消滅世界

劇場公開日:2025年11月28日

消滅世界

解説・あらすじ

「性」の消えゆく世界で激動する「恋愛」「結婚」「家族」のあり方に翻弄される若者たちを描いた、芥川賞受賞作家・村田沙耶香による同名ベストセラー小説を実写映画化。

人工授精で子どもを産むことが定着した世界。夫婦間の性行為はタブーとされ、恋や性愛の対象は、家庭外の恋人か2次元キャラであることが常識となっていた。そんな世界で、両親が愛し合った末に生まれた雨音は、母親に嫌悪感を抱いていた。自身の結婚生活では家庭に性愛を持ち込まず、夫以外の人やキャラクターを相手に恋愛をする雨音だったが、実験都市・楽園(エデン)に夫とともに移住したことで、彼女にとっての正常な日々は一変する。

「朝が来る」の蒔田彩珠が雨音役で主演を務め、雨音の夫・朔役で栁俊太郎、雨音の親友・樹里役で恒松祐里、雨音の高校の同級生・水内役で結木滉星、樹里の夫・水人役で富田健太郎、雨音の元夫・正信役で清水尚弥が共演。国内外のさまざまなアーティストのMVやライブ映像、CM、ショートフィルムなどを手がけてきた気鋭の映像ディレクター・川村誠が長編映画初監督を務め、繊細かつ耽美な世界観で描き出す。

2025年製作/日本
配給:ナカチカピクチャーズ
劇場公開日:2025年11月28日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
川村誠
原作
村田沙耶香
脚本
川村誠
プロデューサー
成瀬保則
川村誠
三好保洋
伊藤聖
アソシエイトプロデューサー
伴健治
企画協力
河出書房新社
高木れい子
坂上陽子
近藤良英
脚本協力
作道雄
撮影
豊田実
照明
田中洵
美術
前田巴那子
録音
木原広滋
伊豆田廉明
衣装
石原徳子
ヘアメイク
柿原由佳
制作担当
百々勲
井上純平
編集
石原史香
川村誠
音楽
D.A.N.
主題歌
D.A.N.
音響効果
井貝信太郎
キャスティング
杉野剛
助監督
伊藤一平
劇中アニメキャラクターデザイン
Waboku
写真
渡辺一城
宣伝プロデューサー
三原知之
全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7

(C)2025「消滅世界」製作委員会

映画レビュー

4.5 完成披露試写会

2025年10月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

難しい

人工授精で子どもを産み、夫婦のセックスが近親相姦とされる世界。
原作を読んだときは例に漏れず「実写化は無理だろう」と思いましたが、まさか本当に形になるとは。
性描写はあえて直接描かず、余白の中で感じさせるような演出になっていて、どこまでも清潔で美しい世界が完成していました。
家族という概念すらなくなり、何が正常で何が異常なのか、人としての境界がだんだん曖昧になっていく。
観ていて苦しくなる瞬間もあったけど惹き込まれていきました。
原作へのリスペクトをすごく感じたしラストはやっぱり衝撃。
観終わったあともしばらく余韻が残って、いろんなことを考えさせられました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
TheE

4.5 文学的表現の最上級映像作品

2025年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

斬新

ドキドキ

先日、映画『消滅世界』の試写会に参加しました。
上映前には川村監督と主要キャストによる挨拶とトークが行われ、
和やかな空気の中にも作品への確かな熱量が感じられました。
印象的だったのは、監督が俳優たちに演技プランを提示する際、
音楽担当・D.A.N.による主題歌を聴かせたというエピソード。
音から物語のトーンを共有する——
その手法に、この作品の繊細な世界観の根源を垣間見た気がしました。

そして、いよいよ本編へ。
原作を既読の身としては、やはり映像化のバランスが気になるところでしたが、
結果は見事。
115分があっという間に感じられるほどの完成度でした。
原作に忠実でありながら、単なる再現に留まらない。
性的な描写をあえて直接描写せず、
観るものに想像の余地を残し、あとは各自それぞれの情動に託す——
監督の手腕と映像的センスを垣間見るようでした。

何より圧巻だったのは、蒔田彩珠の演技。
彼女が体現する「消滅」と「生」の境界には、息を呑むようなリアリティがありました。
ラストシーンは、静かな絶望と美しさが同居し、まさに鳥肌ものの瞬間です。

映像は端正で、どのカットにも意識的な構図が感じられる。
原作の印象的な台詞や世界観を損なうことなく抽出し、
読者でなくともこの異質な世界に自然と引き込まれるでしょう。
最後まで一切の冗長さがなく、緊張感を保ったまま着地する作品でした。

公開日が待ち遠しい。
静謐でありながら確かな余韻を残す、今年屈指の文学的映像体験です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
きりこ