「【”四葉のクローバーの栞とバター醤油味焼きうどんが30年の時を越えて齎した涙”今作は善なる子ども食堂を営む親子とDV義父を持つ少女との関係と、子ども食堂を営む人達の崇高な志を伝える作品である。】」おいしくて泣くとき NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”四葉のクローバーの栞とバター醤油味焼きうどんが30年の時を越えて齎した涙”今作は善なる子ども食堂を営む親子とDV義父を持つ少女との関係と、子ども食堂を営む人達の崇高な志を伝える作品である。】
ー 6年ほど前に京都シネマで「こどもしょくどう」という映画を観て、恥ずかしながら初めて子ども食堂を知った。そして、食堂を運営されている方々の崇高な志に頭を垂れたモノである。-
■父(安田顕)が食堂を営む高校一年の心也(長尾謙斗)は、時々店に来て“子供ご飯”を利用する同級生の夕花(當真あみ)と、二人とも部活に入っていなかったために、夏休み前に学級新聞を作ることになる。
ある日、彼女が義父から虐待を受けている現場を見た心也は、彼女を亡き母と父と行った海岸へ連れて行く。そこで、心也は彼女に亡き母が作った四葉のクローバーの栞を渡すが、彼女は転校し、音信も途絶える。
だが、ある日暴走車が突っ込んだ大人になった心也(ディーン・フジオカ)が営むカフェ兼子ども食堂に、若い設計事務所の女性が訪ねて来る。
◆感想
・心也の父が、器が広くて子供達に笑顔で焼きうどんを無料で提供する善性溢れる男で観ていてとても気持ちが良い。息子の心も直ぐに見抜く洞察力もあるのだが、そんな男を今や名優の安田顕さんがキチンと演じていて、作品に安定感を齎している。
・亡き母も息子思いの人で、心也が心優しくも強き心を持った高校生になった理由が良く分かるのである。
・心也は、父が営む子どもご飯を利用する不良くんにも”俺はうちの食堂を利用する人の名前を話そうと思った事はない!”とキッパリ喋る。心也の机に”偽善者の息子”と酷い落書きをする愚かしき同級生3人とは大違いである。
子どもご飯を運営する人に対し”偽善者”とは何だ!と、激しく心中で憤るが、子供だからな・・、と鑑賞を続行する。
・夕花の義父も愚かしき事限りなしだが、今作の軸はそこではないと思ったので、忌々しく思いながら鑑賞続行。
・友達のいなかった夕花の心の支えが、心也である事は間違いないのだが、夕花はDV義父と離れて暮らすために引っ越しをしてしまう。
劇中で心也の父が言う台詞で”自分の意志で判断しながら生きる”というモノが2回ほど出るが、心也はこの言葉に従って大きくなっていった事が分かるのである。
彼は大人になって結婚しても、父が作った食堂をカフェ&レストランに作り直すが、子ども食堂は続けている。勿論、人気メニューは父の得意の夕花も彼女の血のつながらない弟も美味しそうに食べていたバター醤油味の焼きうどんである。
・そして、義父の暴力で頭を石に打ち付けた夕花がどうなるのか、とハラハラしたのだが・・。
<今作のラストシーンは、涙を堪えるのが難しい。若い設計事務所の女性が連れて来た女性(尾野真知子)。心也は彼女が誰か分かっているが、背中を向けて妻(篠原ゆき子)が女性に人気メニューですと勧めたバター醤油味の焼きうどんを作るのである。
そして、そのうどんを食べた昔の記憶がない女性は、大粒の涙を流し始めるのである。そして、観ている側には、彼女が心也と約束した”大きなバルコニーのある家に住む”事が出来る程、頑張って建築事務所を設立し、幸せな家庭を築いた事が伝えられるのである。
今作は、善なる子ども食堂を営む親子とDV義父を持つ少女との関係と、子ども食堂を営む人達の崇高な志を伝える作品なのである。>
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