビューはおおよそ下記の基準でつけています。
(他に加点も減点もあります)
★0.5は時間の無駄
★1.0は課題かお金をもらえるなら観る
★1.5はネタとして割り切るなら
★2.0はB級映画の方がマシ
★2.5は配信で十分
★3.0は悪くないが、私には合わなかった
★3.5は人によって好き嫌いかなり分かれる
★4.0は劇場で観るべき作品、
★4.5は人に勧めたい作品
★5.0は感動!数年に1本の傑作〜
シェイクスピアの『ハムレット』、ダンテの『新曲』などをモチーフに…というのは知っている人にはわかるけど、知らない人にはあまり意味を持たないでしょう。
観た人に伝わるものがなければ、それは受け手の問題である以上に興行的に失敗してしまうのですから、アマチュアや自主制作ならいざしらず、多くのスポンサーを抱えてやるべき事ではないでしょう。
スポンサーを含めて、もはや日本の観客など観ていないのかもしれませんが、良くも悪くも「自分の創りたいものを創る」にこだわった結果が本作だとすると、大衆迎合に舵を切った新海誠作品(すずめ)よりはマシだけど、これで打ち止めかもしれません。
煮詰まらない作品(脚本)をスタジオを維持するために定期的に映画を作らないといけない。
そして納期に合わせて周りの声を聴かずに作りきってしまったのかなと思います。
またかつてはポスト宮崎駿と言われた皮肉を込めて細田版の『ハウルの動く城』か『ゲド戦記』かもしれません。
好きな人には怒られるかもされませんが、ジブリにオリジナリティのある作品は殆どなく、何かしらの他者の原作を土台に物語がアニメ化される意味で、和製ディズニーがスタジオジブリというのが私の評価です。
変な話ですが、ジブリでさえ何本かに一つしか興行的な成功はありません。
なので、これをバネに作り続けられるか、これで辞めてしまっても不思議ではない結果です。
興行収入は5億ギリギリ、10億に届くかはなんとも言えないでしょう。
ジブリ作品
•風の谷のナウシカ(1984) – 14.8億円
※ジブリ前
天空の城ラピュタ(1986) 11.6億円
となりのトトロ(1988)
火垂るの墓(1988) 5.9億円(トトロと同時上映)
魔女の宅急便(1989) 43.0億円
おもひでぽろぽろ(1991) 31.8億円
紅の豚(1992) 47.6億円
平成狸合戦ぽんぽこ(1994) 44.7億円
耳をすませば(1995) 18.5億円
もののけ姫(1997) 201.8億円
ホーホケキョ となりの山田くん(1999) 15.6億円
千と千尋の神隠し(2001) 316.8億円
猫の恩返し(2002) 64.6億円
ハウルの動く城(2004) 196億円
ゲド戦記(2006) 78.4億円
崖の上のポニョ(2008) 155億円
借りぐらしのアリエッティ(2010) 92.5億円
コクリコ坂から(2011) 44.6億円
風立ちぬ(2013) 120.2億円
かぐや姫の物語(2013) 24.7億円
思い出のマーニー(2014) 35.3億円
レッドタートル ある島の物語(2016) 2.5億円
君たちはどう生きるか(2023) 89億円
細田守 監督作品
時をかける少女(2006) 2.6億円
サマーウォーズ(2009) 16.5億円
おおかみこどもの雨と雪(2012) 42.2億円
バケモノの子(2015) 58.5億円
未来のミライ(2018) 28.8億円
竜とそばかすの姫(2021) 66億円
新海誠 監督作品(公開年順)
ほしのこえ(2002) 興収不明(自主制作規模)
雲のむこう、約束の場所(2004) 5000万円
秒速5センチメートル(2007) 1億円
星を追う子ども(2011) 1.5億円
言の葉の庭(2013) 2.1億円
君の名は。(2016) 261.1億円
天気の子(2019) 141.9億円
すずめの戸締まり(2022) 147.5億円
正直に言って、前半何度もうつらうつらしてました。
映像は予告に出てくる竜のシーンが一番迫力があり、それ以上に迫力を観ている場面で感じるシーンはありませんでした。
フォローする訳ではありませんが、日本はこの作品にスポンサーがついて創られる程度には表面的に平和なのでしょう。
またアニメが動画配信を含めてコスパの良い趣味(暇つぶし)として認知されて市場が拡大したのでしょう。
作品の主題だと思われる生きたいと願っているのに叶わない人が世界にいる。内戦や紛争など理不尽に生きることを奪われる人がいる世界において、この作品で描かれたようなことにリアリティも切実さも感じられないくらいに平和ボケしているのでしょう。
またそうした市場にそうした作品を創りたいように創って殆どの人に受け入れられずにコケた。
監督の信念に従って製作してコケたのですから、もう言い訳のしようがない。
"to be,or not to be..."
監督自身も自問自答したのかもしれませんが、どうかそれでも懲りずに我を通して作り続けて欲しいと思います。
この作品の★は某監督の『すずめ…』と同じ評価ですが、評価の意味と意図は全く別物(失望/期待)であることは書き添えておきたいと思います。
がんばれ、細田守。
創りたいものを創れる監督が今の日本に何人いるだろう?その意味で周りの声など無視して、自分の感性を信じて創り続けて欲しいです。
個人的に新海作品よりは期待してます。
全851件中、221~240件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。









