劇場公開日 2003年3月21日

「離婚と実家喪失の物語。 あまり笑えなくて、ちょっと物悲しいコメディ。生きるために必死だったドブネズミのおはなし。」キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5離婚と実家喪失の物語。 あまり笑えなくて、ちょっと物悲しいコメディ。生きるために必死だったドブネズミのおはなし。

2025年3月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

レオナルド・ディカプリオの良さは
いわゆる「場末感」。“育ちの悪さ”にあるのだと思っている。これは彼ならではのものだ。
たとえその作品の役柄の上で、彼がスターダムにのし上がって行き、ブラックタイに豪邸を身にまとう“成功者”(セレブ)になったとしてもだ。

たとえば、「代々続く生粋の良家の子女たちが、王立演劇学校を経て俳優となり、与えられた脚本への研究や監督の意向に従って《ワル》を演じたりする 」―のとはどこか違って、
ディカプリオという個性は、いつまで経っても一流にはなれない低層の哀しさを、その“匂い”と“生まれ”で醸す役者だと思うのだ。

監督はまさにそこを痛烈に突く
「なぜ電話してきた?お前、話し相手がいないんだろう?」。
この FBIの捜査官=ハンラティ(トム・ハンクス)のあの急所への一撃。
一年に一度、一人ぼっちのクリスマスに、フランクはハンラティに電話をする。ハンラティは毎年その晩、同じく一人ぼっちの境遇でフランクの電話を取ってやるのだ。

幾度も回想シーンが織り込まれる、それは父と母の幸せなダンスの光景。
でもフランクの父親は事故で死に、
母親は家を出たあと知らない男と再婚して子供までもうけていた。

フランクはハンラティに何度も繰り返し訊く
「結婚はしているのか」
「子供はいるのか」
「何歳の子か」。

親の離婚で寒い路上に放り出されてしまったそんな子供たちの境遇。
もうどこにも帰る実家がない、寄る辺ない17歳の“孤児“を、捜査官ハンラティが新しい父親となって、浮浪児を更生させるというストーリーだったのだ。
「父」を演じさせればトム・ハンクスは天下一品。

監督はあの「ET」で、寂しい子供の胸のうちをすくい取ったスピルバーグだ。そのスピルバーグとのタッグだから、素のディカプリオ本人も納得してキャスティングに応えたのだろうと、僕は勝手に解釈する。
彼がどんなに見事に詐欺を働いてパイロットや弁護士や医者になりすまそうとも、
やはりフランクは「両親が離婚して家を出ざるを得なかった子供の顔」だった。本当はまだまだ安心できる家庭が必要な17歳の子だったのだ。

・・・・・・・・・・・・・

そして本作品で采配を振るったスピルバーグは、ガス室の恐怖から逃れてきたユダヤ人移民の子であり、ウクライナ系であり、自身、両親の離婚を体験してしまった過去を持っている。
監督の生い立ちは、作品にしっかりと反映している。

・・・・・・・・・・・・・

「アビエイター」へのコメントを下さった めるさんのオススメで観賞しました。
ありがとうございました😊

きりん
めるさんのコメント
2025年4月6日

きりんさん、フォローありがとうございました😊これからよろしくお願いします!
アノーラ、地域によってはやってないところありそうですね💦私のいつも行くところもアカデミー受賞してやっとこさ上映スタートした感じでした!
フロリダプロジェクト、他の方もおすすめとおっしゃっていたので今度はそちらを観てみます🎬

める
めるさんのコメント
2025年4月6日

コメント遅くなりすみません💦見てくださったんですね!ありがとうございます🙇‍♀️
この作品のレオさんもトムハンクスもどちらも名演でしたね。あの2人の友情が印象的で観た後も心に残るいい映画です🎬

める
PR U-NEXTで本編を観る