劇場公開日 2025年11月21日

「試練と成長の物語・・時をかけ続ける少女」果てしなきスカーレット 井筒考庵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 試練と成長の物語・・時をかけ続ける少女

2025年12月19日
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鑑賞方法:映画館

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井筒考庵
井筒考庵さんのコメント
2025年12月24日

2回目の鑑賞を済ませたのでレビューを追記しておきます。

【追記1) 】渋谷の踊りのシーン〜唐突なのか?必然なのか?

踊りのシーンは約3分間。踊りが挿し込まれる時間帯は上映開始から約60分経過したところで、4パート構成として後半に入るところ。(起承転結の転換部の入り口辺り)

踊り/音楽だけを取ると全く悪くない(むしろいい)けれど、物議を醸すのは、シーケンス(流れ・文脈)。

文脈として重要と思われるのは、直前での「墓守り」のシーン。(このシーンは原作ハムレットからの援用。)「お前が探しているのはお前自身だ」という墓守りの台詞。スカーレットが悪夢から目覚めてから渋谷の踊りのシーンに。前半部を終えてスカーレットの心境に大きな変化が起きていると捉えるなら、この音楽パートは唐突ではなく必然ということに。(音楽で変わるのではなく変わったから音楽が聴こえるという因果関係)

【追記2)】許せば連鎖を断てるのか?〜スカーレットは仇敵を全く許していない

許す・許さないと復讐する・しないの組み合わせは、1)「許して復讐しない」、2)「許して復讐する」、3)「許さないが復讐しない」、4)「許さなくて復讐する」の4通り。

天上の門でのスカーレットの選択は3)の「許さないが復讐しない」ということが明らか。

1)は一般的な理解を得にくい聖人君子の選択。途端に嘘くさくなる。2)は矛盾するので無し。4)は普通の意味での復讐劇。3)はいわば執行猶予。

【追記3) 】駄作なのか傑作なのか?〜統計的にはどちらでもない

多くの人がどう評価しているのか? 統計的には⭐︎5段階評価の⭐︎3周辺に正規的に評価が分布しているので(←Filmarksで確認できる)、それから適切な表現を取るなら駄作でも傑作でもなく「凡作」。ロッテントマトの批評家スコアは⭐︎4-α、視聴者評価は⭐︎3-α。

【追記4) 】脚本が悪いのか?〜監督が実験中なので評価は棚上げ

時かけやサマーウォーズに比べて面白さを欠いている(私見)。自分の評価も作品群の延長線上では⭐︎4辺りが妥当かもしれないが、違った魅力を感じたので⭐︎5に。

10年間に3作を創作の単位(1期)として、果てスカは第3期の最初の作品に相当。監督脚本での創作への転換が第2期。映像表現を含めなおも実験中なので、評価は棚上げ。

井筒考庵
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