「実写化に当たってリアリティを損ねない良改変」リロ&スティッチ sayさんの映画レビュー(感想・評価)
実写化に当たってリアリティを損ねない良改変
予告を見ていて、スティッチがふさふさしていて牙や舌のリアルさが
生々しいなと感じてちょっと心配していたのだけれど
自分は非常に面白かった。
基本的なストーリーはアニメと変わっていない。
アニメだと個人的にリロに腹が立つことが多く、
ニナにも苛々してしまうことがあった。
映画だと実写になっている分、スティッチの”いたずら”も
正直シャレにならないレベルではある。
その分全体的なトーンはやや抑えられてはいたとも思う。
実写版のリロにもやはり我儘だなと思うシーンはあったが
ニナについては年若く妹思いで一生懸命な等身大の姉という感じで
アニメより非常に好きだった。
エルビス・プレスリーがかなり出てきたアニメ版と違い
現代の流行っているハワイ出身ミュージシャンのブルーノ・マーズの曲を使ったり
二人きりで暮らす姉妹に対して公私人が介入しようとしたりするのは
リアリティがある焼き直しで非常に良いと思った。
アニメの実写化はただ忠実にやってもリアルさがなくなるし
その違和感を無くすための改変は必須だと思う。
『家族』というキーワードは当然として、今回の実写映画では
『責任』という言葉も繰り返し出てきた。
家族だから我儘や自己犠牲が許される訳ではない。
それぞれの責任を果たしつつ助け合って生きていくのが家族。
スティッチがリロを助ける為に自己犠牲を選ぶ責任の取り方も驚いたし
一度は妹大事さにスティッチを見捨てかけたナニが
助けると決めた時の力強さがあまりに恰好良かった。
見た目に反して重たく持ち上げられないスティッチを
デイヴィドなら持ち上げられるのかもしれないが、
そうではなく彼女自身が一人で、海底を走る選択をした姿が最高。
筋肉のしっかりした美しい肢体がまたリアリティがあって良い。
ラストでナニが進学できたのも、
トゥトゥがリロの面倒を見てくれるのも、
現実的で真っ当な幸せだったし、ご近所さんで大人であるトゥトゥの
責任の果たし方でもある。
しっかりスティッチのワープ技術をナニが使ってサプライズで帰ってきたり
まるでドラえもんの立ち位置にスティッチがいて
リロだけでなくナニが普通にそれを受けいれているのもとても良かった。
ハワイ出身のキャスト・スタッフが多いのも好印象。
リロとナニのキャスティングは本当にとても合っていたと思う。
サーフィンもフラもできるのがオーディションの最低条件だったらしいが
そこも良かった。
監督のインタビューも読んだが、確かに孤児の姉妹を周りが放っておく方が
ありえないと思う。
非常に良いラストだった。
少なくとも実写化するに当たって、それによるリアリティを損ねない良改変だったと思う。
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