「タイトルなし(ネタバレ)」果てしなきスカーレット りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
16世紀のデンマークの王女スカーレット(声:芦田愛菜)は「死者の国」で目覚める。
父王アムレット(声:市村正親)の仇を討とうとして、叔父王クローディアス(声:役所広司)に返り討ち、毒殺されたのだ。
時間や場所を超えて、死を受け入れていない者たちが集うのが「死者の国」。
「死者の国」でも国を牛耳っているのはクローディアス。
復讐を果たそうと誓うが、「死者の国」でスカーレットが出逢ったのは21世紀日本の救急救命看護士・聖(声:岡田将生)だった・・・
といったところからはじまる物語。
「ハムレット」ベースのヒロイックファンタジー。
なれど、エンタメ性が希薄。
スカッとする復讐劇でなく、細田版『君たちはどう生きるか』。
復讐か赦しか。
父王を叔父に殺された姫の「葛藤」の物語。
時間も場所も混然となった「死者の国」は、多様性の象徴。
本来フラットであるべき死者の国も叔父王により牛耳られている。
死者の国の住人が求める「果てなき場所のその先」とは生への執着か。
この設定だけでもエンタメから遠い作品とわかる。
フラットで多様性の象徴である「死者の国」を現代社会のメタファーと捉えると理解しやすい。
唐突に挿入される現在の渋谷に似た世界は、幻想の理想の世界、ということでしょうか。
細部の設定などは別にして、わかりやすい映画だと思うが、スカッともしない。
スカッとしないことが本作の欠点だが、魅力でもある。
まぁ、デンマークとかハムレットとかって何やねん! というのがエンタメを期待した観客の感じ方かなぁ。
ロトスコープ、モーションキャプチャのアニメ表現も、多くの観客に受け入れらないだろうし。
なお、「ハムレット」の名台詞「To be, or Not to be」は形を変えて終盤に登場する。
その他の台詞もかなり流用されている印象。
メジャーなエンタメ作品をあまり観ない身としては、水準以上でした。
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