劇場公開日 2025年11月21日

「ダーク x 戦う女の子 x ファンタジー が性癖な人には良い作品だと保証します!」果てしなきスカーレット pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ダーク x 戦う女の子 x ファンタジー が性癖な人には良い作品だと保証します!

2025年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず前提として、私は明るめの作品も好きですが、バイオレンスな韓国映画や、ダークファンタジーや女の子がハードに戦う作品も大好きです。シェイクスピアとかそっちも好きです。そんな後者側も好き!という人には自身をもってお勧めできる映画です。
超巨大なドラゴンや大砂漠や火山や氷の山や美しい空という一大ビジュアルの中を、実際に観てみるとよりかわいいピンク髪女の子が壮絶な戦いの旅をする。ありそうであんまりないので、こっち側が好きという人はぜひ行ってみるべきでしょう。そっち方面としてはクオリティはとても高い作品なのは保証します。聖もわりと好感が持てるやつだった。

ただ、否定的意見があることは納得です。ただ思うのは、「品質が低い」というよりも「こっちの路線を期待したら、全然真逆の想定外の(=全然興味ない)ものが出てきた」というミスマッチ層が結構多いんじゃないかと思います。こういうダークな作品が好き!という人にはストライクなんです。得点高いんです。しかし『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』のようなポップ系細田を期待した人にとっては、たしかに裏切られたと感じる人もいるだろうなぁ...とは思いました。

たぶん、10億ドル越えした『ジョーカー』の続編、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(ジョーカー2)が"失敗"となってしまったのと同じような現象が起きているんじゃと思います。前作路線を期待した人とのミスマッチが大きすぎたのでは。
個人的にはジョーカー2は良い作品だと思いました。俳優陣の演技も素晴らしく、ミュージカルも豪華で"単独の作品"としては素晴らしいと感じました。しかし"ジョーカー"というシリーズで見ると、たしかに「コレジャナイ」と感じる人が多いだろうとは強く感じました。
多くの"ジョーカー"に期待しているのは、嘘で周囲をだまし、ナイフで次々と人を襲う超絶デカ盛りジャンクフードなスプラッタ劇でしょう。しかしジョーカー2は正反対で、殺しぜんぜんなしでジョーカー君は刑務所の中で悩んでいる。例えるならほとんどの観客はジョーカー1というビッグマックをパワーアップさせた超ビッグマックを食べに来たのに、実際に出てきたのは美しいフレンチのコースだった、という期待とは全然違っちゃった感じ。幸い私はフレンチが出てきても何とか楽しめる口なので楽しめましたが、残念ながら多くの人はそうじゃないとは思います。フレンチとしてはレベルが高くても、今日はビッグマックしか食べたくない!と思って店に来た人は困惑してしまってもまあ仕方ない。

このスカーレットも同じように感じました。スカーレット単体としては、素晴らしい要素はいっぱいありました。完璧でないかもしれませんが、ダーク x ジュブナイル x 女性主人公 ファンタジーや歴史劇的なものが好きな層にとっては間違いなくお勧めできます。今年のベスト映画に挙げる人だっているでしょう。私も含むそっち系の人には絶対に損はしないでしょう。
ただ、とくに『竜とそばかすの姫』のポップな音楽やカラフルな絵柄のパワーアップを期待して来た人には、まあそっちじゃないよな...とは十分理解できます。

別に誰も悪くないのです。ダークなヘビメタが好きな人もいるし、ポップで明るい音楽が好きな人もいます。問題なのは竜とそばかすのポップ側の人たちが誤って(?)デスボイスのヘビメタ会場に来てしまったことです。しかも竜とそばかすから細田作品に入った人が過半数だと思うので、残念ながら観客のほとんどはそうしたミスマッチを引き起こしてしまっても仕方がない...ダーク側の人にとっては、出てきたものは悪くないんですけどね。

たぶん、もしかするとこういう評価になっちゃうことは『竜とそばかすの姫』が出ちゃった時点で不可避だったんだろうなと思います。良くも悪くもその時の己の道を突き進む細田監督がたまたま竜とそばかすでポップ層をひきつけまくってしまったせいで、いざ次作が180度逆のこれとなったら阿鼻叫喚が起こるのは仕方ないよなぁと思います。4年半前からすでに決まっていた混乱が起こってしまった、そう感じます。

うだうだと書いてしまいましたが、まとめるなら壮大な世界をカワイイ女の子がもがきながら旅をする作品が好きな方はぜひ!実際観てみるとスカーレットちゃんすごくかわいいです。あれ、なんか自分そっちじゃないな...という人は、周りにスカーレットを観てきたご友人がいれば、「これ私に合いそう?」って聞いて相性判断していただいて決めると良いと思います。作品が悪いわけではないんです。『竜とそばかすの姫』のキラキラミュージカル連発!とはジャンルが別なんです。そっちを期待しちゃうと、たぶん両者にとって不幸が起こりかねないです...

長文失礼しました。個人的にはこっち側の作品の方が好きなので、細田監督の次回作もこっち寄りなら観たいな...とは期待しちゃってます。異論は認めます。むしろ異論の方が多いだろうとも認めます。

pipi
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