劇場公開日 2025年2月28日

「実に面白い映画」プロジェクト・サイレンス 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5実に面白い映画

2025年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

韓国政府が秘密裏に対テロ用の道具として開発した。その「兵器」が輸送中に、ソウルと空港を結ぶ橋で起きた多重交通事故がきっかけとなって外部に流出し、人々を大パニックに陥らすという映画。
ポリティカルサスペンスの要素に、ヒューマンドラマも入れ込んだ、面白く、濃いドラマに仕上がっている。それでいて胃もたれを感じさせない、出来のいい韓国映画と感じた。
毎度のことながら、事前の知識はほとんどなしで映画館に行った。公開中の作品で特に見たいものがあるわけでなく、なんとなく韓国映画でも見に行こうか、という感じで都内の映画館に行った。
平日の昼間ながら、水曜日で割引だったためか、そこそこの入り。おっちゃんはシニア料金で見られるのでこの日に見に行く必要もないんだが、暇だったから行ったのだ。

先月見た韓国映画「コメント部隊」があまりにひどい内容(既に★2つでレビュー)だったので、この映画にもまったく期待しなかった。しかし、物語の展開に引き込まれ最後まで飽きさせず楽しめる内容で感心した。

韓国のパニック映画といえば2017年「新感染 ファイナル・エクスプレス」、2021年「白頭山(ペクトゥサン)大噴火」、2024年「コンクリート・ユートピア」などを見ているが、いずれも観客を怖がらせ、不安に突き落としながら、一筋の救いを見せるなどツボを押さえたストーリーで見飽きなかったが、本作もそれに十分値するものと思う。
この手の大掛かりな映画も、CGのおかげで、ハリウッドの大作並みの迫力を感じさせるよう、韓国でも製作できるようになったのは時代を感じさせる。20世紀には韓国映画が世界に通用する時代が来るとは到底思えなかったから。
しかし、デジタル技術の進歩は、莫大なカネをかけずとも、迫力ある映画作りができるようになったのだ。
アイデア、企画力があれば、ハリウッドにも十分対抗できる映画ができるというお手本といっていいだろう。
翻って、相変わらず小粒な作品ばかりの日本映画は…と思ってしまう。
韓国映画好きでない、韓国映画に関心ない人にもお勧めしたい。

町谷東光