「到達点のその先は?」果てしなきスカーレット じじいさんの映画レビュー(感想・評価)
到達点のその先は?
観終わって最初に思ったのは…
覚醒剤でもやってるんじゃないか??
2年後くらいに捕まっている未来を想像した。
それはさておき、
前作でやりたいことの一定の到達点に達した(かつ興行的にも十分に成功した)監督の次作としてはかなり難しかったんだと思う。
とりわけ貞本との決別が大衆に受け入れられなかった要因の根底にあるのではないかと想像する。細田=貞本、みたいな潜在意識はなんとなく皆持っており、前作でうまく脱却の雰囲気は作れたが、今作はちょっと振り切りすぎてしまった。また、夏興行が売りの監督だったが今作は冬興行に持っていかざるをえなかったところも要因としてあるのかも。作り手と受け手の諸々の齟齬が今作の現時点での興行的失敗に繋がったと思う。
現実世界でのジュブナイルのための手段として非現実を使うのが監督の持ち味だと思っていたが、今作は非現実の中で物語を完結させる手法であり、観ていて若干しんどくなってしまった。試みとしては評価するが、死後の世界が意外とイメージ通りだったりするのがつまらなく感じた理由なのかもしれない。現代人が一人メインキャラとしておかれ、スカーレットの成長がそこに帰結していくのだろうが、であれば、もっと色々な時代の人々を登場させても良かったんではないか?その方が「果てしなき」というタイトルが現実味を帯びてくるようにも思うが、2時間の枠では難しかったのだろう。自分に矢印を向ける事が今必要とされているというテーマ自体は好意的に受け取れたので、作品全体は決して悪くないのだが、形作る一つ一つの試みが微妙に噛み合わなかった印象。
死後の世界なんて別に何やったって良いんだから、もっと振り切って自由度高く好き勝手やればある種の怪作の域に達したのかも。
チラシ見た時からほとんど期待していなかったので、こんなもんだと思って見たが、次作は多いに期待する。今作の失敗を糧に次作ではテーマと手法を見事に融合させてほしい。できれば貞本の手を借りずに。また、ラリってる感じの演出も次作ではうまく昇華できることを願う。
なお、映画レビューとは直接関係ないが、
細田守のベストは「時をかける少女」だ、というコメントをちょいちょい拝見する。
わかる、よくわかるが、ちょっとう〜んとなるというか…
仁義なき戦いシリーズで一番面白いのは広島死闘編です、っていうのと感覚的に近いような気がしている。
一つの映画を語る上で、単体でみるのか、フィルモグラフィーを重視するのかは難しいテーマである。
👏
映画に実際に携わる前に思い描いた目標、細田守監督は通過をしたかもしれませんね。クリエーターとしてはドラゴンボール期を終えられるという幸運と不幸を手にしたということなんでしょう:)
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