異端者の家のレビュー・感想・評価
全201件中、1~20件目を表示
たとえ美味しそうなパイの匂いがしても知らない他人の家には絶対に上がらないでおこうと心に誓う
一切の前情報なしでの鑑賞。知っていたのは、タイトルとメインビジュアルのイメージのみ。まさかこんなに恐ろしいサイコスリラー映画だったとは…😱聞いてないよ〜🤫知ってたら絶対観なかったかもしれない。だってホラー映画嫌いだもの🙄
私の知っているヒュー・グラントは「ノッティングヒルの恋人」など甘いマスクで惑わすラブコメ作品のイメージですが、本作ではその彼のイメージを根本から覆されます。いつもの甘い笑顔は封印され、不気味なうすら笑いで追い詰めてくる奇人を好演。またそれがうまくマッチしているんだな🙄 でも男前ってのは、歳をとってシワが刻まれても、どんなに恐ろしい役を演じても、やっぱり根底にあるカッコ良さは隠せないよね。キムタクがいつもキムタクなのと同じ🧐ヒュー・グラントにこの役をキャスティングした人は素晴らしいですね、ほんまハマり役です🤫
私の中のホラー映画ってこういう映画なのです。お化けとか出てくる必要ないのよ👻 いつも思う「普通の優しげな人の豹変」がいっちゃん怖いからね🧐「ブルーベリーパイ食べてく?」からの「なんかこれおかしいんじゃね?」と2人のシスターが徐々に気がつくまでの間合いが絶妙。ちゃんと、段々、少しづつ、レベルアップしていく「怖さ」で心震える😱これってよくありがちなホラー展開なんですか?ホラー初心者すぎてわからん🔰わからんけど、私には十分過ぎるほど怖かった〜。密室で出られないというだけでもう絶望だよね。私があのシスターたちの立場だったらどうするんだろう?と常に考えながら観てるから、もっと怖くなるよね。シスターたちは、偉いよね👏恐怖に怯えながらもちゃんと選択してるんだから。私だったら絶望を通り越してもう号泣してるよね😭チョロいのよ、わたしホラー初心者🔰だから。いや、どうだろう?逆に火事場の馬鹿力みたいなのが湧いてきて勇ましく戦ってみたりする自分に出会えたりするんかな?絶対に体験したくはないけど、ほんとにそんな場面に出会した時に自分がどんな「選択」をするのかは興味はあるよね🧐
正直、宗教的なことはよく分かりません。けれどもミスター・リードの言い分にも半分くらい理解できる部分はありました。しかし「支配」こそが宗教なのだといった彼の考えとは異なり、私の中の宗教的なものは「自分の信念」みたいなものに置き換えられるかもしれません。
そんな私の信念から導き出した本日の教訓はコチラ
「たとえ美味しそうなパイの匂いがしても知らない他人の家には絶対に上がらない」
追伸
しばらくパイと扉がトラウマになりそうなくらい度直球に恐怖を喰らい夜道を帰るのが怖くなる🥲😭
5分後に始まった映画「たべっ子どうぶつ」に幸い心癒され無事帰宅♪
ヒュー・グラントの妙味を研究し尽くした唯一無二のホラー
かつてヒュー・グラントがロマコメ帝王だったことが都市伝説に思えるほど、ここ最近の彼は変幻自在だ。たとえ陰湿でナルシストな”嫌な奴”に振り切れたとしても、観客は苦笑いしながら、でもやっぱり彼の個性に魅了されてしまう。そんな彼が行きついたホラーの新境地。今回のキャラを構成するのはやはり”喋り”だ。ほぼ全編が彼のセリフ回しで占められていると言っていい。通常なら一人の俳優がこれほど喋り続けると観客も早々に飽きるものだが、相変わらずの甘いマスクで、まるで歌うように知的で優雅で緩急タイミングの絶妙な演技をやられると、この出口なき家さながらにもう止められないし、出られない。私自身、鑑賞中の自分が果たして恐怖しているのか、それとも魅了されているのか、最後まで分からなかったほど。どんな役でもグラントはグラント。これは他のキャストでは置き換え不可能な、もはや彼のために仕立てられたホラー。だからこそ最高なのだ。
サイコパスなのにいつものヒュー・グラント!?
宗教の布教活動をしている2人の若い女性がドアをノックすると、目の前にリードと名乗る気さくな中年男性が現れて、家の裏で妻がブルーベリーパイを焼いているから一休みして行かないかと提案する。女性たちはその誘いを受け入れる。
しかし、男は2人の話に耳を傾ける気などさらさらなく、宗教に関する持論を展開し始める。同時に、その家は脱出不可能な設えになっていて。という密室サイコパスホラー。
これまでも、入ってはいけない家に入ってしまった訪問者たちが死ぬほど怖い思いをする同じジャンルに属する傑作が何本かあった。しかし本作の場合、宗教にまつわる(まつわらなくても)持論というものが他者にとっていかに不快か!?というテーマが観客を苛立たせるところが異色と言える。そして、この世界のどこかでは閉ざされた家の中であらゆる異端者が息を殺して獲物が引っ掛かるのを待っているというリアリティが、異色に拍車をかける。
最大の見どころは多少既視感がある物語を独特の個性で牽引していくリード役のヒュー・グラントだと言って過言ではない。英国が生んだ世紀のチャラ男から、最近は軽妙や悪役までカバーするグラントが、ここではなんと、いつも通りのグラントを演じることで恐ろしいサイコパスになりきっていることに驚く。いう言われれば、グラントの目はいつも危険な光を放っていたことに気づく人は多いかも知れない。異なる役に挑戦し、都度変身するのではなく、役を自分に引き寄せてきたということに。改めてヒュー・グラント、凄い俳優である。
支配という暴力性。
(デビューの頃は清純派に思えたモルモン教徒である
アイドルでしたが、
でも、不倫ばかりして、色情いえ恋愛体質の)
斉藤由貴さんの感想を聞きたいなぁ〜
とボンヤリ思いました。
宗教は支配。
(なかなか適切な思想。
日本の新興宗教は暴力的な支配力で人を傷つけるのが目的のような団体もあるからねぇ〜被害者談。)
祈りは意味がない。でも他の人のことを祈ることは
美しい。
それを言いたかったんだろうね。
魅力ある作品。
計算されている作品というか。
2人の脚本監督がフルにディスカッションして練りに練られた作品にも観える。
ただ私には起承転結の転が長く、飽きた。
期待していたヒュー・グラントは、そんなに怖くなかった。
ヒュー・グラントといえば、美しい『モーリス』から
垂れ目のニヤケでラブコメを通過してコールガールを
買春。
『ウォンカと〜』のウンパルンパの怪演の方がある意味、
怖かった。
ワンコと散歩をしていると、遊んでいるの?と思えるように蝶が、僕の周りをひらひら舞う。
きっと誰かが守り祈っているんだろう、と思っている。
想像と違った。
オリジナルは模倣に塗り替えられていく📕
女子2人でモルモン教の布教に来たはずなのにヒューおじさんがジワジワと信仰心を剥がしにかかる宗教ディベートが珠玉。
この映画では、信じるもの(宗教じゃなくても、信奉してるもの、例えば推しとかでも)を引き剥がされる恐怖を描いており、その過程や、葛藤が見どころでありました。
つまりは宗教、音楽、ボードゲームなど、所詮人間の作ったものは同様に、何かしらの影響から生まれたものであり、本来大切にすべきオリジンは模倣に塗り替えられて忘れられていくという文化論を説いてるんですね。
で、そもそも映画、特にハリウッド映画こそが、どこかで聞いたことのあるような話、登場人物という風に似たような映画が多いなと感じますよね。
これはハリウッドのストーリーテクニック本「神話の法則」や新しいとこだと「SAVE THE CATの法則」の影響が大きいかなと思っています。これらのシナリオ指南本のおかげで良質なシナリオの作品が増える一方、模倣のようなシナリオでも予算がついて映画が作られるという。
これらのハリウッドのストーリーテクニック本の元になったのが、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」です。これは神話の中にある共通のエピソードを人間の共通課題として分析した本で、神話といいながら神話だけじゃなく、仏教とキリスト教の共通エピソードなど宗教の類似性も多く知ることができます。
この映画はこの本に大きく影響をうけた、というか脚本家は絶対読んでますよね?そういう意味でこの映画もまた、反復なのでありますね。
他の映画でも「この映画は裏側にキリスト教とか宗教とか神話が隠されてます」とか言われることがありますが、まあそうなりますよね。映画を作る方、評論家もこの本を読んでるから!😆
ラストは映画的にまあこうなるよなという着地でしたが、好みとしてはもう少し違うパターンが見たかったので⭐️4としました。
かなりの良作
ヒューグラントがうますぎ、ヤバすぎ、怖すぎ😱
女性二人がモルモン教の布教活動で訪問した家が…
と言った内容なのだが、本当に面白くて怖かった。
冒頭は本当に心優しい紳士的なおじさんかと思いきや、少しずつ宗教の話になると、その人が様々な宗教に詳しい事が分かってくる。女性二人を試すような質問をしたりちゃんと理解してるのかとか…信仰心を試したり…ヒューグラントはめちゃくちゃ宗教マニア。
もしかしたらその辺詳しいとより楽しめるのかもしれないが、なにも分からない我々日本人でも十分に楽しめる会話劇!
そして舞台はこの家の中だけなのだが、見事なカメラアングルで資格も飽きさせない。さり気ない伏線。
話がすすむに連れて家の奥へと入っていくのだが、それに連れて会話劇も激しくなり男の本性も明らかになってくが狙いが分からなくて最後までずっと楽しい。怖いのが大丈夫な人には見てほしいが覚悟して見てほしい👀
宗教ホラーは最低限の予備知識が必要かも
絶対に思考停止してはいけない
想像を覆すサスペンスホラー
最後は、奇妙に清々しい気分で見終わることが出来た作品でした。
導入と終結が、非常に上手く出来ていたなぁと思い返します。しっかりとした伏線と回収、そして考察の機会を与えてくれたと思います。
文字通りの始めのシーン(ベンチにてシスター二人の会話)に心をいきなり乱されて、二人が舞台(ミスター・リードの家)に上がった後も、二人のシスターを私はすっかり「偏見的」に観てしまいましたが、起承転結の転句でまんまと騙されていた事に気がつき映画のストーリーに引き込まれました。
結句では、真実だけでなく人間の身勝手さに支配されなかった超越した行為に、感動しました。
本作はホラーの枠組み(主演3人も同意)ですが、王道のようなホラー展開では無いので、油断すると気持ち悪く感じるかもしれません。
ですが、ミスター・リードが何故このような事をするのか、各シスターがどのような素顔をしているのか、最終的には私は納得出来たので、物語の構成と見せ方は良かったと思いました。
面倒くさい、ヒュー•グラント。
予備知識なしで観た方が面白い。
しかし、宗教や音楽やモノポリーの知識あった方が理解度が上がるので、ないとちょっと眠くなる難しい話かも。
「見るからに胡散臭いヒュー・グランドに閉じ込められる?!なんか家に色々トリッキーな仕掛け施してて、そこから決死の脱出劇?」くらいの知識と推測で観たけど、「ヒュー・グラントによる、宗教プレゼン映画」だった。
ホリーズとレディオヘッドとラナ・デル・レイの曲が似てて盗作疑惑、というのはYouTubeで既に見て知っていたので笑った。
映画的な面白さや、サスペンスとしての質は置いといて、宗教の捉え方の一意見として、めちゃめちゃためになったし、独自の見解が面白かった!!
セリフばっかだけど、飽きずに観られて、まぁ、細かいところはいいや、って思えた。
もっと聴きたいぞ!!
もうさ、パワポ見えた。
プレゼン、上手い。
宗教YouTuberみたいだった。
熱弁を奮うも、聞いてる女子がなかなかに鋭く「ホロコーストについて触れてない!!頭が鳥の神もいるのに、差異には触れてないじゃんか」って指摘されてるのも面白かった。
コメディ?
でも結局、なんか詰めが甘くて、信仰を持ってる人に難癖つける映画、とも言える。
「今回はここの説明があんまりしっくり来てなかったから、次から少し言い回し変えてみようかな」とか考えながらブラッシュアップしてたりして、とか考えると微笑ましくて笑ってしまった。
宗教は支配。
指示通りにすることが信仰心だとしたら、私は自分で選択したいから、宗教、向いてないと、改めて思った。
信仰と依存
ドントブリーズ以来の密室ホラー
宗教勧誘系女子を待ち受ける苛烈な運命。ヒュー・グラントの狂気に過去の自分を見る。
面白かったけど、なんとなく思っていた映画とは違ったような。
なんなら、2時間みっちり、モルモン教徒と無神論者の論戦を拝聴したかったくらい。
せっかく「キリスト教信者Vs.無神論者」という、魅力的なシチュエーションを設定したのに、わざわざしょぼいサイコ・キラーの話にしちゃうのは竜頭蛇尾過ぎて、じつにもったいない。
というか、ヒュー・グラントを「実はただの頭のおかしいろくでなしでした」って落ちにしないと、全世界のキリスト者がとうてい許してくれないから、というだけの理由で「ただのホラー」に貶めたのだとすれば、製作者の度量不足であり、軟弱もいいところだとも思う。
敢えて、ホットゾーンに踏み込んで、この危険なネタに挑むことを選んだのならば、徹底的にキリスト教の欺瞞には踏み込むべきだし、キリスト者はキリスト者として、徹底的に無神論者の怠惰を責め立てるべきだ。
それに、振り返って考えるほどに、脚本の流れがとても歪で不自然な映画だった気がする。よく言えば先読みしづらい展開なのだが、悪く言えば理不尽なイベントが多すぎる。ヒュー・グラントが何をどうしたかったのかも、ヒロインが何をどう考えて行動していたのかも、両者の迷宮内での動線も、正直観ているだけでは細かい部分がよくわからない。
ただ、とにかく、これだけは思った。
やっべえ、あんなおうちに住んでみたい!!
超住んでみたい!!!
大邸宅とか、お城みたいな家だったら、
ああいう構造の屋敷もあるかもしれないけど、
一見「ただの家」なのに、奥がひたすら、
迷宮化・ダンジョン化してるとか、
マジでうらやましすぎる。
ホントに、机上のドールハウスの通りに
(あの模型も欲しい! 超欲しい!!)
「最奥部」が広がっているのなら、
こんな愉快でわくわくする自宅ないよね。
明らかにダンテの『神曲』地獄篇の
影響下にある建築構造だし。
あと、モルモン教の女の子二人が、超好み。
かたやウィノナ・ライダー系。
かたや正統派の地味系乙女女子。
こんな可愛くて、清楚で、礼儀正しい子たちが
おうちに来たら、おじさん舞い上がっちゃう(笑)。
なので、ホラー・サスペンスとしては、低きに流れた印象は否めないが、おうちの魅力とヒロインの魅力で、十分面白く観ることができました。
― ― ― ―
最初は観るかどうか決めていなかったし、相変わらずまったく予備知識も入れなければ、人の感想やプロの映画評もろくに読まない無精者なので、映画が始まって「A24」と出て、初めてこの映画ってA24作品 なのか、じゃあ観にきてよかったなってくらいの感じ。
実は、ずっと仲良くしてくれていて、このあいだ退職された会社の元同僚が薦めてくれたので観に行ったのでした。「セリフ使いが好きだと思うのでぜひ」とのことだったが、いざ観終わって思うに、これってもしかして、僕の会社でのしゃべり口調がヒュー・グラントそっくりだっていうご指摘なのかな??
なんか失礼にもほどがあるだろ!!(笑)
僕はたしかに理屈っぽいかもしれないし、ここの書き言葉とほぼ同じ調子で朝から晩までのべつしゃべくりまくってる気もするけど、絶対あんなんじゃないから!! あんなんじゃないって自分では思ってるから。
ていうか、あんな感じにまわりの人たちに思われてるとは思いたくないから……。
― ― ― ―
正直なことを言えば、僕はこの映画のヒュー・グラントに、結構なシンパシーを抱いている。
それは単に自分も無神論者で、「キリスト教なんかでたらめだ」と心底思っているというだけの話ではない。
僕は実際に、これまでもそれなりにいろんな宗教勧誘の人と、じっくり膝を突き合わせて話してきた人間だからだ。
とくにエホバの証人の皆さんとは、2年以上はお付き合いしていたと思う。
大学生で一人暮らしをしていたころにアパートに布教に来られたから、ぜひお話を聞かせてください、ただしそちらのホームに行って洗脳されると嫌なので、そちらからうちにいらっしゃってくだされば、と答えた。
最初はおばちゃんとお兄さんのコンビ(おたがいを「きょうだい」と呼んでいて、最初姉弟かと思っていたのだが、なんのことはない、エホバの証人の皆さんは全員「きょうだい」と呼び合うのだ。ブラザー&シスターなわけね)が、ひと月かふた月に一度、新世界訳の聖書の講読会をしに来られた。
そのたんびに僕が「本当に七日間で神が世界を創ったという話を信じておられるのか?」とか「聖書の内容を現代の事象に合わせて解釈するエホバの長老たちの権威は何によって保証されるのか?」とか「予告された終末の日が何度も何度も先送りされることに仲間うちで疑念はないのか?」とか、いちいち面倒くさい質問ばかり10も20もするものだから、ついには「詳しい者を同行させます」といって、この映画でいう「エルダー」も一緒に来るようになり、最後は四人で来るようになった。
毎月、珈琲をふるまいながら、カルトの方から聖書の話をうかがうのは、とても刺激的な体験だった。あの人たちは決して悪い人ではなく、むしろとても善良な方々だったし、つねに懐疑的で冷笑的な僕に対して、怒ることもなく拉致することもなく、理論で調伏しようといろいろと話してくださった。
僕は、彼らの優しさに甘えて、徹底的にキリスト教をこき下ろし、宗教全般をこき下ろし、隣の人から聞いてもまず信じないような話を「聖書に書いてあるから」というだけの理由で信じようとする精神の愚昧さを嘲弄しつづけた。
そもそも本来は、誰が何を信じていようがどうでもいいと心底思っている僕なんかより、「世界の終わりが近づいているから準備しなければならない。このただならぬ『真実』を、信じていない人にも伝えて、何が何でも救いを広めなければ」という強固な使命感をもって布教して回っているエホバの証人の皆さんのほうが、よほど善良でお人よしな人々である気もする。
逆に、基本的に懐疑論者で相対論者で冷笑的な人間である僕から見ると、躍起になって信仰に生きる彼らの姿勢は、純粋な知的好奇心を抑えられないくらいに興味深いものだったわけだ。
僕が知りたかったのは、聖書に書かれていることが正しいかどうかといった些末なことではなかった(2000年の歴史と数十億人に支持される書物に、何らかの教訓や示唆がないわけがない)。
それよりも興味があったのは、宗教者の心の在り方だった。
何かを信じると決めて生きることで、果たしてどれくらい生きやすくなったのか。信仰に目覚める前はどんな生活ぶりで、何をきっかけに信仰の道に入ったのか。とくに身近な死や病気や不幸に見舞われたとき、心のなかで懐疑が生じる瞬間はないのか。聖書に従って生きるという「拠り所」のある生活は、むしろ退屈でモノトーンなものではないのか。
僕はそういったことを彼らに問い続け、彼らはそれに真摯に答えてくれた。
結局、2年くらいたったころに僕の就職が決まり、引っ越すことになった。
皆さんは「一度会館へ」とおっしゃってくれたが、そこは丁重に断った。
引っ越しのときに、なんと数名の方が、おにぎりをもって荷造りとゴミ捨ての手伝いに来てくださった。「何も聞いてくださらないかたより、ハルマゲドンであなたが救われる可能性は高まっていると思いますよ」といわれて、悪い気はしなかった。
ただ、「これを記念に」と下さった標語の書かれた妙な盾のようなものは、ちょっと気持ち悪かったので、そっと粗大ごみに紛れさせてから、住み慣れたアパートを後にした。
あのときはいろいろありがとうございました、そして本当に申し訳ありませんでした!
他にも、大学の正門のところにはいつも二人組の原理ねーちゃんがいたし、高校の同期で同じ大学に行って統一教会の信者になったS君や、同じく親鸞会の信者となったT君とは、何度も学生会館で論戦した。
妙齢の生保レディのお姉さんが、実は「冨士大石寺顕正会」の熱心な信者だったこともあった。お姉さんにバレンタインデーに駅まで呼び出されて、もしかして僕に気があるのかと内心バクバクしながらのこのこ出向いたら、「実は富士山の近くに大変ご利益がある曼荼羅があって」と切り出されたときには、さすがに泣きたくなった(そのあと速攻で生保会社にチクりの電話を入れた。笑)。
僕は無神論者だが、信仰を否定しない。
趣味の一環として、30年以上かけて1000体以上の仏像を(美術品として)鑑賞して回ってきた僕が、ほとけを信仰する人々の素朴な宗教心を、望ましく思わないわけがない。
信仰している人が布教するのも、むしろ当たり前の行為だと思う。
相手の信仰や無宗教を認容し共存するよりも、自分の信じる「真実」を分け与えたいと考えるほうが、宗教者としてはまともだとすら考える。
だが、やはり布教されるのは、率直に言って迷惑だ。
皆さんが真剣なのはわかっているし、優しくもしてあげたいし、駅でエホバの証人が「エホバ立ち」(独特の姿勢)で寒い中ポーズを決めているのを見るとつい応援したくなる。
それでもふつうに考えて、宗教の勧誘はウザがられて当然だと思う。
そんなこんなで、僕は「前半のヒュー・グラント」には全幅の共感を抱かざるを得ないし、だからこそ後半に単なるバカ&サイコに堕していくヒュー・グラントには、がっかりせざるを得ない。
前半のテイストのまま、ひたすら私的な公会議を美少女ふたりとえんえん繰り広げてくれたら、さぞ傑作になったろうになあ。
― ― ― ―
●「魔法の下着」という「きっかけのキーワード」が、ちゃんと二回ともバリバリに機能していたのはネタとして面白かったけど、「魔法の下着」って、パンフによれば「モルモン教徒が性交渉や自慰行為から身を守るために着る独特の下着」のことで、「この下着を正しく身に着ければ、誘惑や悪から身を守ってくれるとされる」らしい。全く知らなかった。
だから、わざわざこれを反撃のキーワードにしたんですな。
●アメリカでもモルモン教徒は思い切りカルト扱いなんだね。出だしでモルモン教徒とは言わないまでも、「ユタ州ソルトレイク」と言った瞬間に「ああそうか」とわかる感じ。町の若者からも「ウィアード」扱いでひどい悪戯されてるし。こんなにふたりとも超可愛いのにクソガキどもに迫害されるなんて、本当にあってはならないことだと思う(ルッキズムw)。
●ブルーベリーパイに特別な意味合いがあるのかと思ったのだが、映画を観ているあいだはわからず。単に「パイを焼いてると思ったら、アロマキャンドルだった」ってだけのネタ?
●モルモン教が一夫多妻制を敷きながら、それを後から辞めて世間に妥協したとヒュー・グラントは責める。そんな簡単に変えられる教義ならそれはそもそも欺瞞ではないのか、と。で、自分は似たり寄ったりのああいうことをやってるわけですね。初志貫徹というか同族嫌悪というか。
●パンフ掲載のヒュー・グラントのインタビューが妙に面白かった。
「私は自分の仕事が嫌いなんです。(略)撮影中に1、2度パニックで凍りついたことがあり、常に恐怖状態にあります。それが私と撮影現場全体に暗い影を落としています」
「私はメッセージが嫌いなんです。映画や本、小説など架空のものには決してメッセージがあるべきではないと思います。メッセージを伝えたり、政治的社会的、何かの主張をしたいなら、他に適した媒体があるでしょう。創造的なストーリーテリングは、ただそれだけを伝えるためにあります。映画クリエイターや作家が『これが私が伝えたいメッセージだ』と言い始めたとたん、彼らはくだらないクリエイターに成り下がると思います。それが私の考えです」
久しぶりにこんな見識に富んだ俳優の見解を拝聴した。よくぞいった。
左派系監督の激怒しそうなことを、まるで「無神論者」のように高らかに主張している。
だから彼はキャリアの初期をロマンティック・コメディに捧げていたのか!
そりゃオックスフォード出の、バリバリのインテリなんだもんね。
ヒュー様、100%あなたのご意見に賛同します。
ぜひ弟子にしてください(笑)。
ヒューの怪演
少し遅れてですが、ほぼ観に行ってるA24なのでとても楽しみにしていた作品。友人と鑑賞してきた。
今日までにたくさんの方が観てる本作。皆様にとって、どう思ったのか。
私的には掴みOK、途中からしんどい、結末最高という感じだった。
まず、配給会社のイントロロゴ。最近よくみるHappinet PhantomからA24までどのイントロロゴも音響が素晴らしく、音響への期待値が高まった。
が、映画が始まると音響がなぜか下がり、リアル感が少し減り勿体なかった。ホラー特有の音響効果はかなり強めに出してはいたがイントロロゴに比べたら弱く、少し残念だった。教皇選挙なみの音響だったらびっくりできたのかもしれない。
ジャンルはミステリーホラーと言ったところだったが、正直我々、日本人にとっては面白く感じなかったのではないかと思う。あらすじ通り若い女の子たちが宗教布教して始まる作品。
つまり宗教が絡んでいる時点でほぼ無宗教の日本人にとって共感するのが難しい。
ただ、宗教布教で煙たがられているところは日本とは変わりない。とにかく布教しようとその宗教の説明をするが、その宗教の方達には申し訳ないが胡散臭くてしんどい。
そんな中から始まるほぼセリフのストーリー展開。眠気との戦いで地獄すぎる。私にはその人がまともに見えて仕方ない。
そして次にミステリー展開、来た来たと思い、伏線+怖がらせてくるのかなと思ったやつはそのまま置かれ、また長セリフ。
確かに分からんでもない。オリジナルが薄れていく。とても分かる。オリジナルを大切に思っているからこそのその想い。これは現代の私たちに訴えているようで、分かりやすくて良かった。ただ長い。
そして始まる冒険ミステリー。私なら諦めて明るいところで居座るよ害ないしって思いつつ、分かりきったホラー展開で恐怖要素なし。
ここまで私的には普通で終わっていたのだが、最後の展開が本当に素晴らしかった。
正直、あそこであの子が入ってきた時に「ないわー」って思ってたんだけど最後のアレ👉もそうだが、タイトルのところで大感激した。
そこだけでも大満足。
演技の面では、主演のヒューグラントの怪演。画面いっぱいに映るあの不気味な表情や、声のトーン、所作。サイコパスすぎて脳裏に焼きつくほどだった。
女の子2人もお顔立ちとキャラクターがマッチしすぎて、すんなりと彼女たちのキャラクターを理解しやすかった。また全員がほぼ同じ立ち位置であるシーンから立ち位置が変わっていたのもよかった。
あと、カメラワークが最高にいい。私たちに注目して欲しいところの持っていき方や、これから何かが起こるよと見せるような動き、とても素晴らしかった。街中の階段もこれから起こる不気味っぽいしA24の世界っぽくて良かったなぁ。
本作怖いor怖くないで割れていた作品だったが、ホラー慣れしてるかしてないかの違いではないかと思った。ホラー好きな方、よく観てる方は怖くない派だけど、初心者はおそらく怖いのではないかと思った(友人が飛び跳ねてた)。
思ってたより重かった(笑)
脱出系と見たのとヒュー・グラントさんが出てたので鑑賞した理由かな☝️。
脱出を予告でうたってたからや「CUBE」や「ソウ」みたいな感じかな〜って思ってたから拍子抜け💧、でもそれなりには楽しめました😁。
宗教関係からの内容でしたので、字幕を読むのが難しかったー(笑)、宗教の意味はあまりわからないからそこが重いというか意味不明な感じがあり、私的にマイナスでしたがなんとなく状況が理解し始めてくると面白くは感じてみれました。
地下に居た人や家からの脱出シーンなんかは特に良かったです。
ヒュー・グラントさんはいつものラブコメヒーローじゃなく、クセのある役柄でいつも違う演技を見れたのもそれはそれでよかったです😁。
根拠の希薄な正しさの強要、反証不能性、宗教勧誘の持つ加虐性を何倍にも濃縮して追体験させる
シスター・パクストンとシスター・バーンズは、布教のため森に囲まれた一軒家を訪れる。ドアベルを鳴らすと、出てきたのはリードという気さくな男性。妻が在宅中と聞いて安心した2人は家の中で話をすることに。早速説明を始めたところ、天才的な頭脳を持つリードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開する。不穏な空気を感じた2人は密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、助けを呼ぼうにも携帯の電波は繋がらない。教会から呼び戻されたと嘘をつく2人に、帰るには家の奥にある2つの扉のどちらかから出るしかないとリードは言う。信仰心を試す扉の先で、彼女たちに待ち受ける悪夢のような「真相」とは——(公式サイトより)。
宗教とは、信仰とは何かをテーマとした会話劇で進むサイコスリラー。恐怖は、閉鎖空間、粘性のある液体、不釣り合いな音楽、灯り等々、色々な要素で醸し出されるが、本作では特にコミュニケーション不全が印象的。同じ言語なのに、何を言っても反駁されそうな、妥結点を見出しづらそうな予感、目的の見えない対話相手は無邪気に楽しんでいる、そんな空気が場を延々と支配する感覚。
狂気の家人リードは完全にイカれてはいるものの、その論旨には本質を突く何かがある。歴史的にみて、聖書のようなストーリーが少なくとも12は存在しており、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はそれぞれ別の視点からまとめられただけの反復であること、教義は時代の統治者によって、神託という名の下に容易に改ざんされることを、昔からあるボードゲーム「モノポリー」に喩えて喝破する。シスターたちに対して、根拠の希薄な正しさの強要、反証不能性、宗教勧誘の持つ加虐性を何倍にも濃縮して追体験させる。
シスター役のソフィー・サッチャーとクロエ・イーストはフレッシュさが良かった。「ロマコメの帝王」であるヒュー・グラントが神学、宗教学に深く通じたサイコなリードを好演。日本で言えば石田純一が演じたみたいなものか。違うか。
ヒューグラントの話し方が好きだ。 ノッティングヒル~ではちょっと自...
全201件中、1~20件目を表示

















