「人間に一番悪いのは腹がへること」おいしくて泣くとき ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
人間に一番悪いのは腹がへること
三十年前に突然姿を消した初恋の人の秘密を巡る物語を描いたドラマ。
出演者がいずれも存在感があった。特に主演心也役の長尾謙杜は、高校一年生の違和感なく存在感もあり、声優でも出来るくらい声が良く、聴き心地が良かった。もう一人の主役夕花を演じた當間あみは、幸薄の難しい役どころだが、彼女の個性がかなりフォローしていたと思う。安田顕の父親役風間耕平も良く、彼の存在は映画の安定感を大きく支えていた。
演出で印象的だったのは、雨。傘を持たぬ心也と夕花の純粋な気持ちへ雨が打つ。自分の人生を自身で切り開くのには微妙な年頃だ。夕花の「秘密」に跳ね返る雨音が聞こえそうだった。
ストーリの根幹に食堂から子供達へ提供されるボランティア食事は、映画では取り扱いが難しいテーマと思うが、物語に一本筋を通す重要な存在だ。有名な漫画のセリフで「人間に一番悪いのは腹がへるのと寒いゆうこと」を思い出した。提供する父親耕平の信念が伝わる。人の想いがこもった食事は「おいしくて泣ける」のだ。
連続ドラマにしてしっかり描いても良かったと感じる程、展開の山あり谷ありが楽しめる作品となっております。
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