「心の疲れている人には響くのかな」果てしなきスカーレット あつこうさんの映画レビュー(感想・評価)
心の疲れている人には響くのかな
評判は悪いですが、自分の目で確かめもせずに評価するのは卑怯です。
「食うてみにゃ分からん」
の覚悟で鑑賞しましたが、とても面白かったです。
少なくとも、宮崎駿さん監督の後半ジブリ作品よりも遥かに良かったです。
ヒロインの渋谷でのダンスシ一ン、追い詰められて張り詰めていた精神の逃げ道として、聖くんの心とシンクロし理想の情景を思い浮かべていたのなら、唐突感はともかく、シチュエーションとしてはアリだとと思いました。
故高畑勲さん監督の「竹取物語」のラスト近く、月からの使者がかぐや姫を連れて帰る時、サンバ調のリズムが流れますが、見知らぬ世界に連れ去られるかぐやが、不安を揉み消そうとする心象を暗喩していたと思います。
細田監督がこの渋谷のダンスシ一ンで目指した精神性も、これに近いのでは無いでしょうか?
現職時代、パワハラ上司に会議室に内鍵を掛けて閉じ込められ、「教育指導」という名目で体罰及び精神的な拷問が続いた時期が有りました。
週に2〜3度、半年近くも続いたでしょうか、心を病んだ私は、上司に「すみません、すみません」を繰り返す一方、別の心の片隅ではサンバ調のような軽快なBGMが流れるようになってしまいました。
恐らく、自己防衛本能で、無意識に心の逃げ道を作ったのでしょう。
自分の個人体験はともかく、評価の分かれるこの作品、面白かったと感じた人は、私と同様、少し心が疲れている人かも知れません。
もっとも、そんな方ならば、たとえ面白くなくても、舌鋒鋭い悪意のあるコメントは投稿しないでしょうが...
ダンスは、スカーレットが、復讐を捨てるきっかけとなる重要なシーンだと思いました。生と死の狭間の世界で辛い現実だけを見ていたら、とても赦しには至らない。好きなシーンです
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
