劇場公開日 2025年11月21日

「悪くはないけど惜しさを感じる」果てしなきスカーレット まささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 悪くはないけど惜しさを感じる

2025年12月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

あらすじをだけを見たなら、面白そうな映画だと思うだろう。ストーリーとして、無駄だと感じる場面は少ない。技巧への賛否はともかく、映像美も感じることができた。
ただ、実際に見ると、以下の2点が観客の心にブレーキをかけてしまっているのではないのか。
1つ目は、映像とシナリオが暗くて重いこと。復讐が主軸で、且つ死者の世界という荒涼とした場面での展開が続くので、冗談や、綺麗な場面といった息抜きになるようなシーンが少ない。観客が主人公の辛さを共有すればするほど、悩み苦しさといった負の感情を置き去りにできず、どんよりとした心の重さが残ってしまう。メインのポスターも、どうしても「暗い話し」という先入観を生んでしまうビジュアルだと思う。
2つ目は、あらすじとしてはおかしくないものの、場面転換が唐突で没入感が失われていること。細田監督作品のお約束である、説明のない異質・特殊な存在や環境というのは、物語がフィクションである以上、現実世界との整合性を「説明」する必要はないものの、場面転換に伴う大胆な状況の切り替えに観客の頭がついて行けず、没入感が失われてしまったのではないだろうか。この違和感は、物語を読み込めば消えていくものであると思うが、ストーリーを熟知して作り込む制作陣と、全てが初見の観客とのギャップを生んでしまっていると思う。
2点目に絡んでだが、前作は、モーションキャプチャー、現実の田舎としての高知と学生生活、迫力のある歌手(中村佳穂さん)、メタバースなど、現実をうまくアニメに取り込んで評価されていた。ただ、今回は、ベースとなる時代設定が中世と、仮想の死語の世界なので「リアル化」に伴う共感も得ずらかったのではないか。ましてや、物語の主軸が、普通の現代人の聖と、特別な存在である中世の「王女」であるスカーレットとの交流なので、より主人公であるスカーレットへの感情移入がし辛い環境になってしまっていると思われるのが惜しいと思う。

まさ
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。