「二回目見て再確認。復讐の感覚がハマらない。」果てしなきスカーレット モモンガさんの映画レビュー(感想・評価)
二回目見て再確認。復讐の感覚がハマらない。
良くも悪くも芦田愛菜という感じ。
何というか、演技はうまいんだ…けど、彼女は幼くて明るい少女の声が上手いので、あのかん高い声の響きがキャラに馴染まなくて前半は違和感があった…。復讐のために生きてきたのに、暗さが声に宿ってない。岡田さんの聖も何かいい人すぎて…今時あんな善人の若者いるか?一部の汚れもない感じか嘘くさい。もっと人間味を持たせてほしかった。そして
冒頭は彼が死者の世界に辿り着いて、そこからスカーレットに出会って旅をする…からはじまって欲しかったな。芦田スカーレットも、復讐にとらわれた王女って、しかも中世って…主人公に据えるには理解されにくいような。
主人公の役割は作品と見る側を繋げて引き込むことだと思う。でも今作はあまりにも見る側の時代が違いすぎることと、彼女があまりにも復讐に邁進し続けるので感情が入っていかない…。そのため聖にその感覚を埋めて代弁してほしかったが、彼もあまりにも善人すぎてままならない…結果イマイチ感動できなかった。もう少しスカーレットに復讐をためらわせたり、悲しみや苦しみを吐き出させたり…なぜ彼女があそこまで復讐に固執するのかを納得させる描写が欲しかった。冒頭のあれだけでは弱い…母とも上手くいかずに孤立していたようだし…そういうスカーレットの心に触れる場面がもっとあれば違ったかも。
やっぱり聖を中心にした方がわかりやすかったんじゃないかな。現代人に復讐といってもわからないんだよ。感覚が。ハマらない。そこまでの熱がない。その私たちを引き込むためには、死者の国に迷い込んだ聖が復讐に固執したスカーレットと出会い、旅をして、あまりにも自分と違う人々の生き方に触れ…少しづつ自分の死の原因を思い出していく。敵に刺されて自分の死の瞬間を思い出し、そこから本当に復讐を彼なりにかんがえていく…。自分は通り魔に刺されて理不尽に殺された。自分の死を受け入れなければいけない!自分の家族はどうしているか?これからどう生きていくのか…。自分は何を望むのか…。自分事として考えることができるようになって、やっと、スカーレットをみることができる。(何かずっとピントが合わずに彼女をみている気がしたので…。)
そして復讐をやめてくれ、スカーレットに生きたい…と言わせる場面に説得力が出てくると思う。
だから、あともう少し現代を入れ込んでも良かった。
物語の舞台は壮大だが説明が不足している。あの竜の正体は?過去と未来、国籍も入り乱れているのに、現代人が聖だけ、スカーレットの時代の人々が多く現れる…ってご都合主義すぎ。一緒に見果てぬ場所に向かって山を歩いていた人たちは?いきなり消えたよね…。死者の世界の案内人のようなお婆さんも、もっと効果的に登場させて、物語と視聴者の橋渡しをして欲しかった。
とはいえ作品のテーマは良い。あくまでもテーマは。時々にグッとくる場面もあった。どう死ぬかはどう生きるかにかかっている。死後は未知の世界だ。天国か地獄かそれとも虚無になるのか。そこに向かうことへの恐怖。死んでも尚争いをやめられない、支配され続けている人の業。人々の愚かしさや哀れさを…そして優しさを描いて、生きることへの尊さ、想いを託して命を繋げていくことの尊さ…ということを描きたかったんだろうな~と見ていて思った。でも不完全燃焼感がハンパない。昨日見たもののけ姫の方が、人の業や、哀しみ、命の尊さ、無常感を感じることができた。このテーマを扱うのは早すぎたんじゃないかな?そして子どもウケは絶対しない。
山頂では誰もいないのに、叔父との決着後はいっぱいいましたね。笑
なんとなく、ババ様視点の方がよかった気がします。
そうすれば唐突な転換も少しは自然になるし、“問いかけ”に重点を置けたような。
(もちろんキャラや台詞の練り込みは必要ですが…)
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