「まさに〈虚無〉であります」果てしなきスカーレット hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに〈虚無〉であります
観ているうちに、これは細田守氏を監督に招聘した、たまに劇場公開している宗教プロパガンダ映画だったかと思い、間違えて来たかと不安になり、「いやいやオープニングで某テレビ局のロゴが出ていたよな…」と思い直す、そんな観賞状態でした。
全般に実写映像(CG?)を撮って、人物だけアニメ作画する作り方なのでしょうか、息を飲むほどの映像、動きがありつつも、時折、アニメ作画の質が安定せず(特にモブキャラ。メインキャラもたまに)、実写的背景との格差が大きいカットも散見し、このクオリティで出すのかと残念に思いました。
また、主人公スカーレットの身長やあの運動性を発揮する筋力、生い立ちなどを想定すれば、もっと太く、しっかりした声になるはずで、違和感を覚え、聞いているうちに慣れるかと思っていましたが慣れずに終わりました。(芦田愛菜さんが悪いわけではありません。好きな俳優さんです。キャスティングの問題かと)
その他、都市開発PVみたいなのが出て来たり、「あんた、いつからいたの?」と思うサブキャラの突然登場や、「王様が処刑された後の王妃や王女の扱いって普通はどうでしたっけ?」などなど、細かい「何で?感」や違和感がいつもより連なる脚本でした。
細田守監督作品は全て、何度も観ております。それぞれにメッセージやキャラも変わり、観る人によって評価の上下はあるかと思いますが、隅々まで品質の維持・管理はできていたはず。それさえ、もはや希薄になられた結果かと、ショックで頭の中が真っ白。まさに〈虚無〉となりました。帰りの運転が危うそうになり、すこし気持ちを立て直してから帰りました。
聖が実は、争いの無くなった遠い未来から来た、「癒し系(慰め系)AIアンドロイド」で、廃棄される寸前、何かの拍子でこの世界に現れた。という設定だったら、彼の行動の矛盾、モヤモヤも大方解消でき、もうちょっと面白くできたかなと思いました。
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