爽子の衝動のレビュー・感想・評価
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良くも悪くもコンパクト
ちょっと生活保護に興味あって「スノー」と「爽子」を見た。こちらはフィクションだけど実際ありそうな負の連鎖がちょっとADHD気味の主人公を追い詰めるはなし。そこが少し段取りダンダンに感じてしまった、スノードロップ先に見たせいかもなぁ。
胸糞感や見せ方の旨さはこちらの方が上かも知れない、前作の「市子」でも終わり方上手いなと思ったんだ。
でもその上手さが主人公の行動を予想可能にしてしまったから、私は少し物足りなさを感じてしまったんだと思う。お父さん役がはまってて凄い。
ADHDは最近関連映画を見たので様々なパターンがある事は知っていた、ちゃんと診断書を持たず本人も気付いてないケースも多いらしい。
「由宇子の天秤」のタイトルと酷似
この監督さんが合わないのか、前回の市子もツッコミどころ満載で少し精神年齢が幼いかな?と思いました。
社会的弱者を扱って、不条理を描くのは否定しづらくなりがちだけど、どうしてヤングケアラーになったのか?しか描いておらず、そしてその後の不幸が重なっていく事で社会が主人公を見放したと描いていますが、現実は本当にこの社会が=悪という問題なのだろうか?
作品を通しての問いがないと感じます。ヤングケアラーも自民党が出した法案などで、正直解決に向かったいますし、そこを否定していったい何になるのだろうか?そもそも論で解決していくのが目的なのだろうか?それは映画的な役割として良いのだろうか?などと市子と通じる欺瞞が強くあり、しかも手持ちカメラでさもドキュメンタリーかと観客に訴えようとするその安易な発想も少し違和感。
ダルデンヌが、この世代の監督さん達が好きなのはわかるが、由宇子の天秤はもっと違うアプローチや技術もふんだんに盛り込まれているし、同じように見えて段違いにレベルも高いように感じます。
衝動なエンディング
杉咲花主演の衝撃作「市子」の
戸田監督とは付き合いが長い。
その戸田監督最新作。
父親の介護をしながら
絵を描く夢を諦めたくない女の子の奮闘劇。
爽子!頑張る!!!
…なんつー美談はひとつもない。
介護をちゃんと描くと
苦悩、悲劇、汚物、性犯罪…more
この映画は、それを隠さない。
隠さないけど、ピックアップもしない。
だから、あざとくない。このバランスが見事。
丁度いいエグさ。
こんな介護の描き方は見たことがない。
これは苦悩ではなく残酷。
生活保護とは?
ヤングケアラーとは?
そして私は“終わり方マニア”である。(初出し)
こんな最高のエンディング…今年No. 1
この終わり方だけで居酒屋で語れる。
心が殴られる45分間作品でした。
ピンポイントな『悪い夏』
実際にもいるかもしれないけど、かなり分かり易くクソなお役所対応からスタート。
…と思ったら主人公もちょっとヤバい?
窓口での様子はまだしも、歩き方とか、笹を採る動きとか、彼女も何かしらあるのかと。
その後はひたすら苦しいヤングケアラーの日常を見せていく。
しかしお菓子(しかも腹にたまらないヤツ)は買うんだね。
もちろん生活保護受ける人間が娯楽性のあるものを一切断たなきゃいけないとは思わないけど…
あえて入れることもなかった気がする。
職場の無断欠勤も、事情はあるにせよ度重なってるようだし謝罪が軽い。
福祉課の遠藤は思ってた通りのクズ。
抵抗の段階でかなり痛切なものはあったけど、そこで切っちゃうのか、とも。
ラストカットも、決定的なところは見せないどころか環境音だけ残して呻き声すらナシ。
画で見せるのがすべてじゃないけど、エグみを避けすぎでは。
さとちゃんが喋れないことにもあまり意義を感じず。
介護士の男の子の存在も、「本来いたハズなのに」という要素はゼロではないが、必要でもないし。
遠藤の言動や行動、性欲処理までする爽子などは割と記号的。
反面、爽子の行動やさとちゃんの失語などのディティールに関しては余計なものが多く感じた。
先述のエグみの不足もあって、胸に迫るものが薄くなっているのが残念。
最近このテの話が多くて見過ぎてるのもあるか。
ぶどう味
脳梗塞による四肢麻痺で、糖尿病網膜症で失明している父親と2人で暮らす19歳の少女の話。
生活保護の申請に行くも舐めプなケースワーカーに苛立ちが抑えられず…と始まっていく。
帰路の買い物や竹を刈って帰る様ははなかなか勢いがあったけれど、ヘッドホンじゃなくてもしかしたらイヤーマフ?からのそんなことまで…。
19歳ならもう少し違う行動もできたんじゃ?と感じるところはあったけれど、何の意味が?と感じた設定をみごとに拾いながら、やり切れなさとか苛立ちを積み上げていくみごとな展開で作中にどっぷり引き込まれたし、決して駆け足でもないのにこの尺でみごとにみせてくれてとても良かった。
ただ、最近こういう残酷さを排除した様なぬるい締め方の作品が多く感じるけれど、もう5秒先までみせたり聞かせたりして、観客を立ち上がれなくしてくれたらなお良いのに…と勿体なく感じた。
酷い支援者もいるけれど、別の手掛かりもあったのではないか
生活保護の申請者に対しては、どんなに怠惰そうな様子に感じられても、相談は真摯に受けないといけないだろうし、ましてや弱味に漬け込むことは到底許されない。映画『渇水』やテレビドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』に出てくるようなケースワーカーばかりではないということは確かにあるのだろう。父親との関係を嫌がる娘も、口が利けない新任ヘルパーも、『芋虫』の傷痍軍人と同様に、性欲を可能な範囲で解消してあげようとしていたが、おむつでも可能なのではないとも思った。あるいは、放っておくと、自分で外してしまうのだろうか。医療監修はクレジットされていた。障がい福祉の窓口に行くように助言を受けていたが、療養介護施設入所の選択肢もあったのではないかとも思う。前任ヘルパーと父親との関係性は良好であったようだが、新任ヘルパーにとっては、娘よりは心技ともによりましだったかもしれないほどで、口が利けないという設定の意味が、やはり今一つわからない。前任ヘルパーが、娘の状態にももう少し支援の手を広げるようなケースカンファレンスを行うべきではなかったのだろうか。『岬の兄妹』よりは考慮の余地があるかもしれない。
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