劇場公開日 2025年11月21日

「我々が求めた細田守らしさとはなんだったのか?」果てしなきスカーレット nasucaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 我々が求めた細田守らしさとはなんだったのか?

2025年11月26日
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難しい

散々たるものだった。
いや、もともと期待値は低かったが、正直その期待値にも届いていなかった。最大限譲歩しても、この不発感は脚本力うんぬんの問題ではなかった。

鑑賞したのは「見届けたい」という気持ちがあった。時かけ以降、ポストジブリのポジションで一世を風靡し、サマーウォーズでブランドを確立したと思う。新海さんがメジャーデビューする前の話だ。
それ以降、脚本力はいろいろ言われながらも、竜そばまでは新しいトライをしつつ、細田さんらしいアニメーションに救われてきた部分がある。少なからずも称賛し盛り上げの片棒をかついだ自覚があるがゆえ、どこまでも見届けたいとも思っている。

似たような感覚は宮﨑駿や高畑勲にも通ずる。年々、エンタメから純文学的になりつつも、アニメーションの力でねじ伏せられる感は心地よいものもあった。

正直、今回はそれが無かった。アニメーション的に新しいトライをしているのは分かる。革新的だというのも分かる。日本でこのレベルが作れるようになったのも感慨深い。といいつつ、若干足りない部分はあるが致し方ない。
よく言われるフェティシズムを感じ取る部分もなかった。賛否両論はあるが細田アニメの重要な構成要素た。
それでも、旧来のアニメーションを超える部分がなく、CGではなくドローイングの質についても、この品質でOKになったのか、と愕然とする部分もあった。ただの素人の外野の戯言ではあるが。

演出は舞台をベースにして志向したのだろうから、それは飲み込むとして、映画やアニメーションの文法で表現しなおしても良かったのでは?とも思う。

音楽や声優陣はさすがで、全くネガティブな部分はない。ただそのポテンシャルを充分に生かせたかは怪しい。

ここまで考えてみたところで、結局のところ勝手に構成要素だとかいって分析したり、それを"らしさ"として求めてしまっていて、細田さん的には言い迷惑だったのだろう。ただ新しいトライをしているのに過ぎないのだろう。

残念ながら、興行的に厳しいものになりそうだ。次作の製作は困難なのもになるだろう。けれども、古参のファンとしては、どんな作品であれ、見届けたいという気持ちには変わりはない。

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nasuca
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