「中身なきスカーレット」果てしなきスカーレット airomemさんの映画レビュー(感想・評価)
中身なきスカーレット
うーん、厳しいですね
復讐に燃えるスカーレットが現在人の聖に出会い愛を知り復讐より大切なものに気付く的な話にしたいのだと思うのですが、中身がまったく無く、嚙み合ってない
1.復讐劇としては捻りもなく強い復讐心を感じない
まずスカーレットが父親を殺されて大人になるまでクローディアスと一緒に生活してるのに違和感を感じます
毒を盛るチャンスなら剣の練習や知識を付け大人になるまで待たなくてもいくらでもあったのではないかと
あと父親を処刑した二人を簡単に許したりクローディアスの懺悔で簡単に許すのも強い復讐心を感じません
映像や叫びでかなり過剰に怒りを表現してる感じでしたがストーリーと嚙み合って無い印象
クローディアスに復讐しにいく過程も特に何もなく行き当たりばったりで盛り上がりポイントがありません
あと復讐劇であればやはり敵を倒してスカッとしたいのにそこも煮え切らない感じで中途半端に感じました
結局クローディアスを倒したあのドラゴンはなんだったのかと
父親なのかと一瞬思いましたが許せ言ってる張本人がそんなことするのも矛盾してるし
2.聖との関係が希薄で恋愛関係になっていない
聖は名前の通り聖人なのはいいんですが、スカーレットのピンチの時も基本は役立たず
彼なりの信念があるのだと思うのですが、道中で一度スカーレットためにその信念を曲げてまで彼女を助けます
そこから全力でスカーレットを守るかと思いきや、山頂でクローディアスの手下二人に襲われてる時も見てるだけ
最後のクローディアスとの対決もスカーレット一人で行かせて待機
そこはお前姫をカッコよく守る騎士になれよと
恋愛関係というよりサポーター的なポジションで別に相手がスカーレットでなくても同じ行動したのではないかと思えるぐらい二人の繋がりが希薄で盛り上がりに欠けます
あと聖の歌でいきなりスカーレットが見たこともない現代に飛んで一緒にダンスして二人が通じ合う的な設定も微妙すぎる
言ってしまえばあれはスカーレットが勝手に見た夢ってだけですしね
もっと道中でお互いを理解し合い助け合って絆を深めていくシーンが見たかったです
3.意味不明な世界観
過去も現在も生も死も入り混じる世界と言いつつ、スカーレットの時代に現代人の聖が一人参加するだけの謎設定
あとよくわからない魔法使いっぽいお婆さんや空を飛ぶドラゴンがいるファンタジー世界かと思いきや
人々は生きてる時と同じように食事をしたり剣とか銃で戦ったりと中世となんら変わらない感じで特別な世界観を感じられませんでした
そもそもスカーレットと時同じくして死んだクローディアスがお供たちを連れてこの世界でも王様やってるのは違和感を感じます
ファンタジーに寄せるのであればクローディアスは死後悪魔に魂を売ってこの世界でも大悪党になってるとかそれぐらしないとわざわざこの世界に来た意味がわかりません
今回の内容であればそのまま現世で復讐劇すれば事足りますしね
あと無駄に何万にというエキストラが出てくるのですがまったくストーリーに絡んでないのも意味不明
いきなり始まったクローディアスチームvs見果てぬ地に行きたいチームの対決も意味不明だし、その後の火山噴火も意味不明
そして日帰り登山のように簡単に見果てぬ地へ到着するのも拍子抜け
4.報われないスカーレット
ラストで父親が出てきて復讐しないで幸せを見つけて欲しい的なことを言うんですが、虚無になった父親がいきなり出てきた理由が意味不明
こーゆーのって父親の形見にスカーレットの涙がこぼれて的なトリガーがあって成立する演出だと思うのですが
そもそも出てくるならもっと早く出てきてスカーレットを楽にしてやれよと
スカーレットの復讐心が消えたことで出てきた妄想なのかもしれませんがそれはそれで蛇足な気がします
あと生きてるのは聖じゃなくてスカーレットだったこともサプライズポイントのつもりなのかもしれませんが、結局それでスカーレットが報われたことにならないのも残念でした
生き返ったスカーレットが女王になったことで未来が変わり、聖が刺される時に緋色ちゃんというスカーレットの子孫が聖を助けて、スカーレットの記憶が一瞬フラッシュバックして結ばれる的なドラマティックなラストがあってもよかったのではと
折角現代人の聖と中世のスカーレットの物語なのにその設定が活かされてない気がします
5.愛菜ちゃんがスカーレットに合ってない
愛菜ちゃんは個人的に大好きなのですが、今回のスカーレット役に全然マッチしてなかった気がします
無駄に叫んでるだけの印象が・・・
芸能人を使って話題や宣伝効果を高める手法なんでしょうが結果これですしね
ちゃんとキャラにあった声優さんを使って欲しいです
[追記]
6.復讐そして赦すというテーマ
ここが一番肝なところだと思うのですが、結局スカーレットが赦したわけでなく、第三者のドラゴンが復讐を手助けしただけであってなんのメッセージも感じ取れません
今の時代でも戦争が起こっているのは「赦せ」という言葉で解決できる簡単な問題でないからであって、じゃどうすれば赦すことが出来るのかを映画の中で表現し伝えるべきなのでは
復讐によってスカーレット自身も大きな何かを失うとか物語の中でスカーレットが人間的に成長し赦すことができるようになるとかそういった赦すための動機や変化が物語内で積み上げられればテーマとしての「赦し」がより深く観客に届いた気がします
赦せ!生きろ!で解決させるのはあまりにもチープ
といった感じで前評判通り微妙でした
映画館も公開初日の夜だというのにガラガラでしたしね
次回作はサマーウォーズのような面白い作品を期待しています!
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