「期待度◎鑑賞後の満足度◎ 令和版『時をかける少女』ってか。細田守作品で初めて涙が…21世紀の世界へ向けての細田監督の新たなメッセージ。」果てしなきスカーレット モーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 令和版『時をかける少女』ってか。細田守作品で初めて涙が…21世紀の世界へ向けての細田監督の新たなメッセージ。
①生・死・虚無・時間・過去・現在・未来・愛・怒り・憎しみ・復讐・赦し・無私・利己・利他・欲望・願望・無限・永遠・争い・平和・言葉・踊り・歌・音楽・奉仕・内省・連帯・希望・絶望etc.etc...まあこれだけのことをぶちこんでいるので姦しくもありわざとらしい点もあるが、目眩くアニメならではの映像表現を通して語られる根源的な生死/人間/人生の意味を問う物語に思わず涙してしまった。
②ただ、善悪は問われていない。クローディアスは最後まで己の事しか考えないどこまでも自己チューな人間として描かれているし、ガートルードも最後まで改心しない。彼らを「悪」と云えば「悪」なのだろうけど、「悪」ゆえに滅びるわけではない。
③死者の国(黄泉の国?)で虚無にまだなっていない人々が渇仰する「見果てぬ世界」、それは『永遠』のことか、『不死』のことか。
死んだ後ですらそれらを求める姿には、オババ(白石加代子だ!が言う通り"人間とはいやはや如何なる存在か"。
④利己的な者達に雷を落とす龍は神の使いなのか。しかし、噴火と共に飛び散る火山岩は誰の上にも平等に(?)降り注ぐ。
神の存在は劇中では殆んど触れられてはいないが、「聖」こそがこの世界の“神”に当たるのかも知れない(「聖」という名前からの単なる連想です。)
⑤少女(とは言えぬ年みたいだけど)の成長物語か、王女が昏睡していた間に見た夢なのか。
目覚めた王女の手に死者の国で聖に手当てしてもらった包帯がそのままになっているところは、『千と千尋の神隠し』のラストの千尋の髪留めを思い出させる。
私達の世界で現在進行中の、ガザとウクライナでの紛争・戦争で、アフリカでの飢餓で、中近東での難民等で失われていく子供達の命。それを彷彿とさせる一幕をはじめ、様々なメッセージが散漫ではないが時空を縦横無尽に往き来する世界の中に散りばめられていることでとりとめの無い印象を受ける観客もいるかもしれない。
しかし、私は押田守が想像し構築した世界の中であちこちからそういうメッセージが読み取れるこの映画の豊潤さが決してキライではない。
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