「自国をヘル・コリアと呼ぶ若者たちのリアル」ケナは韓国が嫌いで ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
自国をヘル・コリアと呼ぶ若者たちのリアル
ほとんどドラマの受け売りだが、名前の五大姓(金、李、朴、崔、鄭)は国民の6割以上を占め、全体でも200種、(日本は10万以上)であり、名前が同じなら、学歴、財産、家柄、で差を付けようというのが人情だ。受験日には飛行機の騒音も許さず、格差は非常に大きく、出自の近い同姓同士は結婚出来ず、相手が年上ならタメ口禁止、酒杯も顔を背けて飲む。ざっと挙げても面倒で息づまる。オマケに自慢できない世界一もあり、出生率は最低、自殺率は最高………
将来を悲観し閉塞感を覚え、国外脱出を目論む若者の数はハンパではないことは充分理解できるので、すぐさまケナに感情移入してしまう。ニュージーランド編でも、英語の会話よりハングルのほうがなんだかしっくりするし、ケナも美人ではなく、裏表のあるところがリアルだ。原作は知らないが、生きづらさと若さが微妙に溶け合っている人間の普遍性を表現できている作品だと思う。
誰しも、ふと、自分が寒がり屋のペンギンだとして、過去のその“未熟さ”を補ってくれたのは、周囲の助力であったと素直に気づき、寒さと飢えさえ凌げれば、何処でも生きていけると悟れるものだ。
ケナに日本の詩を贈ろう。
おいら
オットセイのきらいなオットセイ
でもやっぱり
オットセイはオットセイで
ただ
むこうむきになってるオットセイ
(金子光晴 オットセイより)
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