「メメント・モリ」28年後... kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)
メメント・モリ
アレックス・ガーランドプロデュースによるゾンビ映画「28日後・・」「28週後・・」に続く28シリーズの第三弾。ダニー・ボイル監督、アレックス・ガーランド脚本のコンビは1作目以来のタッグ。実は前2作は観ておらず今回が初見だが、話は独立しているので問題はない。
それより問題なのはこの作品は3部作の1部ということが何もアナウンスされていないこと。ラストに急展開し続いてしまうのだ。完結すると思い観ていたので目が点になった。
人間を凶暴化させる謎のウィルスがロンドンで蔓延し、多くの死者を出してから28年後、一部の人間が本土から離れた孤島に逃れコミュニティを形成し身を潜めて生活している。
ある日ジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)は12歳の息子スパイクを連れて本土に渡る。それは大人になるための通過儀礼として、もはや人間ではなくなってしまった凶暴化した感染者を狩るというものだった。
中盤までの展開は定番のゾンビ映画プラスバイオハザード系のゲーム映画のようで既視感が否めない。ゾンビ的といえども死者ではなく感染者なので、人間が人間をゲームのように殺すというのは、上陸の時に被せられる過去の軍隊の歌と映像でも明らかだが、愚かな戦争の比喩だろう。
ただ、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドという鬼才2人のコンビとしては凡庸で物足りない。ところがスパイクが病気の母親を連れて再上陸するあたりから本領発揮。
本土で感染せずに生き延びている元医師のケルソン博士(レイフ・ファインズ)の登場から全く展開が変わるのだ。多くは書けないがキーワードは「メメント・モリ」、ラテン語の成句で「死を思え」「いつか死ぬということを忘れるな」といった意味だ。
物語は中盤以降哲学的な展開を見せ、そしてラスト近くスパイクは奇妙な集団と出くわす。
哲学的な展開をぶち壊すようなラストで面食らうのではないか。
しかし、2部に続くというのであれはこれからがこの監督脚本コンビの本領が発揮されるのではと楽しみ。
2部は製作済みで来年1月に公開される予定なので楽しみに待ちたい。
前半が凡庸なので評価は3.5とした。