「ジョディー!」プロジェクト・サイレンス レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョディー!
軍用犬ならぬアニマルウェポンにされた改造犬たちが人間に復讐を果たすべく反乱を起こす。戦時中様々な動物が兵器として利用された。それこそ犬に爆弾を背負わせて敵の戦車に体当たりさせる特攻に利用するとか。映画「イルカの日」では機雷除去に使われるイルカを暗殺の道具に利用するなんてのもあった。
霧に覆われた空港大橋で多重事故が発生し、多くの人々が橋に取り残される。軍用ヘリも墜落し、タンクローリーの爆発で橋は崩落寸前。タイムリミットが迫る中で改造犬たちに襲われながらも生存者たちが決死のサバイバルを繰り広げる。
ディザスターものだけでは物足りないからモンスターパニックを付け足したのか、あるいはモンスターパニックものにディザスターものを付け足したのかわからないけどなんでもかんでも混ぜ込んでチゲ鍋みたいにごった煮にするのがうまい韓国映画。いろんな既視感ある映画の要素がふんだんに盛り込まれている。
「ポセイドンアドベンチャー」や「デイライト」でもお馴染みの悲劇の老夫婦はやはり欠かせない、あとお調子者のキャラクターのスタンド店員、自分だけ助かろうとする研究員などなど、この類の作品では定番のキャラクターが揃っている。個人的には女子プロゴルファーのキャラが意外性があって良かった。ちゃんとその特技を生かせていたし。
おまけに主人公の親子は「新感染」の主人公のまんま。父親が仕事人間というところも同じ。
ただいろんな要素を混ぜ込んで破綻なく仕上げてるけど、お味はあくまでも無難な味。いい具材を入れ込んでもその素材の味を生かせておらず全体的には物足りない仕上がりに。ただ多重事故のシーンはなかなか迫力があった。
時間調整のためにあまり期待しないでの鑑賞だったのでそれなりには楽しめた。
救助犬という人間を救うために利用されたり軍用犬として人を殺すために利用されたりと、犬という従順な存在を自分たちの都合で使い分ける人間の罪深さ。そんな人間に対する犬たちの復讐劇。
ちなみに韓国ではペットブームも後押ししてか昨年法律で犬食が禁じられた。先日のデヴィ夫人の出馬会見でいまさらながらに日本では犬食に対して規制がなされてないこと気づいた。日本でも犬肉を出す店はあるらしいけど一度もそういう店にはお目にかかったことがないな。
イ・ソンギュン氏のご冥福をお祈りいたします。映画では最後まで生き延びてくれて良かった。