「犯人に魅力がない」名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) すずらんさんの映画レビュー(感想・評価)
犯人に魅力がない
長野県警組がでてくる。ヒロも出てくる。
おっちゃんは眠らない。
期待値120%で見ました。
正直、期待していた部分は、期待値を超えていました。特に小五郎さんが、ワニの階級が警部と聞いて泣くところ。
あの、遠慮のないふたりの感じから察するに、二人ともノンキャリで年齢や入庁時期も近くて…という感じなんだろうな…と思いながら見ていたので、わたしも「警部」と聞いて「…若くして警部になったんだ…頑張ったんだ…」と感じたため、あのシーンは本当にもらい泣きしました。。(ゆえに、なぜ、窓際部署なんだ?とも思いましたが、これも伏線だったのでしょうね)
ヒロの登場の仕方も、予想外でしたが、あそこで高明が我に返ったのが本当によかったです…高明の家族のことを考えると本当に辛くて立ち上がれなくなってもおかしくないのに…本当にかっこいい男だと思います。(自分が死にそうな時にヒロのことを思う、というのがお兄ちゃんだなぁ…と、ここもじわぁーと涙が出ました)
元太、光彦も自分のできる範囲で(そして最大限の結果を出して)犯人と戦ってたところも胸熱でした。(蘭ねーちゃんは相変わらず素手でフルフェイスのメットを殴りつけてますが、本当にすごい女の子ですよね…)
哀ちゃんも、蘭ねーちゃんと一緒にサッカーに行くと聞かされたシーンでの感じも、いつもとは違っていて。レーザーを出すのに協力してるところも、あぁ、『黒鉄の魚影』後なのね…という感じでジーンときました。
安室さん役の草尾さんも良かったです。実は前の声優さんの声が安室として受け入れるにはどうしても苦手だったので…似た感じではなく、新しい安室さん、という感じだったので安室ファンからは賛否あるかもしれませんが、わたしはすごくよかったと感じました。
少し残念だったのは、おっちゃんに自力で推理させて欲しかったなぁ…と。あの人、家族や仲間のことになると推理力が爆上がりするので、映画しかみない人への配慮なのか、新一からメールが来た、ってことにしたとこは、残念でした。
射撃の腕前は相変わらず上手でしたし、全力でコナン守ってたり、かっこいいシーンはいっぱいありましたので、まぁ、いいですが。
でも一番がっかりしちゃったのは、タイトルの通り、犯人に魅力がない、というところです。
マキさんが亡くなってしまったことは可哀想だし、事件のせいでアスリートとして大切な足に怪我を負い、そのせいで自殺したというのは、残された人にとっては辛いことでしょう。お父さんの、大友に対する慟哭のシーン、本当に辛かったです。
でもさ、(ここからわたしはたぶん物凄く辛辣なことを書きますが)事件で亡くなったならともかく、その後にアスリートとしての生命を絶たれたことに対して絶望して自殺、って、ぶっちゃけ大友たちは関係ないですよ。
アスリートだって分かってて加害したわけでもないし。
何だったらたぶん、誰もいないと思って強盗に入ってただろうし。
怪我なんて、事故で負うかもしれない。
災害でも負うかもしれない。
アスリートを続けるなら乗り越えなきゃならないし、アスリートを辞めても幸せになれる、って本人が思えないなら、周りがサポートすべき。
今回は事件だったから「犯人(大友)」がいたわけだけど、大友が司法取引に応じず、刑期を全うしてたらマキさんは自殺しなかったの?違うでしょ。
私の好きな峰不二子の言葉なのですが、「つまずいたのは誰かのせいかもしれないけど、立ち上がらないのは誰のせいでもない」ってのがあるんですよね。
マキさんが自力で立ち上がれないほどしんどかったなら、恋人であるお前(本映画の犯人)が支えろよ。
お父さんだって恋人が誰なのか、知らなかったみたいだったけど。てことは、お見舞いとか、リハビリ応援に行ったりとか、してなかったんじゃないの?お父さんと一緒にマキさんのサポート体制を早急に作れよ。(ここんとこ、一回しかまだ見てないので何か理由とか、言ってましたっけね…?)
恨む気持ちはわかるけど、司法取引とは、何の関係もないよね?と思ったら、全然犯人に対して感情移入できなくなっちゃいまして…。
事件でマキさんが亡くなってたなら、まだ分からなくもない…けど、それでも、司法取引に対して抵抗するためにほぼテロに近い形で国家を脅迫してるにも関わらず、真相に近づきそうな人をちまちまと殺そうとしたり、やってることがみみっちい。
物語ラストでハロ花に出てきた謎の地下牢で安室から「司法取引」を持ちかけられて「それがお前らのやり方か!」とか言ってたけど、そりゃそうだろ、としか。
てかあんたは公安をなんだと思って、スカウトに応じたんだよ…と。公安も変なのスカウトしてんじゃないよ。と、どんどん心が冷めていきました。
ひとつ、収穫だな、と思ったのは警察庁には「裏公安」という制度がある、ということ。
これで、高明も裏公安だと、提示されたんだな、と感じました。
他がいろいろとよかっただけに、犯人の小ささ、が本当に、物凄く、残念でした。
来年は千速さんと横溝重悟がメインぽいので、楽しみです!
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