「訣別の手紙?」果てしなきスカーレット 満天さんの映画レビュー(感想・評価)
訣別の手紙?
去年、映画館で46年ぶりにアニメ映画を観た。「君たちはどう生きるか」のタイトルに惹かれてようやっとの思いで足を運んで。まあ一種の里帰りといいますか。それがきっかけで、おっさんになってからアニメ映画が楽しめるようになり良かった。
でもタイトルの「君たち」が誰を指すのかがわからないのでずっと気になり続けていた。
ジブリ作品を愛する若い世代の観客、プラス作品の作り手、アニメーター。
いまは普通にそう想像する。しかし当時は、宮崎監督のすこし怖い部分を思うと、客を客と言わず大衆と呼んでそうでw、何歳になっても似たような話を求めてばかりで成長しない連中と思っていそうとか、ちょっとネガティブなイメージがあって、後進のアニメーターにエールを送るためだけが目的の作品なのかなと想像したりしていた。なんか作中に、一般公開していながらパイロット版であることをも示唆させるような箇所があったりもしたし(木の精かなw)。
で、この方の後進といえば、当然出てくる名前の一人、細田守監督。
本作の出典はハムレットと神曲とかいってるが、出だしの猛烈な駆け足により、それらはダシにしかする気がないのが明らか。
メインはもののけ姫であり、サンとアシタカだろう。
で、話の欠点には一切足をとられることなくラストへ向かって突撃していく。まるで討ち死にを望んでいるかのようにもみえた。あんまりだからダンス入れた?
宮崎駿になりたかった男、あの未来の渋谷のように一瞬だけそんな未来も見えた男が、宮崎のエールに応えられず、もがき苦しむ現状をそのままに作品に落し込む。手を加えたり取り繕うことをしないその態度が斬新で、芸術的な魂を感じた。
だから細田守はまだ死んでないと思う。
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