「不器用すぎです」果てしなきスカーレット Mrs.怪しいさんの映画レビュー(感想・評価)
不器用すぎです
まずわたくしの評価基準は作り手メッセージが濃いかどうかが大きいので、視点が合わない方が多い前提でコメントします。
作品そのものは温もりのあるメッセージを感じられる点、おまけ評価込み星5つけさせてもらいました。今どきらしくない映画の良さを楽しめます。
●気になる点
皆様ご指摘の通り細田作品あるある、脚本中の設定不自然箇所、現代人が聖しかいない気がする点(モブまで注意深く観察したらいるのだろうか…)。死後世界で食料は何処で誰が作っているのか?死人に必要なのか?などなど気になります。また、シーンが単調に長く進む箇所があり、ストーリーが中だるみし途中で飽きてしまい(後半は盛り返すが意識が途中離脱する人も多そう、)観る人を振るいにかけてくる点笑。突然のミュージカルシーンへの違和感は世界線それぞれのギャップ感で現代社会平和部分の尊さを強調する意図とわたくしは受け止めましたが、観る人の多くはそう受け取らなそうだし、観てる側が少々恥ずかしくなる点。このあたりからのスカーレット心境変化も唐突過ぎてやや強引、何かもう一工夫ほしい点。あと、頑張ってはいるけど技術の追いつかない芦田愛菜の声演技。シーンごとの演じ分けが物足りずストーリーに集中できない点。
●よき点
冒頭でお伝えしている通り、昨今の映画としては珍しく、古臭い作り手のメッセージが良い意味で濃く伝わってくる。我々の生きる現実世界で起きている命への尊厳軽視など不穏な情勢に対する力強い祈りがあり共感できる点。また、映像の迫力や美しさは映画館前方での鑑賞をお勧めしたい。芦田愛菜の歌はよい。脚本のディテールにはツッコミ入りがちですが、トータルでは最後までちゃんと見続けることはできるので、そこまで酷いストーリー展開ではない。
というわけで、明らかに気になる点の方が多く星の数と矛盾しており、細田が思いを届けたい国内の相手には多分届きにくいのだろうな、閑古鳥のまま悪評とともに短期間上映で終わりそうだな、とも思いますが…
心の中でツッコミを入れながら大きな龍の表すものについて留意しつつ寛大な心持ちで鑑賞してほしい不器用な人の作った映画です。
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