劇場公開日 2003年3月21日

「職人芸的な快作として評価」キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5職人芸的な快作として評価

2024年11月30日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
スピルバーグ監督作品は、ほとんど鑑賞していたけれど、本作品は、観逃していました。
そこで、動画配信で鑑賞することにしました。

【率直な感想】
一般的に評価の高い本作品は、クライム・コメディと紹介されることが多いようですが、あまりコメディの要素は感じられなかったです。
どちらかというと、シリアスな作風に感じた私は、少数派なのかもしれません。

本作品は、冒頭で、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公が既に囚われの身となっていることや、実在の人物の自伝小説を原作にしていることから、最後は、逮捕されて、改心する物語だろうということは想像できるのですが、それでも、飽きさせることなく、物語展開させていくところは、さすが、スピルバーグ監督という感じでした。

主人公の詐欺の手口は、直接的には、「偽造小切手」を使って、現金をだまし取るものなのですが、その前提として、パイロットでもないのに、あたかも本物のパイロットであるかのように装おうなど、「身分の偽り」を騙しのテクニックに取り入れているところが、これまで観たことのない犯罪映画となっていて、大変に興味深く鑑賞することができました。

この詐欺師である、ディカプリオを追い続けるのが、トム・ハンクス演じるFBI捜査官なのですが、全編に展開する追いかけっこは、日本の作品で言えば、ルパン三世と銭形警部の関係を想起させました。
冒頭にシリアスな作風と書きましたが、この二人の関係について言えば、どことなく、ユーモラスな味わいが感じられます。

題名にもあるとおり、「捕まえられるなら、捕まえてみな」という、トム・ハンクスがもう少しのところで、ディカプリオを取り逃す展開により、あっという間に最後まで鑑賞できる作品に仕上がっていました。

ただし、ちょっと意外だったのは、ラスト近くの、ディカプリオが逮捕されてからの展開で、こんな展開ありか、でも、実話だよね、と、いわゆる「事実は小説より奇なり」を体現していたことがとても印象に残っています。

また、詐欺師ゆえ、嘘をつき続けていたディカプリオが、たった一つだけ「真実」を述べていたことが、その理由とともに最後に明かされるのですが、これには、正直なところ、驚かされました。

最後に、エンドロールが流れる直前、本作品の主人公が現実世界で、その後、どんな人生を歩んでいったのか、テロップで説明されるのですけれど、これにも、また、びっくり仰天です。

【全体評価】
全編を流れる、追いかけっこの観客を引き込む展開に加え、現実の主人公のその後の人生で、観客をあっと言わせて締めくくるという、映画の職人芸的な技を見せつけられるような、快作であったと感じています。

悶