「主人公はリロとスティッチ、ただこのお話は…」リロ&スティッチ ついんてさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公はリロとスティッチ、ただこのお話は…
これはナニの物語だ、と言いたくなる。
序盤から彼女の境遇の重さにやられて泣き、彼女のリロに対する愛情に泣き、現実とちゃんと向き合って働くも虚しく終わる努力に泣き、本当に見ていて辛かった。
この映画が彼女にとってハッピーエンドでなかったら確実に叩いていたと思う。
ナニのリロに対する愛情は凄まじい。
フィジカルエリートの才女でありながら第一に考えるのはリロのこと。
端から大学に行く気はなく、リロが大人になるまで育てる気概を見せつける。
母親代わりになんかならずに自分の人生を歩みたい気持ちは少なからずあっただろうが、それでも妹に必要だと思ったから、リロを育てた人間を意識的に、あるいは無意識的に模したのだろう。良い子すぎるよ。
リロの「お母さんみたいなナニ嫌い」みたいなセリフがあった気がするが、この台詞があまりに辛すぎてなぜかここで泣いてしまった。全部お前のためなんだよ、と言いたくなるが、重っ苦しい家族関係を6歳児に理解しろ、受け入れろというのも酷な話である。そしてナニもそれをわかっている。彼女は、全部わかっているのだ。
だから、いっぱいいっぱいになって爆発するまで「パパとママはもういない」「これが現実」なんて言ってこなかったと思う。
どんだけリロに怒りを見せても彼女を芯から愛していて、翌朝にはいつも通り。
スティッチの受け入れを拒む場面も見せたが(当たり前)、最終的にリロの友達として、オハナとして受け入れて、本当に素晴らしい人間性。
最後のスティッチを抱えて水中を力強く歩むシーンは、もう、彼女の人生全てが反映されていて感動しっぱなし。
サーフィンのトレーニングをしていた伏線もあったもんね。すごいかっこよかった。
序盤、止まらないリロの猛攻に引きもしたが、「まあ、やるよな」といったイタズラの数々。
楽しそうに自由に暮らしながらも、寂しさを直接見せることはない。
流れ星(墜落するスティッチ)に願うときも、ナニを部屋から追い出し、「親友をください」と一人で静かに呟くのだ。
"リロは6歳である"という事実を一貫していたのはこの映画の良い点だったと思う。
無邪気で、言うことを聞かなくて、すぐ騒いで、されど、善悪の判別はある程度ついており、悪いことをすれば謝り、たまに本質めいたことを言える。
「家族はいつも一緒だけど、いつも完璧ではない」
いい台詞だと思う。
観れてよかった。
※原作アニメ未視聴のためズレた感想かもしれない