平場の月のレビュー・感想・評価
全383件中、1~20件目を表示
等身大の大人の恋は、静かで、ちょっと苦くて、とてつもなくやさしい。
大人の男女の心の機微を繊細に描いた朝倉かすみの同名恋愛小説を、堺雅人主演、井川遥共演で映画化。中学時代の初恋の相手同士が、時を経て再会し、ふたたび惹かれ合っていく姿を描く。監督は「DESTINY 鎌倉ものがたり」以来8年ぶりとなる土井裕泰。「花束みたいな恋をした」「罪の声」など、恋愛と人生を描く名手でもある。脚本は「ある男」の向井康介。
映画『平場の月』は、
「特別な恋」じゃなくて、「ごくありふれた、どこにでもいる大人の恋」を描いた作品。だからこそ刺さるし、だからこそ少し痛い。
若い頃みたいに、勢いだけで恋に飛び込むことはできない。
仕事も、家族も、過去の失敗も、体力の不安も。
いろんなものを背負いながら生きている“いい大人”のふたり。
それでももう一度、“誰かと生きたい”と、夢みたいなことを願ってしまう。
この映画が良かったのは、
恋愛映画なのに、無理に「キラキラさせよう」としていないところ。
派手な告白シーンもない。
ドラマティックな運命の演出もない。
ふたりの会話も、ほとんどが“なんでもない日常の話”。
でもその“なんでもなさ”のひとつひとつが、
たまらなく切なくて、尊い。
誰かと一緒にご飯を食べること。
誰かが体調を気にしてくれること。
誰かに「またね」と言えること。
その当たり前の日常が、
どれだけ奇跡みたいなことなのか。
大人になると、身にしみて分かる時が来る。
「若くないからこそ、
こんな恋を、大事にしたいんだよ。」
作品全体から、そんな声が聞こえてくるようだった。
等身大の大人の恋に、ちゃんと切なさを感じられる人には、
ぜひ静かな気持ちで観てほしい一本。
どうぞハンカチのご準備をお忘れなく。
50代だからこそ描けるラブストーリー
エンドロールに流れる星野源さんの曲を聴きながら、全身に染み渡るこの大人なラブストーリーに、ただただ胸が苦しくなった。
大人になったらなんでも器用にこなして、正しい判断ができると思っていた。けれど大人になったからこそ、自分の生き方や振る舞いを変えられなくて、後先考えずに衝動では動けなくなってしまう。
おかしいな、10代の頃よりいろんなことが出来るようになったはずなのに、恋愛になると不器用で滑稽で、なぜこんなにも切ないのか。
ドラマチックで甘酸っぱいキラキラとした恋愛よりも、ただ愛する人と、平凡な普通な平場のような暮らしをしていくことが、どれだけ幸せなことなのかが身に沁みてくる。
ありそうでなかなか無かった50代のラブストーリー。堺雅人と井川遥という美男美女が演じているにも関わらず、演出やメイクや服装のおかげで、そこらへんのスーパーにいそうな、庶民的なふたりになっていた。そのおかげで最後まで没入して、ふたりの恋の行方を追うことができた。
中学時代のシーンもすごくいい。
堺さんは現代のラブストーリーものに出演されるのは今作が初めてということで、見慣れない堺さんのラブシーンは正直居心地が悪かったけど、それ以外の2人のシーンはとても素敵だった。
鑑賞後、日が経つにつれてじわじわと余韻が染みてきて、あーあの時須藤はどんなふうに思ってたのかなとか、青砥はあの後どうしたのかなとか、考えてしまう、苦しいけど美しいラブストーリーでした。
誰もが今、側にいる誰かに思いを馳せる時間
中学時代に出会い、互いに気持ちを充分に伝えられないまま、それぞれがそれぞれの人生を過ごし、50代になって再会した男女。どちらも人並み以上の苦労をしてきた割りには、相変わらず微妙にすれ違う2人が、ゆっくりと、本当にゆっくりと距離を縮めていく過程がいい。そのスピード感が2時間弱の映画にはピッタリなのだ。
失敗した結婚、癒えることがなさそうな病との戦いetc、苦しいことは多々あるけれど、劇中の台詞にもあるように、『共に歩む相手がいる何事にも変え難い至福』が、しんみりと伝わってくるのだ。たとえそれが、束の間の幸せだったとしても。
東京の北部、池袋から東上線に乗った先にある朝霞近辺に住む人々の生活感や、平場(庶民)として暮らすことの慎ましさも描かれているけれど、本作は演じる堺雅人と井川遥の適役ぶりで魅せる。特に、終始笑っている堺雅人が最後に用意していた"演技"に思わずもらい泣きしそうになった。
大人のラブストーリーには違いないけれど、誰もが今、側にいる誰かへの思いを新たにする時間を与えてくれる映画だ。
淡々と心地よい空気が流れます
あくまでも個人的意見ですが。
正直、期待外れだった。監督や脚本に期待してしまっていた。悪くはないけど、別にわざわざお金払って映画館観に行くほどではない。悪くないとまだ言えるのは、感動はしないけどじんわり来る系の主人公達と同世代の人とかには染みる映画なんだろうなというのは伝わった。イマイチ感情移入できない不必要なシーンが度々あった。最後の方の展開もあまりにも読めすぎるありきたりなものだった。
ただ舞台ががっつり地元なので、それは観てて楽しめた。
原作が難しいので映画見てから読もうと思って観た
余韻が ずっと残る心地よい感じ
堺雅人ファンなので 観に行きました。
〇〇だ! と言う 男っぽい?セリフと 井川遥の 雰囲気に 違和感が
ありましたが、そんな事は どうでも良い位 最後の 堺雅人の 居酒屋での
演技が ホントに胸に染み入り ずっと余韻が残ったままです。
何か、物足りない…
中年の初々しい恋
中学生時代の想い出と交互によどむこと無く。
ラジオから流れる歌を、何だっけ?からのふたりで歌うシーン。
これから始まる恋愛あるある。めっちゃ波長合うの。
それからのラスト。やられました。
この恋切ないけどいちばん美しいピークのままにしたかったんじゃないかな。
焼き鳥屋のおやっさん、やるね。きっとこのオヤジも色々あったんだよきっと。
これ書いてる今も何だか涙出る。
堺雅人の泣きの演技が秀逸
静かに淡々と時間が流れていくドラマ。変に盛り上がることもなく主役の2人のやり取りの日常性を丁寧に映し出してゆくところに同世代として共感できた。
青砥(堺雅人)は胃カメラの検査で訪れた病院の売店で偶然中学の同級生の須藤葉子(井川遥)と出会う。最初は居酒屋で飲んでいたがどこの居酒屋も満席で葉子の家で飲むようになり何度目かの飲みの時に結ばれる(ヤッちゃう)。
葉子はガンの転移を知ってもう助からないと悟ってそのことを隠して青砥と別れようとするが約束の旅行に行くために一年待つことを了承(?)その間2人は会ってなかったようで熱海旅行の1週間前に人づてに葉子の死を青砥は知る。
会社の飲み会でいつも2人で飲んでた居酒屋に久し振りに訪れた青砥は、ふと2人でいつも座っていたカウンターの席に座り空いている隣の席を眺めながら薬師丸ひろ子の「メインテーマ」を聴きながら嗚咽する。この笑っているとも泣いているともどちらともつかない嗚咽のシーン、ホントにスゴかった。
青砥の元妻役の吉瀬美智子、ワンシーンだけの出演でもったいなかったなぁ。
うーん。。。
いまさらながら初恋と付き合う
個人的な話から入って申し訳ないですが、車での一人旅のお供に、買ったまま封を切っていなかったCDアルバムを持っていきました。1970年代に活躍したアイドル第1号と言われている南沙織の引退記念アルバムなのですが、これにドハマりしてしまい、旅の間ずっと繰り返し流していました。そして中古市場で出ているアルバムをほぼ買い集め、ずっと聞いています。
でも本人はわずか7年で引退し、今は70歳、いまさらハマったところで推し活できるわけもなく、新作も出るわけもなく、なんかけっこうな喪失感にとらわれました。この感覚は何だろう、以前にもあったなあ、と思い返してみると、初恋で失恋した時の喪失感とおんなじだ! と思い当たりました。
そんなわけで、普段は恋愛物なんて見ないんだけど、この作品がそんなテーマで作られたようなので見に行ったわけです。
淡々と描かれる中年の日常に初恋時のやり取りが印象的に交わって、堺雅人の絶妙な表情と井川遥の押さえた演技がよくマッチし、静かに心にしみる作品になっていました。いつもはクライマックスがどうの山場がどうの言っている私ですが、ラストに向かってもうこのまま何も起こらないでくれと願った作品はこれが初めてです。
ラストシーン、居酒屋の老亭主がかけている曲、私はかのアイドルの唄に変換して思い返したりしています。
井川遥は、主演女優賞級の演技。リアルで静かな演技こそ評価されていいと思う。
井川遥が、アラフィフの女性をリアルに演じていて、なかなか良かった。強い(というか強くありたい)女性を切なく、生真面目な演技で素晴らしかった。色気より、そんな毅然としているところが胸を打つ。熱演というような派手さはないが、しっかりした演技で、主演女優賞ものだと思う。(このようなリアルで静かな演技こそ評価されていいと私は思う。派手な演技を評価しやすいけれど、そうじゃないと思う)
しっかり葉子(井川遥の役)が生きていた。
堺雅人もいつも通り受けの演技で良かったけど、ラストの泣きの演技はもっと自然の方が良かったかな、と思う。
監督の土井裕泰は、こういう素朴で人の温もりを感じさせるドラマ(映画)はうまいなあと思う。
シナリオは、向井康介。
先日の「愚か者の身分」も良かったが、今回もいいシナリオだった。セリフに無駄がなく(説明的なセリフは皆無)、構成力がある。
今回は、回想シーンがうまく挿入されていた。たびたび挿入される回想シーンは、話を進むごとにまるで謎解きのようにラストには二人の心を通わせた中学時代(楽しそうに自転車の二人乗りをしている)の回想シーンで終わる。
青砥の涙のシーンで終わらずに中学生の時に二人乗りをしてるシーンで終わるのは、そこが二人の原点だったからか。
あと、飲み屋の主人役の塩見三省が、いい味を出していた。ぜひ塩見三省に助演男優賞を!
3:7と言ってくれたなら
一言で言うと、先入観があり、感動できなかった(こちら側の要因かも)。日本映画で多いのは、若い頃と大人の自分、交互に流れる。
大体が、7:3や、あっても6:4。印象も含めてだ。「君の膵臓」や「セカチュウ」など。
私も50代前半、世代である。
今を中心なら、前半でそんな描きぶり、逆に若いところから初めて、もうでてこない、とか。
ViVan堺雅人、井川遥、平凡には思えない。
うーん。何か、逆に奇跡的なことを起こしたら、平場に入れたのにと。わかる方はいないかも。
ここからは、しょうもないこと。
平場の青砥(高卒)にモデル体型の吉瀬美智子が嫁さん、どこでどう会うのだ。井川遙だけならギリ現実感ある。
私には、両方のめり込めなかった。
ラストの自転車2人乗りは良かった。
後からくる
劇場やTVで予告を見て、
面白そうだったので、鑑賞。
予告でいうと、
これは仕方ない事かもしれないんだけど、
堺雅人のあの泣いているカットは、
出来れば、本編にとっておいて欲しかったかな。
内容は、
大人の恋愛ってこんな儚い面もあるんだと思った。
中学生時代のシーンも良かった。
あと所々、日常の笑えるシーンがあって、
その辺りの空気感の作り方が上手かった。
堺雅人と井川遥の演技はもちろん、
その脇を固める役者陣の名演技が、
この作品をしっかり骨太にしていた。
お喋りな同級生に、先輩のオッチャン、須藤の妹、
青砥の母、中学生時代の青砥と須藤役の2人。
なんといっても、居酒屋の大将だな。
それぞれ、微妙な感情の変化を表現していて、
平場の人間のドラマがしっかり観れる。
自転車2人乗りは青春すぎて、
夜なのに眩しかった。
こっちが恥ずかしかったな笑
須藤が青砥に突然素っ気なくなったのは、
もしかして・・・と思ったけど、
須藤が亡くなったっていうのを、
あぁもあっさり聞いてしまうと、
青砥もすぐに受け入れられる訳無いよな。
須藤のカレンダーにも、
12/20に赤丸があったのが切ない。
居酒屋の、
あの席であの曲。
青砥の心情が溢れ出た良いシーンだった。
須藤が窓辺で考えてた夢みたいな事って、
何だったんだろうなぁ。
そんなこんなを思いながら、帰り道。
映画と同じ、月が出てた。
まさか、薬師丸ひろ子さんの曲「メインテーマ」で号泣です。😭
2025年劇場鑑賞17本目、「平場の月」。
第32回山本周五郎賞を受賞した恋愛小説を、堺雅人さん井川遥さん共演で映画化。中学時代にかすかに思いを寄せ合った2人が時を経て再会、お互いにひかれ合っていく姿を描く大人のラブストーリーです。
妻と別れ、地元に戻った青砥健将(堺雅人さん)、印刷会社に再就職しつつましい生活を送っていた。そんな中、中学生時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川遥さん)と偶然出逢う。彼女もまた、夫と死別し独りで暮らしていた。
真面目で優しい青砥と、どこか頑固で生真面目すぎる程の須藤だが、寂しい者同志「じゃ、相互互助会みたいに」と少しずつ2人で過ごす時を重ね、次第にひかれ合う。😍
一緒に過ごした彼女の部屋から見える月。「あの時、月を見ながら、一体なにを思ってたの」と問う青砥、「夢みたいなことだよ。」とはぐらかしながら微笑む須藤。🌖
ある日2人で交わした約束。この素敵なラブストーリーの行方は⁈
ラストシーンで流れる薬師丸ひろ子さんの曲「メイン・テーマ」。この曲でこんなにも涙がぼろぼろととまらなくなるなんて、思いもよらなかったです。😭
世代、境遇が似てたものですから、期待感いっぱい。「そりゃ、井川遥さんみたいな初恋の人が、おひとりで身近にいらっしゃったら、1発で撃ち抜かれるよねー。」と自分で突っ込みを入れながら鑑賞したです。😆
とってもとっても素敵な作品でした。
朝霞っていい街だなあ
全383件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。








