「言われるほど酷いものではなかった、けど」果てしなきスカーレット ワッフルマンさんの映画レビュー(感想・評価)
言われるほど酷いものではなかった、けど
先日観賞してきました。
簡単に言えば、「ストーリーに期待するな。でも、ネットのレビューほど酷くはない」です。
SNSで散見される酷評っぷりに、前作の『竜とそばかすの姫』の時に味わった未消化感や杜撰だった脚本がよみがえります。
ストーリーは相変わらずな細田節で、無理やり継ぎ接ぎしたようなストーリー展開に、煮え切らないロマンス(と言っていいものなのか)。監督の性癖(やたら女の子を吐かせる演出が多くて、またかよ…と冒頭早々なりましたけども)。
割と物語の内容というかは、あらすじなどである程度予測できます。
死者の国が舞台で、スカーレットがそこにいて聖が同行している時点で、彼が死んでいることは明白です。
ハムレットは知らなくても見ることはできるから、ご安心ください。知っていたら、「ハムレットだ」となるかもしれませんね。
死者の国という設定がちょっと強引というか都合がいいと思うかもしれません。
「生と死が交わる世界。過去も未来も混じり合う世界(だったかな)」ということで、未来と生死が混じり合う世界というわけなのですが、未来要素が正直薄くて、「時代物」感が強い。未来要素が薄い。多分、聖を登場させるため。聖が死んだという事実、聖が未来で死んだことによってスカーレットに出会うという意味であるのかもしれませんが、それ以外に未来や近代を感じさせる要素は薄い。だったらもっと、未来で死んだ人間が出てきてもよかったのではないか。
死者の国は、死にかけの人も行くことができるみたいです。
途中で出てきたフラダンスは、ハワイ。ハワイ王国は18世紀ごろにできた。確かにスカーレットたちが生きた頃と比べると近代史寄りなのかもしれないけど、「何で出てきたの?」感は拭えない。スカーレット←フラダンス←聖の時代や時間経過の暗示だったのか。死者の国だったし、フラダンスは霊的な、宗教的な要素もあるが唐突感がある。死者の国だし、出てきても違和感はないものなのかもしれないけど。
キャラバンは紀元前~中世期。死者の国は、またそこで独自に文化を築いているのかもしれない。死者の国と言えばのメキシコのようにマリーゴールドたっぷりみたいなのはなかったけど、墓掘りがそれっぽかった。
ドラゴンは何だったのか。
正直よく分かりませんが、都合よく出てきて、悪党を滅ぼしてくれます。いわゆるお天道様というやつなんでしょうか。「お天道様がいつも見ているから。悪いことをするもんじゃないよ」みたいな。この辺で出てくるだろ、というタイミングで出てくる。
途中のインド映画みたいなミュージカルは要らない。冗長的。
ダンス楽曲を手掛けるは、離婚伝説。どこかオシャレで、懐かしい。
最初自分は、死者の国が輪廻転生できる場所か何かだと思っていたのですが、そういう感じでもなさそうでした。さらに、見果てぬ地を目指す最終の闘いは、妊娠~出産のような感じにも思えました。
クローディアスが、「王妃と共に見果てぬ地へ」と言っていましたが、それはもちろん叶わないわけですが、そもそも王妃であるガートルートは生きている人間なので、一緒に見果てぬ地へは行けないんですよね。あと1人しか見果てぬ地の門を開けることはできない。
どこかで何度も見たことあるような単調な流れ、けれどやはりその単調さやシンプルさがちょうどいい。ただ、場面がブツブツ切れすぎたり、唐突な演出があって、違和感。時折、胸くそ。映像はハイクオリティ。CGでも、イラストアニメでも、違和感ないけどダンスはちょっと違和感あるかも。
竜とそばかすの姫ほど酷くはなかったのですが、「もったいない」と感じました。
ゲスト声優は皆さんほぼ違和感なく聴くことができました。いい加減細田監督は、脚本家を外から引っ張ってきた方が良い。
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