帰ってこなかった男のレビュー・感想・評価
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何を述べたいのか資格持ちにはわからず詰んでしまう
今年132本目(合計1,673本目/今月(2025年5月度)17本目)。
久しぶりに変な作品にあたったかなぁ、といったところです。もちろん、シアターセブンさんなど、明確にインディーズ映画を多く流す映画館の作品は、そのレベルの関係でどうしてもあらがある作品があるのも事実だし、どこまで突っ込むのかも微妙な部分も多いのもたしかです(かつ、トークショー等で観客が質問可能な形式にしている場合(今回も挙手制はあった)も、突っ込みどころが難しい)。
まず、このサイトのあらすじの文章自体が奇妙なので、どういう想定をしているのかで詰んでしまいます。
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…監督が、「配偶者が3年以上生死不明の場合、離婚訴訟を経て離婚ができる」「不在者の生死が7年間不明な場合、失踪の宣告をすることができ、死亡保険金受取人は保険金を受け取ることができる」という法的条件を基に (前後関係上、関係のない部分は引用省略)
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前者は民法770条とその2、後者の失踪宣告は30条とその2の話になりますが、一部書かれているように「どちらにも」家庭裁判所の関与が必要です。レアなケースですが申し立てがゼロではないようので各家裁のサイトにサンプル例があり、「警察に届け出て、いわゆる「この人探しています」活動を何年やった」とか、「不審な電話はなかったか(あって、何年の何月何時ごろだったか…)」など、申し立ての時にに何をしてきたかということは求められるようになっています(記入例もそのようになています。裁判上離婚の場合も同様)。
しかし映画内では「裁判所」や「家庭裁判所」といった語が一切出てこなくなるので(そこに行くシーンすらない)、家裁等を勝手にすっとばしてそれらの処理をしていることになるところ、それも法の要件を満たしていない行為です。もちろんこの点は結構マニアックな点であり、そもそも論でいえば「失踪宣告」という特殊な論点を扱った点については理解できるものの、そうであればちゃんと条文を読んで「家裁を関与させないとダメなんだな」というような展開にはしていってほしかったです(なお、弁護士の方はもちろん、この点程度なら、行政書士以上の資格持ちは即答できるレベルなので、法的にも解釈が正しいか確認してもらうことはとても簡単)。「その上」で、これらの裁判上離婚の家裁の管轄が厳密に間違っている(裁判管轄のお話)とかという指摘はまましたとしても減点幅は低いです。
これがまったくされていないと見える本作は、結局、その上記の「…という法的条件をもとに」の部分が「そういう「(民法上の規定とは違う)映画独自の」ルールのもとに」としたかったようにも思えてしまう(両方に家裁が必要なのは明らかなのだから、ちゃんと書くべき)点で、何がどうなっているかまるで読めない展開が続いてしまう点がとにかく厳しいといったところです。
採点に関してはやはり気になる点はありますので、これらをまとめておきます。
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(減点1.3/法律的な内容を扱う割に考察が不完全過ぎて採点が不可能に近い)
実際「採点が不可能に近い」以上、採点拒否も可能なレベルなのですが、そんなことはしませんし、どこかでこの「採点無理レベル」も採点幅を決めないとまずいところ、過去の私の投稿からこのレベルの「前提条件すら全部無視して謎の(独自すぎる)法体系でルールが進んでいって理解不能系」は、概ね2.5~3.0の評価となるようにしています。
この映画でいえば、どちら(失踪宣告、裁判上離婚)も家庭裁判所が出てくるべきところが一切出てこない等がかなりのアラで、そこがどうなのかなという点に大半つきます。
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煽ってみたかった女
偶然にも舞台挨拶付きで観賞。
演技の巧拙はビミョーなんだけど、なんだか会話の雰囲気がやけにリアル。(特にあゆみ)
…と思ったら夫婦で居酒屋に行くシーンでは急にコミカルになるし、終盤はサスペンスかホラーか滑稽劇か。
個人的にはこの転調が先読みできなくて好きだった。
焼き鳥を届けさせるくだりは、あゆみも共犯側なんだから事情を話せば、とは思う。
でも孝明アドリブ弱そうだしなぁ。
あゆみというキャラが、女性の怖さを拡大解釈した感じで印象的。
佳奈の最後の表情も読めなくて、いい。
倉田が本当に元旦那かということも含めて、余白の残し方が非常に上手かった。
監督曰く、孝明の保険証書が出てきたのは夢オチ(本人立ち会いでないと保険はかけられない)らしい。
松葉杖はあゆみの職業によってはありえる…のか?
佳奈のライブ配信も見ててコメント(LINEと同じアイコン)残すくらいヤバい奴だし。
家に来た店長の発言は普通ならあり得ないが、コメディとサスペンスの橋渡しの位置にあるのがズルい。
47分という中篇の中で、描くところのボカすところの取捨選択が巧みな秀作でした。
ジャンルからして解釈が分かれそう。
「足りない」じゃなく「もう少し見たい」と思わされたら、もう負けですわ。
松葉杖はなんだった?
当時夫だった男が失踪し6年半、あと半年で支払われる生命保険1千万円を皮算用する夫婦の話。
6年半前に失踪した夫の保険金を現夫の起業の出資金に充てがおうとしている女と、その女と3年前に結婚しながら浮気相手の分まで出させた上に、別れ様と企てる現夫の前に、失踪した筈の元夫が現れて巻き起こっていく。
倫理的にはふざけた奴らだけれど、言ってることやってることがアホ過ぎるし不自然だし、これってコメディで良いんですよね?
みんなただアホなだけで空気感が全然面白くなく、面倒くさいやり取りが多くてノリがイマイチなんだけれど。
泥靴で帰宅したところぐらいは想像力を働かせたら、コントの様で面白かったけれど、全体的にもっとキャッチーにしたら良かったのにという感じ。
もうちょっと長く観たかったな
予告編でなんとなく面白そうだなぁ、と軽い気持ちで観に行ったら、予想してたよりずっと面白かった。
失踪した夫を死亡扱い半年前に見つけてしまってから、コントのようにドタバタしながら、それぞれの思惑がビミョーにズレていく。
現夫の不倫相手は、妻バレ上等くらいにグイグイ来るし、妻は妻で馬脚を現しやがったななこと言い出すし、今さら良い人ぶるな現夫と、誰も味方したくない感じが面白い。
居酒屋店長の、客商売向いてないんじゃないか?な距離感も可笑しくて好き。
映画館プロジェクトは温度差がありすぎて気の毒。
急にサスペンス風に舵を切ったと思ったら、ラストがおいおい⁈って、ちょっとニヤついてしまった。
短かったけど楽しかった。
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