「to be,or not to be…」果てしなきスカーレット MP0さんの映画レビュー(感想・評価)
to be,or not to be…
公開初日からかなり批判的なコメントが多く、一周回って興味を持ちました。
倍速視聴や食傷気味な異世界転生(俺TUEEE)、食べログ★3.5以下のお店には食べに行かないみたいな大衆が騒いでいるだけで、日本人の大衆の感性なんてどうせ感受性が死んでいるんだろうと思ってましたが、私の感受性もいよいよ遂に死んだのか、本当にフォローの余地がないくらいに作品(脚本?)が作品として成り立っていないのか判別できないくらいに退屈でした。
細田監督の作品は『時をかける少女』が一番好きで、『サマーウォーズ』と『おおかみこどもと雨と雪』で関心を失い、未視聴だった『バケモノの子』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』を観てからファーストディで観てきました。
尚、個人的に『時をかける少女』★5.0、『サマーウォーズ』★3.5、『おおかみこどもと雨と雪』★3.0、『バケモノの子』★4.0、『未来のミライ』★3.5、『竜とそばかすの姫』★4.0でそれほど悪い印象はありませんでしたが劇場で鑑賞料を支払って観るか問われれば宣伝で興味を全く惹かれなかった直感が覆されるような感動はありませんでした。
私のレビューはおおよそ下記の基準でつけています。
(他に加点も減点もあります)
★0.5は時間の無駄
★1.0は課題かお金をもらえるなら観る
★1.5はネタとして割り切るなら
★2.0はB級映画の方がマシ
★2.5は配信で十分
★3.0は悪くないが、私には合わなかった
★3.5は人によって好き嫌いかなり分かれる
★4.0は劇場で観るべき作品、
★4.5は人に勧めたい作品
★5.0は感動!数年に1本の傑作〜
シェイクスピアの『ハムレット』、ダンテの『新曲』などをモチーフに…というのは知っている人にはわかるけど、知らない人にはあまり意味を持たないでしょう。
観た人に伝わるものがなければ、それは受け手の問題である以上に興行的に失敗してしまうのですから、アマチュアや自主制作ならいざしらず、多くのスポンサーを抱えてやるべき事ではないでしょう。
スポンサーを含めて、もはや日本の観客など観ていないのかもしれませんが、良くも悪くも「自分の創りたいものを創る」にこだわった結果が本作だとすると、大衆迎合に舵を切った新海誠作品(すずめ)よりはマシだけど、これで打ち止めかもしれません。
煮詰まらない作品(脚本)をスタジオを維持するために定期的に映画を作らないといけない。
そして納期に合わせて周りの声を聴かずに作りきってしまったのかなと思います。
またかつてはポスト宮崎駿と言われた皮肉を込めて細田版の『ハウルの動く城』か『ゲド戦記』かもしれません。
好きな人には怒られるかもされませんが、ジブリにオリジナリティのある作品は殆どなく、何かしらの他者の原作を土台に物語がアニメ化される意味で、和製ディズニーがスタジオジブリというのが私の評価です。
変な話ですが、ジブリでさえ何本かに一つしか興行的な成功はありません。
なので、これをバネに作り続けられるか、これで辞めてしまっても不思議ではない結果です。
興行収入は5億ギリギリ、10億に届くかはなんとも言えないでしょう。
ジブリ作品
•風の谷のナウシカ(1984) – 14.8億円
※ジブリ前
天空の城ラピュタ(1986) 11.6億円
となりのトトロ(1988)
火垂るの墓(1988) 5.9億円(トトロと同時上映)
魔女の宅急便(1989) 43.0億円
おもひでぽろぽろ(1991) 31.8億円
紅の豚(1992) 47.6億円
平成狸合戦ぽんぽこ(1994) 44.7億円
耳をすませば(1995) 18.5億円
もののけ姫(1997) 201.8億円
ホーホケキョ となりの山田くん(1999) 15.6億円
千と千尋の神隠し(2001) 316.8億円
猫の恩返し(2002) 64.6億円
ハウルの動く城(2004) 196億円
ゲド戦記(2006) 78.4億円
崖の上のポニョ(2008) 155億円
借りぐらしのアリエッティ(2010) 92.5億円
コクリコ坂から(2011) 44.6億円
風立ちぬ(2013) 120.2億円
かぐや姫の物語(2013) 24.7億円
思い出のマーニー(2014) 35.3億円
レッドタートル ある島の物語(2016) 2.5億円
君たちはどう生きるか(2023) 89億円
細田守 監督作品
時をかける少女(2006) 2.6億円
サマーウォーズ(2009) 16.5億円
おおかみこどもの雨と雪(2012) 42.2億円
バケモノの子(2015) 58.5億円
未来のミライ(2018) 28.8億円
竜とそばかすの姫(2021) 66億円
新海誠 監督作品(公開年順)
ほしのこえ(2002) 興収不明(自主制作規模)
雲のむこう、約束の場所(2004) 5000万円
秒速5センチメートル(2007) 1億円
星を追う子ども(2011) 1.5億円
言の葉の庭(2013) 2.1億円
君の名は。(2016) 261.1億円
天気の子(2019) 141.9億円
すずめの戸締まり(2022) 147.5億円
正直に言って、前半何度もうつらうつらしてました。
映像は予告に出てくる竜のシーンが一番迫力があり、それ以上に迫力を観ている場面で感じるシーンはありませんでした。
フォローする訳ではありませんが、日本はこの作品にスポンサーがついて創られる程度には表面的に平和なのでしょう。
またアニメが動画配信を含めてコスパの良い趣味(暇つぶし)として認知されて市場が拡大したのでしょう。
作品の主題だと思われる生きたいと願っているのに叶わない人が世界にいる。内戦や紛争など理不尽に生きることを奪われる人がいる世界において、この作品で描かれたようなことにリアリティも切実さも感じられないくらいに平和ボケしているのでしょう。
またそうした市場にそうした作品を創りたいように創って殆どの人に受け入れられずにコケた。
監督の信念に従って製作してコケたのですから、もう言い訳のしようがない。
"to be,or not to be..."
監督自身も自問自答したのかもしれませんが、どうかそれでも懲りずに我を通して作り続けて欲しいと思います。
この作品の★は某監督の『すずめ…』と同じ評価ですが、評価の意味と意図は全く別物(失望/期待)であることは書き添えておきたいと思います。
がんばれ、細田守。
創りたいものを創れる監督が今の日本に何人いるだろう?その意味で周りの声など無視して、自分の感性を信じて創り続けて欲しいです。
個人的に新海作品よりは期待してます。
まぁ思えば、ナウシカ辺りから原作ありアニメ映画の注目度が異様に上がり興行収入が2桁億円を超えて「アニメって意外と儲かるな・・・」と色んな人が気づいてしまった
才能は勿論必要なんでしょうけど今の時代、オリジナル作品を売る事がどれだけ難しいのかまざまざと見せつけられた作品でした
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