劇場公開日 2025年11月21日

「傑作(公開タイミングが悪すぎる)」果てしなきスカーレット ライトスタッフさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 傑作(公開タイミングが悪すぎる)

2025年11月25日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

早速観てきた『果てしなきスカーレット』。

先入観は持ちたくないが、とにかく低評価コメントが多い。そのポイントは、細田守監督の単独脚本が耐えられない、というものが多いように見受けられる。過去の他人の脚本や、コラボで仕上げた脚本から作り上げた傑作と比較し、想像もできない独りよがりで破綻したものだ、という類いの内容が多い。

とにかく、先入観だけは持つまいと思い観始めた。
あー、冒頭から躓く人が出てくるのは分かる。実際に、途中退席して戻ってこなかった方もいた。

この映画の本質は、『音楽映画』であり、『ファンタジー映画』であり、『護憲映画』である。
まず映像は、過去観たこともない独創的な画作りで観るものを圧倒する。アニメーションでなければ具現化できない作家の魂が炸裂するビジュアルに、圧倒されずには居られない。
そして、多くの人が敬遠しかねない、音楽の使い方。ちなみに、私は同じく酷評を受け興行的に惨敗した『ジョーカー/フォリ・ア・ドゥ』が、大好きである。ここには同じパッションを感じた。芦田愛菜さん、マシ歌上手いね(下品な言い回しでスミマセン)。

そして、このタイミングで最もこの映画が損しているのは、敢えて言うが護憲的(平和への向き合い方)な描き方。『争いから平和へ。武器から楽器へ。』今、日本人が最も嘘くさいと考える(ざるを得ない)ものを全面的に押し出しているが故に、この作品を見て嫌悪感を抱く観客は多いと思う。『綺麗事を抜かすな』『何が争いは止めよう、だ』こんな声が聞こえてくるような気がする。

観客にとってのこの映画の大きな違和感の一つは、デンマークが舞台であった投入部から、ある世界に舞台が移ったあと、聖(ヒジリ)と言う日本人が唐突に出てくるところ。いくら映画の原産国と監督が日本人とは言え、無理やり日本人を主人公に据えるとは、、と思っている人も多いと思う。

しかし、なぜ日本人を主人公の一人に据えたのか。戦後日本は、アメリカに骨抜きにされたとはいえ、立派に平和国家としての道を歩んできた。現状では、それだけでは生き抜けないほど周辺国が危険になりすぎているものの、あの大戦を経験した日本人は、真に平和を愛する国民になっていたことに疑いの余地はない。テーマに『護憲(と言うか、武器を持たない平和)』を据えた時点で、それを体現する日本人を主演に据えることは必然であった。そして、聖はその役(CVは岡田将生)をしっかりやり遂げ、細田監督が伝えたいメッセージをスクリーンに刻み込むことに成功していると思う。

結論:ファンタジー好き/ミュージカル好き/そして、圧倒的な映像体験が好きな人向け→言い換えれば、これこそが映画、ザッツ・エンターテイメント。
不当な批評に、大いに反論したい。
空いていたとはいえ、さすが上野、思ったよりは入っていた。どうしようか迷っている方には、オススメいたします。

ライトスタッフ
EFTさんのコメント
2025年11月29日

私も、ヴィンランド・サガ(幸村誠)のトルフィンをみてるような気分になりました

EFT
ライトスタッフさんのコメント
2025年11月27日

anarchistさん、コメントありがとうございます。何か一瞬映画の見方を掛け違えると一気にすべてが悪く見えてしまうことってありますよね。しかしこの作品はそのような事前の偏見などを軽く乗り越える普遍性があると思います。海外での評価も伺いたいものです。

ライトスタッフ
ライトスタッフさんのコメント
2025年11月27日

ミドランさん、コメント有りがとうございます。護憲云々はたしかに言い過ぎで、平和を求めるアイコンとして日本人を出してきた必然性を言いたかったことが真意です。今の世であるからこそ、教育映画と言われてもいいので、たくさんの若い人に観てもらいたいです。

ライトスタッフ
ミドランさんのコメント
2025年11月26日

私も、この作品を評価しておりますが、護憲云々は違うと思う。
聖は平和主義者ですが、殺さざるを得なかったですからね。
最後、スカーレットは、理想に生きられる世界を手に入れた(勝ち取った)。
聖の想いを胸に抱きつつ。

ミドラン
Anarchistさんのコメント
2025年11月26日

過剰に叩いて粗探しするのが流行ってるだけでそこまで酷い作品ではないなという印象。私は元々アニメは長編映画しか見ないですがこれより出来の悪い作品は今年たくさん見てます。
「君たちはどう生きるか」も公開当初はジブリファンの間でかなり叩かれてましたが後々評価は変わってきてるので少し時間が立てばより冷静に見れる人も増えるかもしれませんね。

Anarchist
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